上市後5年か置換率50%超~長期品の選定療養を了承 社会保障審議会医療保険部会
厚生労働省は8日、長期収載品の保険給付のあり方に関する見直し案を社会保障審議会医療保険部会に示し、概ね了承された。後発品上市後5年を経過した長期収載品、または上市後5年を経過していなくても後発品への置換率50%に達している場合には選定療養とし、幅広い品目を対象とした。選定療養における患者負担は、長期収載品と後発品の価格差の2分の1以下とする方向で検討する。ただ、医師が後発品への変更不可とする銘柄名処方を行うなど、医療上の必要性が認められる場合は選定療養から除外し、引き続き保険給付とする。
長期収載品の数量シェアは21.0%で、2019年9月薬価調査では約1兆8000億円に上る。選定療養の対象品目となる「後発品上市後5年以上、または置換率50%以上の成分」は、約930成分中約900成分が該当する。
ただ、医師が後発品への変更を不可とする銘柄名処方をした場合など、医療上の必要性が認められる場合は選定療養とはせず、引き続き保険給付を行う。銘柄名処方でも、患者希望により長期収載品を処方・調剤した場合や一般名処方の場合は長期収載品の使用を選定療養とする。薬局に後発品の在庫がない場合など後発品を提供することが難しい場合は、患者が後発品を選択できないため、保険給付の対象とする。
選定療養にかかる患者負担の範囲については、長期収載品と後発品の価格差の2分の1以下とする方向で検討する。厚労省は、長期収載品と後発品の価格差の2分の1、3分の1、4分の1の3パターンを案として提示した。
例えば、A製剤の薬価が500円、その後発品の薬価が250円とした場合に、現行の3割負担だと150円、75円となるが、選定療養にかかる負担額を長期収載品と後発品の価格差の2分の1とした場合には、250円、175円ととそれぞれ100円ずつ増える。価格差の3分の1に抑えた場合の患者負担額は217円、133円、4分の1では200円、113円と小さくなる。
一方、薬剤定額一部負担や市販品類似医薬品の保険給付のあり方見直しについては、引き続き検討すべき課題に位置づけた。
厚労省案に対して、多くの委員から賛同が得られた一方、選定療養にかかる負担割合については「患者の急激な負担にならないよう低い割合から始めるべき」との意見が多数を占めた。今回の部会での議論を踏まえ、近く中央社会保険医療協議会総会で保険給付と選定療養の負担にかかる範囲を具体的に検討する。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
厚労省は、長期収載品の保険給付のあり方に関する見直し案を社会保障審議会医療保険部会に提示し、おおむね了承されました。一部例外を除き、後発品上市後5年が経過した場合、または後発品への置換率が50%に達している場合には選定療養とし、患者負担は長期収載品と後発品の価格差の2分の1以下とする方向で検討します。