健康被害報告法制化で一致~薬剤師も情報提供者に 機能性表示食品をめぐる検討会
消費者庁は、機能性表示食品に関する健康被害報告について、現行ガイドラインから法令で規定するよう見直す論点案を8日の「機能性表示食品をめぐる検討会」に示した。事業者から国への健康被害報告を法令で義務化することに構成員から異論はなく、医師の診断がある健康被害の疑い事例については、報告義務を課すべきとの意見が多数を占めた。一方、消費者が医師に対して相談しづらい面も見られるため、事業者への情報提供者は医師のみならず、薬剤師や健康食品・サプリメントのアドバイザリースタッフなど幅広く活用すべきとの意見も出た。
機能性表示食品の届出等に関するガイドラインでは、届出事業者が健康被害情報を収集し、「症状、重篤度、因果関係の健康被害の評価」を行った上で、「届出食品による健康被害の発生・拡大の恐れ」があると判断した際には、「消費者庁食品表示課へ速やかに報告」を行うとされている。
また、届出食品の健康被害情報に関する保健所に対する報告については、製品に関する消費者からの健康被害情報を事業者が得た場合には、保健所に情報提供するよう努めることとされているが、これらは法令での規定ではないため、事業者から国への報告には強制力がない。
検討会では、食品表示法で事業者に報告を求める健康被害が疑われる事例について、対象食品を機能性表示食品の約5割を占めるサプリメント形状の食品に限定するべきか、全ての機能性表示食品とするかについて議論した。その結果、健康被害が疑われる事例が発生した場合には、全ての機能性表示食品について報告を求めるべきとの意見で一致した。
報告の対象事例については、▽医師の診断を受け当該症状が当該食品等に起因する、その疑いがあると診断されたものに限る▽医師の診断がない全ての健康被害に拡大する――の二つを検討し、構成員からは医師の診断がある健康被害は報告を義務化すべきとの声が相次いだ。薬剤師から医師に受診勧奨する仕組みも必要とした。
ただ、医師の診断がない健康被害も想定されるため、今後の議論で医師の診断がある事例に限定せずに報告の対象事例がどうあるべきか検討する。食品衛生法に基づく指定成分等含有食品で非重篤の症例まで報告の対象としていることから、重篤事例のみならず、非重篤事例も対象とする方針だ。報告を義務付ける一方で、国民への情報公開は慎重にすべきとの意見も出た。
事業者への情報提供者は医師に限らず、消費者や薬剤師、管理栄養士等の医療関係者まで対象に含めることも視野に入れる。
そのほか、報告期限も明確化する。食品衛生法に基づく指定成分等含有食品では運用上、重篤症例は概ね15日以内、重篤以外の症例は概ね30日以内が届出期間の目安だ。医薬部外品の制度や米国のサプリメント制度等では重篤症例の場合は15日以内に報告を義務化しており、他の制度を参考に検討する。
構成員からは、健康食品やサプリメントについて消費者に助言する資格者「アドバイザリースタッフ」を、健康被害に関する情報収集でも活用すべきとの意見が上がった。
合田幸広構成員(国立医薬品食品衛生研究所名誉所長客員研究員)は「機能性表示食品のトラブルが起きた時には医師や薬剤師に相談するが、アドバイザリースタッフも重要な役割を果たしている。制度に反映できれば、より広い範囲で健康食品の正しい使い方を理解してもらえるのではないか」と述べた。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
機能性表示食品に関する健康被害報告について、消費者庁は現行ガイドラインから法令で規定するよう見直す論点案を「機能性表示食品をめぐる検討会」に提示。事業者への情報提供者は医師に限らず、薬剤師などを幅広く活用すべきという意見も出ました。