医療

【厚労省 松下審査調整官】「自分の患者」の意識必要~薬剤師に意識変革求める

薬+読 編集部からのコメント

厚労省医薬局医薬品審査管理課の松下審査調整官が、今後薬剤師の在宅医療への関与が拡大する状況を見据えて「自分の患者という自覚を持つ必要がある」と講演で訴えました。また、薬局より全国軒数が少ない訪問看護ステーションが24時間対応を行っている現状を踏まえて「30万人以上いる薬剤師が24時間対応できないのはどうかと思われても仕方ない」と対応を促しました。

厚生労働省医薬局医薬品審査管理課の松下俊介審査調整官(写真)は19日、高崎市内で行われた群馬県薬学大会で講演し、今後薬剤師の在宅医療への関与が拡大する状況を見据え、「自分の患者という自覚を持つ必要がある」と訴えた。また、薬局より全国軒数が少ない訪問看護ステーション(ST)が24時間対応を行っている現状について、「30万人以上いる薬剤師が24時間対応できないのはどうかと思われても仕方ない」と対応を促した。

松下氏は、群馬県の将来推計人口として、65歳以上は2050年まで60万人程度で推移する一方、生産年齢人口は113万人から77万人まで減ることを説明した。超高齢社会では自力で外来通院できる人が減り、都市部も含めて在宅患者が増えるとし、薬剤師が在宅医療に関与する重要性を強調。医師や薬剤師が24時間体制で患者を医学的に管理する共通性から「在宅医療は入院医療と本質的には同じで、外来医療の延長と捉えるべきでない」とした。

 

医師や看護師は「自分の患者」という考えを持って患者に対応していることを踏まえ、「患者からかかりつけ薬剤師と認めてもらう前に、自分の患者という自覚を持つことが重要。特に在宅医療では、自分の患者と思わなければ、患者がかかりつけ薬剤師と見なしてくれない」と指摘した。

 

全国1万軒超の訪問看護STが24時間対応している一方、6万軒を超える薬局における開局時間外での医薬品提供体制に問題意識を示し、「数字だけ見れば、30万人以上いる薬剤師が24時間対応できない現状はいかがなものかと思われている。数の多さは強みなので、小さくとも最初の一歩を踏み出せば変わっていくのではないか」と述べた。

 

増加傾向にある小児への訪問薬剤管理指導の実施状況については、「算定件数は月5000件ほどだが、医学的管理が必要な小児が全国に約2万人いる中では不足している。大多数は外来調剤で終了しているが、実態を見抜けない人が多い。薬局が積極的に薬剤管理指導を提案していくことが必要」と話した。

 

そのほか、対物業務から対人業務にシフトする方向性については、「対物業務をないがしろにして良いのではない」としつつ、「国民は薬剤師が調剤業務はできて当然と考えている。薬剤師法で規定する薬剤師業務は調剤だけではないので、対物業務のみ注力すれば良いとのマインドセットを変える必要がある」との考えを示した。

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出典:薬事日報

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