チェーン薬局入会の動き~夜間・休日リスト化進む
薬剤師会に入会意思も
2024年度診療報酬改定で、夜間・休日の地域医薬品提供体制を構築した対応薬局のリスト化が地域支援体制加算などの施設要件に盛り込まれたことを受け、一部の地域薬剤師会はリスト掲載案内を機に非会員薬局に入会を勧誘し、チェーン薬局やドラッグストアからの会員化に漕ぎ着けているようだ。埼玉県のある地域薬剤師会は、「非会員薬局からリスト掲載したいと10件以上の問い合わせが来ており、『掲載料を払うくらいなら』ということで、問い合わせの半数は薬剤師会への入会の意思を示している」としている。
非会員に対するリスト掲載料は、地域薬剤師会によって料金設定が異なり、最初の登録料が1~10万円、月の更新費が5000~1万円とバラツキがある。一方で、登録料は徴収せず、例えば「システム利用料月5500円のみ」などとし、非会員薬局に案内している地域薬剤師会もある。
掲載料をあえて高めに設定することで、新たな会員獲得につなげている動きも見られる。埼玉県の地域薬剤師会は、近隣の薬剤師会の状況や会員が支払っている会費とのバランスなどを踏まえ、「非会員1店舗につき初回登録料10万円、維持・更新費が月1万円」と比較的高額に設定した。
リストに掲載したいとの申し出があった非会員のチェーン薬局に対しては、会員には無料でリスト掲載可能であること、薬剤師会が企画する勉強会への参加についても会員は非会員に比べて参加費で優遇されることなどを説明したところ、「初回登録料10万円を払うのであれば、薬剤師会に入会したい」と勧誘に成功しているケースが出ているという。
ただ、地域薬剤師会に限定した個人会員としての入会意向であるため、「今後は薬局として薬剤師会に入会してもらうよう勧めていきたい」と話す。
会員約140薬局を持つ東京都23区内の薬剤師会は、初期費用5万円、システム利用料月5000円に設定したところ、19薬局からリストへの掲載申し込みがあった。
リストに掲載した全薬局を入会させ、会員数で1割増を狙う。この地域薬剤師会会長は、「今年度中にチェーン薬局を対象に入会キャンペーンを実施したい。新規入会者については、初年度につき値引きをすると共に、薬剤師会が行政や医師会と組んで実施している地域での事業に案内し、入会するメリットを感じてくれるよう訴えていく」と戦略を語る。
他の薬剤師会でも、「チェーン薬局によっては入会に本部との手続きが必要になり、今回は間に合わなかったものの、今後は入会してくれるところがいくつかある」と話すなど、新規会員獲得の絶好の機会にもなっている。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
2024年度診療報酬改定で、地域支援体制加算などの施設要件に夜間・休日の地域医薬品提供体制を構築した対応薬局のリスト化が盛り込まれたことを機に、一部の地域薬剤師会ではチェーン薬局やドラッグストアの会員化の動きが進んでいるようです。