【厚労省検討会】多剤対策に多職種会議有効~調整者の役割明記が課題 厚生労働省
厚生労働省の高齢者医薬品適正使用検討会は9日、2024年度委託事業の最終報告を行った。広島県の事業では多職種の会議体設置によって各職種でポリファーマシー対策における役割を認識できるようになった一方、地域ポリファーマシーコーディネーターと薬剤調整支援者の役割を手順書に明記することなどが課題に挙げられた。
24年度事業は、広島県と埼玉県でこれまでに検討会が作成した指針・業務手順書を用いて対策や普及啓発を行い、対策の成功・失敗要因の整理や課題抽出等を行うこととしていた。
以前から対策に取り組んできた広島県では、多職種による協力を課題としていたため、薬剤師だけでなく、医師、介護従事者、学識経験者、行政等で構成する県の新規会議体を設け、計2回の会議で対策の方向性を検討した。
その結果、手順書を用いた説明により各職種で対策の進め方がイメージできるなど意識が向上したほか、地域の処方医の相談役として医師コーディネーター、地域会議体の議長を務めて対策の方向性を示す薬剤師コーディネーターを実施対象地域に配置することなどを決め、次年度への準備ができたとした。
課題として、新規会議体設置に伴い、事業の趣旨説明や参加同意を得るための事務手続きに時間を要したことや、手順書に地域ポリファーマシーコーディネーター、薬剤調整支援者に関する具体的業務内容の記載がなかったため、役割として何をすべきか合意形成にも時間がかかったとした。
また、県主催の研修会で医療従事者向けの普及啓発も行ったところ、「対策を実際に行おうと思うか」との質問に9割以上が実施に肯定的な回答を示した。
一方、埼玉県では、既存の会議体である県薬剤師会の社会保険委員会を県全体の会議体とし、7地域124人(行政と歯科医師計2人を含む)が参加。11回にわたる会議で好事例の共有や普及啓発活動の実施方法の例示等が行われ、円滑な情報交換が実現できたとした。
多剤対策の専門知識を持つ薬剤師が地域ポリファーマシーコーディネーターの役割を担い、薬剤調整支援者の任命も行い、事業実施前後で医師や看護師など他職種との連携が増加した。
これまで対策事業に関与したことがない31人を薬剤調整支援者に任命でき、薬剤調整支援者による対策実施が22件、ポリファーマシーコーディネーターによる対策は7件実施されたが、県全体の会議体・普及啓発活動で、薬剤師以外の職種の参画がなかったことなどを課題に挙げた。
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出典:株式会社薬事日報社
薬+読 編集部からのコメント
厚生労働省の高齢者医薬品適正使用検討会が、2024年度委託事業の最終報告を実施。広島県の事業では、多職種の会議体設置によって各職種でポリファーマシー対策における役割を認識できるようになった一方、地域ポリファーマシーコーディネーターと薬剤調整支援者の役割を手順書に明記することなどが課題に挙げられました。