公的製品データベース構築~医療安全対策を後押しへ
厚生労働省は、医療安全の向上や病院の事務効率化に向け、来年度中に医薬品・医療機器等の製品データベース(DB)を構築する。2019年の改正医薬品医療機器等法で医薬品・医療機器等の製造販売業者に対し、容器等への商品コード情報を含むバーコード表示が義務づけられた。さらに今年の薬機法改正では、製販業者に製品情報の登録義務化を予定しており、国がDBを構築することで商品コードと製品DBの照合による薬剤取り違え防止など、医療安全対策を後押しする考えである。
厚労省は、来年度概算要求で製品DB構築事業に1億9000万円を要求している。製品DBをめぐっては、厚生科学審議会部会の薬機法改正に関する取りまとめで「製販業者に対して製品DBへの商品コード等の登録を義務づけるべき」と記載され、骨太方針でも「製品DBの構築を進める」ことが盛り込まれるなど対応が求められていた。
製品DBの構築により、品質不良による製品回収を行う場合に回収対象となる製品を速やかに特定できる可能性がある。回収時には製品名や製造番号などの情報を記録・閲覧し、回収対象となる製品を速やかに特定することが重要となる。
医療用医薬品の販売包装単位には、医療用医薬品を特定するための符号(バーコード)の表示が義務づけられ、病院や薬局は製品容器に表示されたバーコードから商品コードや有効期限、製造番号または製造記号を読み取ることが可能である一方、回収対象製品を特定させるためには、製品名が含まれるDBを照合する必要があった。
現在、製事業者は、厚労省通知に基づき民間事業者が運営するDBに製品情報の登録を行っているものの、登録状況が必ずしも十分ではない製品があるのも現状。
改正薬機法で商品コード等の製品情報の登録が義務化されるのに伴い、トレーサビリティ確保など医療安全のさらなる向上に向けた公的な製品DBを構築し、速やかに現場での運用を図る。
製販業者がDBに登録する製品名、製造番号など製品情報の範囲については今後の検討課題になるが、最低限必要とされる情報や、欧米で運用されている製品DBとの差異が大きくならないよう国際整合性の観点から対応を検討する方針。既に市場に流通している既存品の扱いも整理する。
製品DBの実施主体は、電子化された添付文書に紐付く商品コード等の登録との重複を避ける観点から、医薬品医療機器総合機構(PMDA)を軸に検討する。
公的な製品DBの構築を「医療安全の向上に向けた最初の一歩」と位置づけ、各医療機関、薬局がそれぞれの視点で製品DBと外部DBを紐付けて活用していく展開に期待する。
医薬局医薬安全対策課の安川孝志課長は「製品DBを医療安全の基本情報にする。業務を効率化するのが重要で、その根底として信頼あるDBを作る。医療安全におけるDXの活用を考えていく第一歩を国として旗振りできるのではないか」と話している。
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出典:株式会社薬事日報社
薬+読 編集部からのコメント
厚生労働省は医療安全の向上や病院の事務効率化に向け、2026年度中に医薬品・医療機器等の製品データベース(DB)を構築します。国がDBを構築することで、商品コードと製品DBの照合による薬剤取り違え防止など、医療安全対策を後押しする考えです。