【厚労省】タブネオスに安全性速報 ~ 重篤肝機能障害は投与中止 厚生労働省
厚生労働省は21日、キッセイ薬品の顕微鏡的多発血管炎・多発血管炎性肉芽腫症治療薬「タブネオスカプセル10mg」(一般名:アバコパン)について、重篤な肝機能障害の発現例が集積し、死亡との因果関係が否定できない症例も確認されたとして添付文書の「警告」を新設し、「重要な基本的注意」を改訂すると共に、「安全性速報(ブルーレター)」の発出により、医療関係者への速やかな注意喚起を行うよう製造販売業者に指示した。
今回の措置は、市販後に胆管消失症候群を含む重篤な肝機能障害の発現例が集積し、国内で死亡例が20例報告されたことを踏まえたもの。ブルーレターの発出は、2021年6月の関節機能改善剤「ジョイクル」以来で、約4年11カ月ぶりとなる。同日付で添付文書の改訂も行われた。
重篤な肝機能障害は投与開始後3カ月以内に多く認められることから、厚労省は早期発見と重症化防止を図るため、投与前・投与中の定期的な肝機能検査を実施するよう呼びかけ、重篤な肝機能障害が認められた場合は投与中止など適切な対応を求めた。
特に投与開始後3カ月間は少なくとも2週間に1回、その後の3カ月間は少なくとも4週間に1回の検査を行い、ALTまたはASTが基準値上限の3倍を超えた場合には投与を中断し、速やかに患者を評価することとした。
タブネオスは21年9月の承認当初から、添付文書で重大な副作用として肝機能障害への注意喚起がなされていた。今月1日付で添付文書の重大な副作用に胆管消失症候群を追記し、15日にはキッセイが慎重投与を行うよう周知していたが、厚労省はさらなる安全対策が必要と判断。注意喚起を「警告」に格上げした。
タブネオスの効能・効果である顕微鏡的多発血管炎・多発血管炎性肉芽腫症はいずれも指定難病で、発症は70歳以上に多い。厚労省によると、5年生存率は約70%とされ、推定使用患者数は約8500人。
厚労省は、薬剤と肝機能障害に関連する死亡の因果関係について「基礎疾患や併存疾患、感染症など複数要因が関与する可能性があり、評価は極めて難しい」としつつも、「死亡例の状況には日本と海外で差がある可能性がある」と説明。ブルーレター発出による効果を検証し、必要に応じて追加的な安全対策を検討していく考えを示した。
さらに、同剤の納入先は医療機関699件、薬局3388件で、院外処方が中心と見られる。適正使用の観点からは、薬局薬剤師による患者への注意喚起や副作用フォローが一層重要となる。日本薬剤師会も同日付で会員向けに周知した。
キッセイは、患者に対し自己判断による服用中止を避け、体調変化があれば速やかに医療関係者へ相談するよう呼びかけている。医療関係者・患者向けに「くすり相談センター」を設置した。
一方、タブネオスをめぐっては欧米当局が治験データに疑義があるとして調査を進めており、米食品医薬品局(FDA)の医薬品評価センターは、米国での承認撤回を提案する考えを示している。厚労省は「海外規制当局と協調しながら適切に対応する」としている。
🔽 イエローレター・ブルーレターについて解説した記事はこちら
出典:薬事日報



薬+読 編集部からのコメント
キッセイ薬品の顕微鏡的多発血管炎・多発血管炎性肉芽腫症治療薬「タブネオスカプセル10mg」(一般名:アバコパン)について、厚労省は重篤な肝機能障害の発現例が集積し、死亡との因果関係が否定できない症例も確認されたとして添付文書の「警告」を新設。「重要な基本的注意」を改訂すると共に、「安全性速報(ブルーレター)」の発出により、医療関係者への速やかな注意喚起を行うよう製造販売業者に指示しました。