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更新日:2020.03.05公開日:2017.05.16 美容&健康トレンド薬剤師兼美容家として活動する花田真理さんが、「薬剤師として知っておきたい美容の知識」「手軽にできるヘアアレンジ」など、“薬剤師と美容”をテーマに語るコラムです。
前回は患者さんやお客さまから化粧品の選び方について聞かれた場合のポイント6つのうち、「肌質」「肌の悩み」の2点に絞ってお話ししました。
今回は残りの4つについて、ご紹介します。
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③香りやテクスチャーなどの好み
化粧品は医薬品と異なり、「好き」「好み」と感じるかどうかという点も重要なポイントです。
例えば使用している化粧品が苦手な香りだったら、使い続けるのは辛いですよね。とはいえ、無香料ならいいというわけでもないのです。無香料だと原料臭がする場合もありますし、「いい香りがしないと綺麗になる気がしない」という人もいます。化粧品の香りは香料や精油でつけられているため、肌の状態や体質によっては合わないこと、よくない場合もありますが、皮膚科に通院するような肌トラブルのある人でなければ問題ない場合が多いです。
患者さんやお客さまには香りの好みもうかがって、それを取り入れたアドバイスができると喜ばれるでしょう。 -
④価格
肌質や悩み・好みを考慮して化粧品選びのアドバイスをしても、「価格が高すぎて購入できない(続けられない)」ということもあるでしょう。
特に化粧水や乳液などのスキンケア商品は、1回購入すればそれでいいというものではありません。使い続けることで肌の状態を整えていくものなので、患者さんやお客さまの希望する価格帯で購入できる商品を紹介する必要があります。 -
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⑤ブランド名
「化粧品は知名度のあるメーカーのものでないと心配」という人もいるでしょう。
日本の化粧品はクオリティが高いので、「知名度がない化粧品が粗悪」ということはないのですが、患者さんやお客さまが不安に思う気持ちには寄り添いたいもの。「薬剤師がいいと言うのであれば、知らないブランドの商品でも安心して使用できる」と思ってもらえるのであれば、化粧品の選び方を薬剤師が説明することのメリットは大きいといえるでしょう。 -
⑥キャッチフレーズ
化粧品の成分に詳しくない人は、商品につけられたキャッチフレーズで化粧品を選ぶ傾向にあります。「薬用」「美白」「ニキビを防ぐ」などがその例ですね。
しかしこれらのキャッチフレーズは、広告として使用できるか否かを医薬品医療機器等法(旧薬事法)で決められています。使用するためには厚生労働省の承認が必要なのですが、規定の成分が一定の濃度で配合されている必要があるなどの条件が定められています。これに該当しないためキャッチフレーズが使用できない化粧品ももちろんあり、そちらの商品の方が効果的な場合もあります。
このように「キャッチフレーズが謳えるかどうか」が商品の良し悪しのすべてではない、ということを知っておく必要があるでしょう。 -
<まとめ「なぜ、薬剤師に質問したのか」を理解することが大切>
自分にふさわしい化粧品を選ぶためには、ここまでご紹介してきた6つのポイントと、その情報を的確に分析できることがまずは必要です。さらに化粧品、化学成分の知識に加え、医学的な知識もある人であれば、薬剤師などの専門家へ相談しなくても自分で化粧品を選ぶことができるでしょう。しかし、ほとんどの人はこうした知識を持ち合わせていないので、的確な判断が難しい状況に陥ってしまいます。
「化粧品が好き(新商品やブランド情報に詳しい)」からといって「化粧品選びが的確にできる」とは限りません。「化粧品が好き(新商品やブランド情報に詳しい)」ことと「化学成分や医学的な正しい知識がある」ことはまったく異なることだからです。
少なくとも薬剤師の皆さんは薬学部を卒業して国家資格を取得し、医療業界で働いている時点で「化学成分や医学的な正しい知識のある」専門家です。
患者さんやお客さまへ化粧品選びについてのアドバイスをする際は、化学成分の知識や医学・薬学的な見地からの意見を取り入れると信頼されますし、喜ばれるでしょう。またその際には「万人に合う化粧品はない」ということを伝えることも大切です。
アレルギー体質の方や、過去に化粧品で肌トラブルが起きたことがある方にはパッチテストを勧めたり、肌トラブルが起きてしまった場合はすぐに中止するなど、万が一のときのアドバイスも伝えておけると、薬剤師としての信頼感も向上するのではないでしょうか。
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