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更新日:2020.03.05公開日:2017.12.12 美容&健康トレンド薬剤師兼美容家として活動する花田真理さんが、「薬剤師として知っておきたい美容の知識」「手軽にできるヘアアレンジ」など、“薬剤師と美容”をテーマに語るコラムです。
今年も残すところあと少しとなりました。2017年は大手化粧品会社のリコールが多い年だったと感じます。
化粧品のリコールは大々的に報道されるものとそうでないものがありますが、薬剤師の皆さんはある程度情報を得ておく必要があります。
今回は化粧品のリコールにおける内容と対応法について、いくつか例を上げてご紹介します。
2017年にリコールされた実例
製造段階の不備や容器の不備
実例①
会社名:株式会社SABON Japan
商品名:「ゴマージュ リッチCB」、「CB ボディクリーム」
回収理由:容器を繰り返し開閉する事で、ガラス容器に破損が生じ、破損片が容器内部に剥落する恐れが発覚した為
実例②
会社名:株式会社資生堂
商品名:「インテグレート キラーウインクジェルライナー」
回収理由:製造段階の不備によりアイライナーの芯に本体プラスチックの小片が混入した商品があることが判明した為
全成分表示の誤り
実例①
会社名:株式会社ラッシュジャパン
商品名:スノーマンジェリー
回収理由:異なる商品の成分が記載された法定表示(ラベル)を貼付していたことが判明した為
充填ミス
実例①
会社名:シャネル株式会社
商品名:「ル ブラン クリーム TX」
回収理由:日本未発売の国外向けのクリームが充填されていたことが判明した為
内容物の異常
実例①
会社名:株式会社グローバルプロダクトプランニング
商品名:「アロマフルブーケ ハンド&ボディソープ」
回収理由:化粧品基準で配合が認められていない「ホルムアルデヒド」が検出された為
実例②
会社名:株式会社 加美乃素本舗
商品名:「加美乃素 薬用エナジーシャンプーA」
回収理由:製品の生菌数が自主基準である限度基準1,000 cfu/mLを超えることが判明した為
実例③
会社名:株式会社ジョンマスターオーガニック
商品名:「ジョンマスター L&Rシャンプー」「ジョンマスター Z&Sコンディショニングシャンプー」など38製品
回収理由:成分表示と実際に配合されている成分との間に齟齬があることが判明した為
対応方法
製造段階の不備や容器の不備の場合
不良品の使用により肌や人体が傷つく恐れがあります。
該当製品を使用している場合はすぐに使用を止めた方が良いでしょう。
今回の実例の場合は下記のような恐れが考えられます。
実例①
重篤な健康被害の発生は無いと考えられますが、破損片は長さ2~3mm、厚み0.5mm程度であり、気付かずに使用した場合肌に切り傷を付ける恐れがあるとメーカーは判断しています。
実例②
重篤な健康被害の発生は無いと考えられますが、眼の周辺に思わぬけがをする恐れがあるとメーカーは判断しています。
全成分表示の誤りの場合
該当成分にアレルギーをお持ちの方が使用するとアレルギー反応が出る可能性があります。
内容によっては使用しても問題ない場合もありますが、アレルギーをお持ちの方は中止した方が良いでしょう。
該当製品をお持ちの場合はメーカーの指示に従い回収に応じるのが基本です。
実例①
実際に配合されている成分は、化粧品基準内であり品質には問題ないため重篤な健康被害が発生しにくいです。
しかし、該当成分にレルギーをお持ちの方が使用するとアレルギー反応が出る可能性があるとメーカーは判断しています。
充填ミスの場合
全成分表示の誤りと同じく、配合成分にアレルギーをお持ちの方が使用するとアレルギー反応が出る可能性があります。
使用しても問題ない場合もありますが、該当製品をお持ちの場合はメーカーの指示に従い回収に応じるのが基本です。
実例①
今回の充填ミスで異なる成分は香料のみで、該当の香料は国内で販売されている同ブランドシリーズに使用されているものです。そのため、安全性を確認しており、国外でも大きな被害の報告はないため、重篤な健康被害はないとメーカーは判断しています。
内容物の異常
不良品の使用により肌トラブルが起きたり、製品のにおいや性質など製品自体に変化が起こる恐れがあります。
使用しても問題ない場合もありますが、アレルギーや予測不能の変化が起こる可能性があるため、メーカーの回収に応じましょう。
実例①
ホルムアルデヒドの検出値が微量なことや洗い流す製品であるため重篤な健康被害を及ぼす可能性はないと考えられますが、使用する方の体質によっては何らかの皮膚トラブルを招く恐れもあるとメーカーは判断しています。
実例②
洗い流す製品であることや、製品の中味は承認規格を満たしていることから重篤な健康被害を及ぼす可能性はないと考えられますが、生菌数の増加によりにおいの変質や、洗浄力の低下などが起こる可能性もあるとメーカーは判断しています。
実例③
各製品の配合成分は表示していたものと大分異なりますが、製品は化粧品基準を満たしていて品質に問題はないため、重篤な健康被害が発生する恐れはないとメーカーは判断しています。
以上のように回収理由は様々です。
資生堂に関しては一年間で数回回収を行っていますし、ジョンマスターオーガニックに関してはオーガニック成分以外のものが配合されていたことが話題になりました。
回収の事例をみると大手企業だから安心という考えは当てはまらないのが分かると思います。
回収が起きた時はメーカーの指示に従い回収に応じることが基本ですが、回収が起きていることに気がつかないお客さんもいるでしょう。
特にドラッグストアで販売される製品に関しては薬剤師が回収情報を得てアドバイスを行うことも大切だと思います。
影響の大きいことが予想される場合は、カウンターや掲示板にお知らせを出す、薬局のサイトにお知らせを載せる、お渡しした方を覚えていたら声をかけるなどの対応をするといいかもしれません。
参考URL
株式会社SABON Japan
https://www.sabon.co.jp/sp/news/2017/20170316.html
株式会社資生堂
https://www.shiseido.co.jp/announcement/201709/
株式会社ラッシュジャパン
https://jn.lush.com/article/products-info-02
シャネル株式会社
http://chanel.jp/infoCKK/201704/
株式会社グローバルプロダクトプランニング
http://www.gpp-shop.com/pdf/20170308_afb.pdf
「加美乃素 薬用エナジーシャンプーA」
https://www.kaminomoto.co.jp/company/release170929.html
株式会社ジョンマスターオーガニック
http://www.jmo-group.jp/s/announcement/201709.html
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