イベントレポート 公開日:2020.11.27 イベントレポート

最新 薬剤師業界のTopicsをラク〜にまとめ読み 医薬NEWS超楽読

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2020年10月25日(日)、「第4回みんなで選ぶ薬局アワードONLINE」(主催:一般社団法人薬局支援協会)が開催されました。全国の薬局から創意工夫あふれる実践が発表され、一般参加者と審査員の投票によって受賞薬局が決定する本イベントに、当日参加をした薬剤師の方もいるのでは? オンラインならでは楽しみが随所に盛り込まれたイベントの様子と、気になる受賞結果を紹介します!

「第4回みんなで選ぶ薬局アワードONLINE」イベントレポート【初のオンライン開催】

ラク~にまとめ読み

「第4回みんなで選ぶ薬局アワード」開催され、厳しい予選審査を勝ち抜いた6薬局の代表者が、自身の薬局の取り組みについてオンラインでプレゼン。特別審査員や300名を超える一般参加者による投票を経て、最優秀賞、特別審査員賞、オーディエンス賞が決定!

全薬剤師必見のオンラインイベント

「薬局はどこも同じで、薬を受け渡しするだけの場所」という患者さんの思い込みを払拭し、素晴らしい取り組みをしている薬局を全国に広めたい、という思いから始まった「薬局アワード」が4度目の開催を迎えました。その熱い思いを形にしてきた薬局支援協会代表理事・竹中孝行さんをはじめ、司会を務めた現役薬学生の松村歩美さん、特別審査員として以下の豪華ゲストのみなさん、300名以上の一般参加者がオンライン上に集結し、2020年の薬局アワードを代表する6薬局のプレゼンテーションに注目しました。

司会を務めた薬学生の松村歩美さん(左)と薬局アワードを主催する薬局支援協会代表理事・竹中孝行さん(右)。

<特別審査員のみなさん>
・畑中和義さん(NPO法人患者中心の医療を共に考え共に実践する協議会・理事長、日本経済大学大学院ファーマシーマネジメント研究所・特任教授)
・平栗潤一さん(一般社団法人日本介護協会・理事長)
・臼井啓子さん(合同会社オフィスK・代表、一般社団法人ぱ・まる・代表理事)
・比留間榮子さん(世界最高齢現役薬剤師ギネス認定、<ヒルマ薬局小豆沢店
・鈴木信行さん(患医ねっと・代表)
まい丼さん(現役薬学生 / YouTuber)

初のオンライン開催となった今回は、オンラインならではの特性を生かした企画も満載。「みんなDEトークタイム!!」では、竹中さんや松井さんが「かかりつけ薬局はある?」「おくすり手帳を知ってる?」といった質問を投げかけると、一般参加者が「ない!」「キャラクターコラボデザインのおくすり手帳を持ってる」とコメント記入をして応答するなど、リアルタイムで双方向の交流が展開され盛り上がりはヒートアップ。

冒頭の「みんなDEトークタイム!!」では、発表に期待を寄せる書き込みが集中。

今年9月に、4日間にわたり行われた総勢150名の審査員によるオンライン予選会を含め2度の選考を経て選出されたという6つの代表薬局。一般参加者と特別審査員による投票・選考を経て、この中から最優秀賞、特別審査員賞、オーディエンス賞が決まることになります。

6薬局の個性が光った、熱いプレゼン

まずは6薬局の代表者による緊張と熱量が入り混じった熱いプレゼンテーションの様子をお届けします。どの薬局の取り組みにも、すぐに現場で生かすことができるヒントがありました。

1.地域住民との交流が自然に生まれる薬局をめざす
サンコー調剤薬局 昼間店(徳島県)・矢田智子さん

トップバッターを務めたのは、徳島県にあるサンコー調剤薬局 昼間店の矢田智子さん。小児科クリニックの近隣に位置し、親子連れの来店が多いサンコー調剤薬局 昼間店は、木目調を生かしたカフェのような内装で待ち時間もリラックスして過ごせる空間です。

かわいらしいイラストを盛り込んだ指導箋を配布したところ、大反響。

2018年のリニューアルオープンをきっかけに「ママ講座」をスタート。管理栄養士が離乳食や粉ミルクをテーマに講演するなど、子どもの健康に関する情報提供の場となっています。また、従来は文字中心だった指導箋を、動物のイラストなどを活用した可愛らしいデザインに変更し、それらをまとめたオリジナルブックを無料で配布したところ、ママたちに大好評だったとのことです。

2.従業員同士のチームワークから提案が生まれる
まんまる薬局(東京都)・松岡光洋さん

昨年の薬局アワードでもファイナリストに選出された経験があるまんまる薬局の松岡光洋さん。薬剤師と「ボランチ」(まんまる薬局では、薬剤師をサポートする非薬剤師スタッフのことをこう呼びます)の2人体制で「おうち訪問薬剤サービス」を展開する同薬局では、この2人の移動中の何気ない会話から生まれるアイデアを形にしようと「ベストカップルアワード」を開催しました。

発表の場にも従業員が集結し、大盛り上がり。チャット欄には「働くのが楽しそうな薬局」とのコメントも。

「ベストカップルアワード」のグランプリを受賞したアイデアは、スタッフが自分らしさを見つめ直し、薬局でどのように貢献できるかを考えるワークショップ“Meet Me”。そのほかにも、スタッフをキャラクター化したLINEスタンプでの社内交流、訪問時に活用できる栄養食マッピングの作成など、「ベストカップルアワード」からスタッフが自主的に患者さんのために考えて動く、数多くの取り組みが生まれたといいます。

3.保育園だよりからツアー企画まで、薬局の外に出てパワフルにアプローチ
はなのゆ薬局(鹿児島県)・中山茜さん

温泉施設が隣接しているという、めずらしい立地にあるはなのゆ薬局は、中山茜さんが一人薬剤師として働く小さな薬局。地域に根差す薬局として信頼を勝ち取るべく、住民のニーズへ細やかに寄り添った数々の取り組みを紹介しました。

地元のニュース番組の取材に応じてコメントするなど、地域との接点につながることは積極的に行うという。

メッセージアプリで投薬後のフォローアップを行ったり、あいさつ回りをする代わりに介護施設などへFAXを送信したり、保育園だよりや地域の新聞などでも健康情報を発信。また、バラエティ豊かな資格を持つ中山さんが温泉ソムリエの資格を生かして企画しツアーコンダクターまで務めたという温泉旅行や、温泉施設内での健康教室など、立地条件を生かしたコンテンツを展開。新たな試みとして、キッチンカー、フリーマーケット、健康チェックを組み合わせた「おんせんマルシェ」も実施。たった一人という状況をものともせず、次々に地域にアプローチをするアグレッシブな姿勢が印象的でした。

4.地域住民の本当のニーズをさぐる「お困りごとカード」
かんまき薬局グループ ABC薬局(大阪府)・山田菜摘さん、芦田泰弦さん

あっと驚く手品で和ませてくれた、かんまき薬局グループ ABC薬局の芦田泰弦さんと山田菜摘さんが発表したのは、「困っているけど言い出せない人」の悩みを引き出すために導入したという「お困りごとカード」の取り組みです。地域の健康イベントや認知症カフェなどで配布したほか、薬局での待ち時間を使って声かけを地道に行ったそう。

作成した当初は相談事が集まらなかったが、地道に声かけを繰り返した結果徐々に増えてきたという。

すると、なんと集まった相談事例の70%以上は薬剤以外に関すること(健康サポートや介護関連など)で、薬剤師以外でも対応できることが判明したそうです。そこで管理栄養士や登録販売者の力も生かし、困りごとの解決に尽力。中には認知症の早期発見につながる事例もあり、患者さんの小さな不安に気付ける環境づくりの重要性を実感したとのことでした。

5.調剤も、OTCも、化粧品も、漢方薬も……あらゆるニーズに応える
ウラタ薬局 仲町店(岐阜県)・浦田悠宇さん

多様化する薬局の形態のなかで、地域に必要とされる薬局経営のあり方を事例とともに示したのが、岐阜県にあるウラタ薬局 仲町店の浦田悠宇さんです。同薬局は、調剤という「大きな1本の柱」だけでなく、OTC医薬品や化粧品、漢方薬の販売など「小さなたくさんの柱」を立てることで地域のニーズにこたえているのだと、浦田さんはいいます。

夏には「暑いからアイスだけ食べて行っていい?」という方もいたほど、ウラタ薬局が地域住民の憩いの場になっているという。

ウラタ薬局が目指すのは、「日本一、笑顔があふれる薬局」。気軽に相談に来られる店舗づくりを意識しており、ふらりと健康相談にやって来る地域住民の数は1日に数十名にも及ぶのだそう。店内には体組成計や骨密度測定器などを数多く備え、来店時に測定してもらうことで健康管理に役立てたり、受診勧奨につなげたりしているとのことです。

6.「うっかりドーピング」の回避術を遊びながら学べる
みどりや薬局(静岡県)・清水雅之さん

スポーツファーマシストの資格も持つみどりや薬局の清水雅之さんは、スポーツ関係者はもちろん、一般の子どもからお年寄りまで誰でもわかりやすく「うっかりドーピング」について学べるカードゲームについてプレゼン。そのカードゲームの名は「ドーピングガーディアン」(ECサイトなどで購入可能)。

現在、ドーピングガーディアンの考え方を漫画化するプロジェクトも進行中、と話す清水さん。

ゲームをすることでアスリートの競技生活を疑似体験し、ドーピングのリスクを回避しながら勝利をめざすものだそう。楽しくゲームをしながら「うっかりドーピング」のリスクを回避する方法を学ぶことができる優れものです。最近では日本国内のみならず、海外からもお問い合わせがくるほどの反響があるのだそう。

栄えある最優秀賞に輝いた薬局は?

いずれの薬局も個性が光る取り組みで、甲乙付けがたいハイレベルなプレゼンでしたが、いよいよ一般参加者と特別審査員によるオンライン投票・選考を経て受賞薬局が決定されることに。司会を務める松村さんのもとに審査結果が記された3通の封書が到着し、一つひとつが慎重に開封されながら受賞薬局が読み上げられていきました。

司会の松村さんも「結果を知らない」とのこと。はさみで開封する手にも緊張が走る。

そして……結果は次のとおりとなりました!

【オーディエンス賞】まんまる薬局(東京都)
【特別審査員賞】サンコー調剤薬局 昼間店(徳島県)
【最優秀賞】はなのゆ薬局(鹿児島県)

最優秀賞発表の瞬間!

最優秀賞を受賞したはなのゆ薬局の中山さんは、「地域の活性化を願い、小さなことをコツコツ積み重ねてきました。当店を利用するすべての方、そして連携している施設の皆さんに、この喜びを伝えたいです」とコメント。目を潤ませながら話す中山さんの姿に「もらい泣きした!」という参加者の書き込みも。

甲乙つけがたいハイレベルな戦いと、オンラインだからこそ実現した一般参加者との一体感が印象的だった今年の薬局アワード。第5回目となる次回は、2021年10月ごろの開催予定だそう。さらに進化させた「リアルとオンラインを組み合わせたハイブリッド型のイベント」を予定しているとのことで早くも期待が高まります。薬局アワードは、他の薬局の取り組みを知り日常の業務に生かせる多くのヒントを得られることはもちろん、自分が働く薬局の取り組みを伝えることを通しても多くの学びを得られる魅力的なイベントです。薬剤師のみなさんはぜひ、来年の参加を検討してみてはいかがでしょうか?

取材・文/中澤仁美[ナレッジリング]

 

<2019年の薬局アワードレポートと受賞薬局インタビュー>
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