薬剤師の接遇マナー・テクニック 公開日:2016.09.21更新日:2023.03.23 薬剤師の接遇マナー・テクニック
困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー
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仕事の報告をしない新人薬剤師
仕事の報告をしない新人薬剤師

今年の新人として入社してきた後輩薬剤師の指導に悩んでいます。いわゆる「報告・連絡・相談」が苦手なようで、彼が原因のトラブルでさえ本人からではなく、周囲からの報告で判明するような状態です。「迷ったら相談して」「これはどうなった?」など、折にふれて声をかけているのですが、自発的に動いてくれません。どう指導したらいいのでしょうか。

Answer
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「指導する側」が新人に合わせて

薬剤師に限らず、後進の指導というのは本当に大変な仕事です。「最近の若い人は」という言葉は使いたくありませんが、世代が違うと育ってきた環境や価値観が違うので、意思疎通を図るのに手間暇がかかることも多いでしょう。
今回の「新人が自発的に動いてくれない」というのも、現場で非常によくある悩みだと思います。結論から言うと、指導する側が新人に合わせるしかありません。指導する側の方が経験値もあり、融通もきかせられる。合わせられる器がある方が合わせる、ということです。
 
具体的には、単に「報告しなさい」と伝えるだけでなく、「なぜ報告しなければいけないのか」「報告しないとどうなるか」ということまでしっかり伝えるのです。「そんなこと、わざわざ言わなくても想像がつくはず」という理屈は通用しないと覚悟しましょう。新人は想像がつかないから報告できていないので、こちらが同じ目線まで下げるしかありません。その際は「みんなが困るから」という漠然とした指摘ではなく、「在庫がなくなったら発注をしておかないと、卸さんに急いで持ってきてもらわないといけなくなるし、その間、患者さんをお待たせしてしまうでしょう。場合によっては、薬を受け取りにもう一度来ていただいたり、患者さんのご自宅までお届けする必要があるかもしれず、時間も手間もロスしてしまう」という風に、具体的に例を挙げながら詳しく説明します。それを根気強く、何度も繰り返していけば、少しずつでも改善していくと思います。

「上から怒る」よりも「一体感」を強調する

また、新人が失敗した際は「どうしてやらなかったの?」と上から目線で怒るのではなく、「私の言い方がわかりにくかったかな」「私が確認すればよかった。一言足りなかったね」などと、「私“も”悪かった」という姿勢を示してみましょう。こうした話し方だと常に「あなたと私」という一体感を示すことができるので、「親身になってくれる先輩にこれ以上迷惑をかけないように、がんばろう」と、指導される側も前向きになれるからです。
 
「どうして自分がそこまでやらなければいけないのか」と思うかもしれませんが、年次を重ねてステップアップしたあなたに任される、難しい仕事が教育なのです。私自身も現場で苦労したので大変さはわかります。しかし、手がかかればかかるほど、成長ぶりを目の当たりにしたときの達成感は大きいもの。自分自身も新人時代には周りに迷惑をかけたんだということを思い出しながら、がんばって次代を担う薬剤師たちを育ててください。
指導する側の方が経験値は上。経験を活かし、新人の目線に合わせた指導を心がけましょう
指導する側の方が経験値は上。経験を活かし、新人の目線に合わせた指導を心がけましょう

村尾 孝子
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
株式会社スマイル・ガーデン : http://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: http://smilegrdn.exblog.jp/
薬剤師さんからの質問大募集!村尾孝子先生が、あなたの質問にお答えします
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