薬剤師の接遇マナー・テクニック 公開日:2017.06.01更新日:2023.03.23 薬剤師の接遇マナー・テクニック
困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー
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クレームを上司へ報告しなくていい?
クレームを上司へ報告しなくていい?

業務時間外に患者さんからのクレームへ応対していたところ、「上司の印鑑をついてお詫び文を送れ」と言われました。すでに帰宅していた薬局長に電話して報告したのですが、「僕は明日休みだから、代わりの●●さんに頼んで」と言われ、さらに後日「電話は迷惑だから、自分で解決して」と注意されました。上司がこのように話す場合、クレームの報告は不要なのでしょうか。

Answer
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「書面で残す」ことの重要性を認識すること

詫び状として書面に残すということは、万一、裁判などになった際の証拠を残すということであり、印鑑まで入れるとなると重大な事態です。こうした場合については、やはり上司の方へ報告すべきだと思います。たとえ相談者さんの機転でその場を乗り切ったとしても、薬局内での情報共有がなければ、二次クレーム、三次クレームが発生したときには対応しきれないでしょう。その点をどう考えているのか、会社の方針としてどうするのかということを、上司の方および会社に確認しておく必要があると思います。
 
そして薬局長など、相談者さんの上司の方が不在の際は、誰が責任者として対応するのか、どのように対処すべきなのか、ルールを決めておきましょう。今回はたまたま上司の方が電話に出られましたが、場合によっては電話に出られないこともあり得ます。その際、誰が責任者として表に立つのかについて、あらかじめ決めておく必要があるでしょう。相談者さんは薬剤師歴14年ですから、ベテランと言えますね。この質問文だけでは判断できませんが、もし、この薬局で14年近く勤めていて年次も上なのであれば、上司の方の気持ちとしては「私が不在のときは、あなたが『薬局長代理』として対処してほしい」という思いなのかもしれません。

いざというときに備えた仕組みづくりが大切

ほとんどの場合、薬局長は自身もプレイングマネージャーとして薬剤師の業務を行いながら管理業務にも関わっていることと思います。上司の方も、ただでさえ忙しいところに管理業務も行うことは大変だと思いますが、もう少し管理職としての自覚はほしいところです。
その一方、薬局内で十分なコミュニケーションがとれているかどうかも気になります。もしも質問者さんと上司の間に良好な関係性が築けていれば、「電話は迷惑」という言葉は出なかった可能性もあるのではないでしょうか。
この質問文からだけでは推し量れない点が多々ありますが、これを機に上司の方や他のスタッフを含めた全員で責任の所在、トラブルが発生したときの対応ルールなどを話し合い、薬局内でのコミュニケーションを深めていただきたいと思います。
トラブル時の対応について、明確なルールを決められるよう薬局内で話し合いを!
トラブル時の対応について、明確なルールを決められるよう薬局内で話し合いを!

村尾 孝子
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
株式会社スマイル・ガーデン : http://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: http://smilegrdn.exblog.jp/
薬剤師さんからの質問大募集!村尾孝子先生が、あなたの質問にお答えします
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