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最新 薬剤師業界のTopicsをラク〜にまとめ読み 医薬NEWS超楽読

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爆発的な感染拡大が懸念される今、人との接触を最小限にする仕組みへの需要が増しています。そんなニーズに応える処方薬の受け取りシステムの実証実験が大阪市で開始され、関心が集まっています。また、第一三共が新しい癌免疫療法薬の第Ⅰ相試験を開始したというニュースも要チェックです。

感染リスクの低い処方薬受け取りシステム/新しい癌免疫療法薬の臨床試験が第一三共で開始

ラク~にまとめ読み
  • Topics 1 感染リスクの低い処方薬受け取りシステムとは?~大阪市で実証実験
  • MICIN、日本ベクトン・ディッキンソン、メディカルユアーズの3社は、オンライン服薬指導後の患者さんが好きな時間に処方薬を受け取れるシステムの実証実験を開始。人との接触機会が減ることにより、新型コロナウイルスの感染リスク低下が期待される。
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  • Topics 2 新規の癌免疫療法薬の第I相試験が第一三共でスタート
  • 新規の癌免疫療法薬である抗GARPモノクロナール抗体「DS-1055」の第I相臨床試験を開始したことを、第一三共が発表。GARPを標的とした癌治療薬は過去に承認されておらず、免疫チェックポイント阻害薬が無効な患者さんへの効果が期待できる。
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Topics 1 感染リスクの低い処方薬受け取りシステムとは?~大阪市で実証実験

2020年10月14日、MICIN、日本ベクトン・ディッキンソン、メディカルユアーズの3社は、オンライン服薬指導を受けた後、患者さんが好きな時間に処方薬を受け取ることができるシステムの実証実験を開始したと発表しました。実証実験の期間は、12月いっぱいまでの約2か月半を予定しているとのことです。

MICINはオンライン服薬指導システム「curonお薬サポート」、日本ベクトン・ディッキンソンは自動薬剤入庫・払い出しシステム「BD Rowa Vmax」の開発・販売会社であり、メディカルユアーズは梅田薬局(大阪市北区)の運営会社です。梅田薬局は、日本で初めて「BD Rowa Vmax」を導入し、「ロボット薬局」のさきがけとなったことでも知られています。

そもそもオンライン服薬指導は、2020年4月10日から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴う時限的特例措置として認められ(0410対応)、さらには9月1日の改正医薬品医療機器等法(薬機法)施行により恒久的なものとして認められるようになりました。これを商機ととらえた各社から、オンライン診療や服薬指導、服薬フォローアップのためのシステムが開発・販売されているところです。

今回の実証実験の仕組みは次のようになります。

(1)梅田薬局の薬剤師は「curonお薬サポート」によりオンライン服薬指導を実施し、調剤した薬剤を「BD Rowa Vmax」にセットする。
(2)当該の患者さんに対して、処方薬の受領に必要な情報(2次元バーコードなど)を、スマートフォンのショートメールで送信する。
(3)当該の患者さんは、自身の都合の良い時間に梅田薬局を訪れ、「BD Rowa ピックアップターミナル」に必要な情報を入力し、処方薬を受領する。

「BD Rowa ピックアップターミナル」は営業時間外にも薬剤払い出しを可能にするオプション装置で、銀行ATMのような見た目をしています。調剤室内に置かれた自動入庫・払い出し装置と配管でつながっており、店舗内に入ることなく処方薬を受領することができます。

梅田薬局はJR大阪駅前のビルのクリニックモール内に立地しているため、営業時間以降(20時以降)でも会社員などの利用が見込まれ、患者さんの利便性を大きく向上させる施策だといえるでしょう。そして何より、コロナ禍の状況にあって、患者さんが薬剤師と対面することなく、人の多い待合室で待つことなく処方薬を受け取れることにより、感染リスクの低下につながることが期待されます。

COVID-19のパンデミックにより、図らずもオンライン服薬指導に新たな意義(=感染リスクを下げる)が見出されたかたちとなっていますが、それでも服薬指導の効果を考えた場合、オンライン指導が対面指導を完全に代替できるとは言い切れない側面もありそうです。例えば、オンライン上のコミュニケーションでは、患者さんの顔色が分かりづらかったり、問いかけに対する細かな反応の違いが読み取りづらかったり……といったことが考えられます。オンライン服薬指導に移行していく流れは今後も続くと思われますが、オンラインならではの指導のポイント・注意点などを店舗全体で洗い出し、周知・徹底することが必要になるでしょう。

Topics 2 新規の癌免疫療法薬の第I相試験が第一三共でスタート

2020年10月22日、第一三共は、新規の癌免疫療法薬である抗GARPモノクロナール抗体「DS-1055」について第I相臨床試験を開始したと発表しました。対象は「切除不能な固形癌」で、日米の患者さん約40人を登録し、約3年かけて臨床試験を進めていくとのことです。同社は、将来的には頭頸部癌、胃癌、食道癌などの適応取得を視野に入れているとしています。なお、これまでGARPを標的とした癌治療薬は1つも承認されていません。

様々な腫瘍には強力な免疫抑制機能を持つ制御性T細胞が存在しており、GAPRは活性型制御性T細胞に多く発現することが知られています。「DS-1055」はGARPを標的として作用することで活性型制御性T細胞を減少させ、免疫反応を高める効果があるとされています。

第一三共のプレスリリースによれば、本試験の方法と評価項目は以下の通りです。

「DS-1055の投与量を段階的に増やしながら、安全性、忍容性及び有効性等を評価し、さらなる試験のための最大耐容量と推奨用量を決定します。本試験における安全性の評価項目は、用量制限毒性や有害事象等で、有効性の評価項目は、客観的奏効率、病勢コントロール率、奏効期間、無増悪生存期間及び全生存期間等です」(第一三共プレスリリース)。

近年は様々な免疫チェックポイント阻害薬が開発されていますが、制御性T細胞はこれに抵抗性を持っているため、効果がみられない患者さんも少なからずいることが分かっています。「DS-1055」は、これまでにない作用機序による癌免疫療法薬であるため、既存の免疫チェックポイント阻害薬が無効である患者さんにも奏効する可能性があります。期待を持って臨床試験の進捗を見守りたいところです。

<参考URL>
・【MICINなど3社】非接触で処方薬受け取り-大阪市で実証実験開始(薬事日報、2020年10月22日)
・【第一三共】固形癌対象に第Ⅰ相開始-新規癌免疫療法剤で(薬事日報、2020年10月27日)

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※この記事に掲載された情報は2020年11月27日(金)時点のものです。

河村武志(かわむら たけし)

編集者。医療系専門出版社で臨床看護誌・看護学習誌・看護学教科書の企画・編集に携わったのちに独立し、編集プロダクション・ナレッジリングを設立。医学書・医療書の製作と医療系ネットメディアの編集に携わる。

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