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松浦薬業に業務停止34日~漢方製剤の製造記録偽造

薬+読 編集部からのコメント

生薬の輸入・販売、粉末の製造・販売を手がけるほか、健康食品の製造・販売の製造受託も展開している松浦薬業(本社・名古屋市昭和区)が、国の承認内容と異なる製造方法で葛根湯エキスなど117品目の漢方製剤を製造し、製造記録を偽造するなどして、愛知県から業務停止処分を命じられました。処分は冨貴工場(知多郡)の医薬品製造業について8月8日から9月10日までの34日間、また名古屋市の本社営業所の第2医薬品製造販売業について、8月8日から9月8日までの32日間の業務停止です。

愛知県は8日、国の承認内容と異なる製造方法で葛根湯エキスなど117品目(医療用26品目、一般用91品目)の漢方製剤を製造し、さらに製造記録を偽造するなど適正な品質管理を怠ったとして、松浦薬業に対し、医薬品医療機器等法違反で業務停止処分を命じたと発表した。処分内容は、知多郡の冨貴工場の医薬品製造業について8日から9月10日までの34日間、また名古屋市の本社営業所の第2種医薬品製造販売業については8日から9月8日までの32日間の業務停止命令を出した。愛知県下の医薬品製造業に対する業務停止の行政処分としては過去最大の期間となる。


県医薬安全課によると、今年2月14日に同課宛ての匿名の通報を受け、同社冨貴工場への立入調査を実施し、製造管理の不備を発見。その後、製造管理に関する改善と出荷済み製品の検証を行う中で、7月25日に医薬品117品目で厚労省の承認内容と異なる製造があったことが判明。さらに、そのことが発覚しないよう製造に関する記録を偽造し、薬事監視員に対しても虚偽の答弁を行っていた事実を確認した。

 

今回の処分理由として、同社冨貴工場で製造する医薬品117品目が承認内容と異なる製造方法で製造され、製造に関する記録偽造を総括製造販売責任者が認識していたにも関わらず、遵守すべき品質管理を行うことなく適正な製造販売が行われるための必要な配慮を怠ったためとしている。

 

また、総括製造販売責任者が品質管理業務を適正に行わず、必要な措置を講じるよう製造販売業者に意見を述べていなかったほか、製造指図書、製造記録を偽造し、虚偽の記録に基づく出荷を行った。2015年から18年にかけては、県が実施した立入調査において、薬事監視員の質問に偽造した記録を提示し、虚偽の答弁を行ったことも挙げた。

 

同社が設置する医薬品製造管理者が保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、製造所に勤務する従業者等を適切に監督すべきところ、承認内容と異なる製造指図を行い、虚偽の記録作成に関わるなど必要な注意を怠っていたことも処分理由となった。

 

今回の行政処分について、県保健医療局生活衛生部の榊原徹部長は「処分を重く受け止め、業務改善に努めてもらいたい」とし、今後県下の医薬品製造所への無通告査察を検討していく考えを示した。

 

同社は1日付で不正製造した117品目について自主回収に着手し、国の承認内容と異なる方法で製造していた医薬品に関して承認規格に適合していることを確認。今回の事態に対し、ホームページ上で「行政処分を受けたことを重く受け止め、謹んで処分を受けると共に、関係者にお詫びする」と謝罪した。

 

今後、第三者委員会を設置し、事実の調査と原因究明を行い、再発防止策を検討していく考え。同社は、医薬品企業の責任について再度認識を深め、全従業員の再発防止への取り組みにより信頼回復に全力を注ぐと表明。「コンプライアンス強化、管理システムの体質改善に努めていきたい」としている。これまでに健康被害の報告はないという。

 

同社は、生薬の輸入・販売と粉末の製造・販売などを手がけるほか、健康食品の製造・販売、商品の製造受託も展開し、年間の売上高は約40億円。

 

近年、製造販売承認書と製造実態に相違が生じた事例などが発生したことを受け、17年6月に厚生労働省は医薬・生活衛生局長通知「医薬品の製造販売業者における三役の適切な業務実態について」を発出しているが、今回の件では三役業務が未だ適切に行われていない実態が浮き彫りとなった。

 

 

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出典:薬事日報

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