薬剤師の働き方 公開日:2015.04.20 薬剤師の働き方

第22回 遠藤敦 先生

東京オリンピックの開催が5年後の2020年に迫っています。
日本はオリンピック開催国として、国際オリンピック委員会(IOC)および世界アンチ・ドーピング機構(WADA)からオリンピックをドーピングのないクリーンな大会として成功させることが求められています。
そこで今回は、アンチ・ドーピング活動を推進するスポーツファーマシストの遠藤敦先生に、その役割についてうかがいました。

Q
スポーツファーマシストとしての知識は、競技者だけではなく薬局を訪れる地域の人たちの健康のためにも役立ちますか? 具体的にはどのようなときに活かせるのでしょうか。

薬学的なことだけではなく、患者さんを観察する力も身につく!

 

いつもと違う角度から薬理学を

 

治療という面からではなく、スポーツという面から薬物を見るとさまざまな発見があります。
クレンブテロール(スピロペント®)を例に挙げてみてみましょう。
クレンブテロールは、私たちが臨床現場において喘息や気管支炎の患者さんに調剤するお薬です。β2受容体を刺激して気管平滑筋に作用させ、気管支を広げる役割で用いますね。ところが、この薬物をスポーツの視点からみると、ドーピングに用いることができるのです。クレンブテロールには、気管支拡張作用のほかに蛋白同化作用があるためです。海外ではこの作用を畜産の領域において、筋肉が多い引き締まった肉質にするため、豚などの家畜に投与しています。これをヒトに使用するとどうなるかというと、脂肪が少なく筋肉の多い体をつくることができます。ですから、ボディビルなどの競技ではドーピングに使われるというわけです。
 
このように、スポーツファーマシストに必要な知識の勉強は、大学や臨床現場で学んできたこととはまったく異なる目線で薬物を見直すということです。楽しい学び直しの機会になるのではないでしょうか。
 

選手のマネジメントは、在宅患者さんのケアに似ている

 

選手のマネジメントは、在宅医療における在宅患者さんのマネジメントに似ていると私は感じています。
薬を服用する方のもとへ足を運び、その方のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)が最大限に維持できるよう、身体や生活の様子を観察して包括的にサポートしていく点が共通しているのではないでしょうか。
選手のマネジメントと在宅医療では、薬を飲む人が療養している在宅患者さんなのか、競技者なのかという違いがあります。しかし、どちらも薬学的な知識と観察力を用いてその方の健康を支えるという点で、薬剤師にしかできない仕事だと考えています。
 
在宅患者さんに寄り添って支援をすることに力を注いでいる薬剤師の中でも、スポーツに興味があるという方は、スポーツファーマシストとしての活動にもやりがいを見出すことができるのではと思います。

薬学的なことだけではなく、患者さんを観察する力も身につく!

 

いつもと違う角度から薬理学を

 

治療という面からではなく、スポーツという面から薬物を見るとさまざまな発見があります。
クレンブテロール(スピロペント®)を例に挙げてみてみましょう。
クレンブテロールは、私たちが臨床現場において喘息や気管支炎の患者さんに調剤するお薬です。β2受容体を刺激して気管平滑筋に作用させ、気管支を広げる役割で用いますね。ところが、この薬物をスポーツの視点からみると、ドーピングに用いることができるのです。クレンブテロールには、気管支拡張作用のほかに蛋白同化作用があるためです。海外ではこの作用を畜産の領域において、筋肉が多い引き締まった肉質にするため、豚などの家畜に投与しています。これをヒトに使用するとどうなるかというと、脂肪が少なく筋肉の多い体をつくることができます。ですから、ボディビルなどの競技ではドーピングに使われるというわけです。
 
このように、スポーツファーマシストに必要な知識の勉強は、大学や臨床現場で学んできたこととはまったく異なる目線で薬物を見直すということです。楽しい学び直しの機会になるのではないでしょうか。
 

選手のマネジメントは、在宅患者さんのケアに似ている

 

選手のマネジメントは、在宅医療における在宅患者さんのマネジメントに似ていると私は感じています。
薬を服用する方のもとへ足を運び、その方のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)が最大限に維持できるよう、身体や生活の様子を観察して包括的にサポートしていく点が共通しているのではないでしょうか。
選手のマネジメントと在宅医療では、薬を飲む人が療養している在宅患者さんなのか、競技者なのかという違いがあります。しかし、どちらも薬学的な知識と観察力を用いてその方の健康を支えるという点で、薬剤師にしかできない仕事だと考えています。
 
在宅患者さんに寄り添って支援をすることに力を注いでいる薬剤師の中でも、スポーツに興味があるという方は、スポーツファーマシストとしての活動にもやりがいを見出すことができるのではと思います。

遠藤敦先生プロフィール
遠藤敦先生プロフィール
日本初のドーピング防止活動を事業として行う株式会社アトラク代表取締役。薬剤師。公認スポーツファーマシスト。著書に『うっかりドーピング防止マニュアル』(リバネス出版)がある。
 

株式会社アトラク: http://atraq.co.jp/