【薬ゼミが自己採点】正答率は前回と同水準に~第110回薬剤師国家試験
2月22、23日に実施された第110回薬剤師国家試験で、薬剤師国試予備校大手の医学アカデミーグループ薬学ゼミナールが全受験者を対象に自己採点を実施した結果、27日現在で平均正答率は67.7%と、第109回国試と同程度となった。第106回、107回、109回と近似している傾向にあり、薬ゼミは全体の難易度はこれらと近しい「中等」と分析。必須問題は第109回より平均正答率が上昇したものの、理論問題は前回と同様に正答率が6割を下回り、中でも物理・生物は多くの受験者が苦戦し、正答率が3割台と低迷した。
第110回国試の受験生は前回から約300人減の1万4825人程度と予想される。27日時点での「薬ゼミ自己採点システム」に入力した受験者1万1245人の集計を行ったところ、平均正答率は67.7%となり、第109回の67.6%とほぼ変わらなかった。
必須問題の難易度は「平易」で、平均正答率は81.5%と前回の78.1%から2.4ポイント上昇し、「病態・薬物治療」を除く全ての科目で正答率が8割を超えた。必須問題全体としては、足切り該当者がいたと予想されている前回より少し易しかった。
理論問題の難易度は「やや難」で、平均正答率は58.4%と1.5ポイント低下し、第105回以降では最も低かった。特に基礎科目の難易度が高く、化学が53.9%と同水準を維持したが、物理が39.6%、生物が38.9%と10~20ポイント下がり、3科目平均の正答率は44.1%と10ポイント低下した。
薬ゼミは、物理・生物について「物理は与えられた文章や構造式から解答を導く計算問題が出題され、いずれも正答率が低かった。生物は図や構造式を用いた問題で読解力を要する問題が多く出題され、与えられた情報を正確に読み取る総合力が求められ、正答率の低い問題が多かった」と分析している。衛生も49.0%と5割を切った。
全体で見ると、生物の実験系問題、法規の再生医療等製品やQALYの意味を問うなど難易度の高い新傾向問題が増加した。与えられた構造式・模式図・グラフなどから正答を導く思考力を必要とする問題は継続して出題されていた。
実践問題の難易度は「中等」で、平均正答率は65.9%と0.8ポイント低下した。物理・化学・生物の3科目平均が59.0%と、第108回、第109回に続き6割を下回った。「法規・制度・倫理」も57.2%と約10ポイント下がっている。
学校薬剤師について、物理、衛生、実務の4連問が1題出題された。個別最適化薬物治療のために単回の検査値だけでなく、時間経過による検査値変動を把握し、適切な患者対応を行う問題が多く出題された。
予防についても薬剤師の対応が求められており、受診勧奨や保健機能食品の相談について、健康フェアでの対応を問う問題や製剤の特徴、接種後の副作用対策についてHPVや帯状疱疹のワクチンに関する問題が出題された。
木暮喜久子学長は、「基礎科目の知識を含めて学修した内容を臨床につなげて、患者個別の事例に対応する即戦力が求められていることがうかがえる。インスリンアナログ製剤の開発についての構造の問題や新薬の問題も出題されているため、実務実習中に新しく出てきた薬にも注目してもらいたい」と総評した。
第111回国試に向けては、「既出問題を理解する学修を基本としながら、腎機能を把握するためのeGFRをはじめとした基礎的な検査値について基準範囲と異常値を示す際の意図を学修し、検査値から疾患の推測や副作用の発見ができるようにする必要がある。時代背景を踏まえた時事的なトピックスも出題されているため、新聞やニュースなどで情報を収集するよう意識してほしい」とアドバイスを送る。
🔽 2025年「第110回薬剤師国家試験」について解説した記事はこちら
出典:株式会社薬事日報社
薬+読 編集部からのコメント
2025年2月22~23日に実施された第110回薬剤師国家試験について、薬学ゼミナールが全受験者を対象に自己採点を実施した結果、2月27日時点で平均正答率は67.7%と、2024年の第109回と同程度となりました。全体の難易度は第106回、第107回、第109回と近しい「中等」と分析しています。