「調剤の概念」新たに策定 ~ 薬剤師は処方意図を評価 日本薬学会
日本薬学会は、近年の薬剤師に求められる調剤業務を可視化し、薬剤師の行動目標を示すと共に、社会に対して説明責任を果たせるようにするため、「調剤の概念」を新たに策定した。薬剤師の調剤業務については、医薬品情報・患者情報を用い、薬学的観点から「処方の意図を評価し、処方を通じて患者に対して個別最適化された薬物療法を提供する」と明記。薬剤師がプロフェッショナルとしての意識を持ち、地域医療で多職種連携を通じて社会的責任を果たせるようにする狙いがある。「処方内容の監査」「薬剤調製」「薬剤等の監査」が示す業務も定義し、今後改訂される調剤指針に反映する予定だ。
薬剤師業務を取り巻く状況が変化する中、調剤を明確に定義した法令や通知は確認されておらず、薬剤師や医師をはじめ多職種の間でも、「調剤業務は薬剤調製のみ」といった狭義の理解にとどまるケースは少なくない。
薬剤師業務が対物から対人にシフトしている状況を踏まえ、薬学会のワーキンググループは日本医師会との意見交換などを通じ「調剤の概念とは、薬剤師が医薬品情報と患者情報を用いて薬学的観点から処方の意図を評価し、必要に応じて照会・提案を行った上で、処方に基づき患者に対して個別最適化された薬物療法を提供する一連の行為である。このプロセスは継続的に行われるものである」とまとめた。
「処方に従って」ではなく「処方の意図を評価し」と記載しているのがポイントだ。石井伊都子会頭は本紙の取材に対し、「『処方の意図を評価する』という業務は、医師に対するものではなく、薬剤師自身が薬学的観点から責任を持って処方の意図を評価し、患者に対して個別最適化された薬物療法を提供していくという決意表明でもある」と強調する。調剤の概念にある一連の行為、さらに1人の患者に対して継続的に行われることになる調剤のプロセスを「薬剤師が患者を見て一つひとつ確認しながら実施する」という意識を醸成していきたい考え。
調剤の概念の作成をめぐっては、昨夏に日本薬剤師会の岩月進会長から薬学会に依頼があり、昨秋に薬学会内にワーキンググループを設置した。2014年の薬剤師法改正、20年9月に施行された改正医薬品医療機器等法で薬剤師の職務像が可視化されたことも、調剤の概念化が必要とされた理由の一つとなる。
薬学教育6年制の導入以降、臨床教育は強化され、病院と薬局において対人業務への期待は高まっている。一方で、現場では対物業務から対人業務への十分な転換が進まず、医薬分業への批判もある。
石井氏は「患者や医師から信頼され、『薬剤師がいて良かった』と思われる成果につなげたい」と述べ、需要が拡大している在宅医療における貢献、真の地域連携への期待を示した。
そのほか、処方内容の監査は「処方内容について、患者情報および医薬品情報に照らし、薬学的観点から確認する行為」、薬剤調製は「処方箋の内容およびそれまでに得られている患者情報と最新の医薬品情報に照らし合わせ、薬学的観点から医薬品を患者が使用できる状態にすること」、薬剤等の監査は「薬剤、薬剤情報提供書等、患者に提供される物品および情報について、最終的に患者にとって最適であるかを確認する行為」とそれぞれ定義した。
出典:薬事日報


薬+読 編集部からのコメント
近年の薬剤師に求められる調剤業務を可視化し、薬剤師の行動目標を示すと共に、社会に対して説明責任を果たせるようにするため、日本薬学会が「調剤の概念」を新たに策定しました。