医療

動き出す離島の薬剤師採用 ~ 伊豆大島では9年ぶり新卒 東京都

薬+読 編集部からのコメント

離島・へき地における医薬品提供体制の確保が課題となる中、東京都の離島で薬剤師の採用が進みつつあります。行政の後押しを受け、離島の薬局で働くというワークスタイルが定着すれば、薬剤師の安定確保につながる可能性もあります。

東京都の離島で薬剤師の採用が進みつつある。伊豆大島で唯一の薬局「大島元町薬局」では来年4月に新卒薬剤師2人を採用する。同薬局の新卒採用は9年ぶりと想定外の成果が得られた格好だ。また、小笠原村診療所では薬剤師1人が採用され、今月から勤務を開始している。離島・へき地における医薬品提供体制の確保が課題となる中、行政の後押しを受けて離島の薬局で働くというワークスタイルが定着すれば、薬剤師の安定確保につながる可能性も出てきた。

 


 

東京都の島しょ部の薬剤師偏在指標は、薬剤師が充足している状態を示す1に対し、0.07と深刻な薬剤師不足に陥っている。こうした状況を踏まえ、都は薬剤師確保事業として、総務局が実施する島での暮らしを応援する事業「東京愛らんど」と連携を進めると共に、都のホームページや作成したチラシを通じて小笠原村診療所、大島元町薬局、町立八丈病院の3施設における薬剤師募集を支援した。

 

薬剤師6人が働く大島元町薬局は、募集人数4人のうち、同事業を含め3人の薬剤師採用に結びつけた。採用した1人は子育てを終えた女性薬剤師で、都が配布したチラシを見て応募し、既に勤務を開始している。

 

残る2人はいずれも新卒薬剤師となっている。2026年3月卒業、27年3月卒業見込みのいずれかは明らかにしていないが、来年4月からの勤務を予定している。

 

同薬局での新卒採用は16年以降で9年ぶり。1人は求人サイト経由、もう1人は薬局に直接問い合わせの電話があり、採用に至った。担当者は「採用活動を進める中で新卒薬剤師2人を採用できたのは驚いている」と話す。

 

東京から約1000km離れた小笠原村診療所でも、薬剤師1人の採用に漕ぎ着けた。同診療所の病床数は9床で、内科、小児科、外科、整形外科など総合的な診療を行っている。年間入院患者数は30人、年間外来患者数は9500人で、これまでも薬剤師1人が勤務していた。

 

新たに採用された薬剤師は小笠原村出身で、「薬剤師として小笠原村で勤務したい」との強い意思を持っていたという。同診療所は父島と母島に所在しているが、新任薬剤師は既に父島で勤務している。

 

離島・へき地の医薬品提供体制の構築に向けた取り組みが進められる中、2つの施設で薬剤師を採用できたことは追い風と言えそうだ。

 

一方、今回の採用は、個別求人に対する偶然の反応など、偶発的な要因が強い面も否めない。離島・へき地の薬剤師不足を解消するためには、都道府県や薬剤師会が島の医療機関や薬局で働く魅力について、薬剤師や大学薬学部の教員・学生、その保護者に対して積極的にPRしていく必要がある。

 

また、採用にとどまらず、長期就業につなげるための離職防止策も今後の課題となっている。

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出典:薬事日報

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