薬剤師の働き方 公開日:2025.08.08 薬剤師の働き方

薬剤師の面接のポイントとは?よくある質問・回答例や逆質問の注意点を紹介

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

薬剤師の面接では、新卒者なのか、転職者なのかによって質問内容が異なります。また、面接の最後に逆質問をする機会が設けられることも多いため、しっかりと面接対策をすることが大切です。本記事では、薬剤師の面接におけるポイントやよくある質問・回答例についてお伝えするとともに、逆質問をするときの注意点や面接に関するマナーについても解説します。

1.薬剤師の面接のポイント

薬剤師の面接を成功させるためには、企業研究や面接対策などの事前準備が必要です。ここでは、薬剤師の面接のポイントについてお伝えします。

 

1-1.企業研究や面接対策などの準備を怠らない

薬剤師の面接を成功させるためには、企業研究や面接対策が欠かせません。企業理念や業績を理解し、自分の価値観と一致する点を明確にすることで、面接時の質問に対する回答や志望動機、自己PRの説得力が増します。
 
また、服装や礼儀作法にも気を配り、第一印象をよくすることも、重要な面接対策です。十分に準備をすることで、自信を持って面接に臨むことができ、よい結果につながりやすくなります。

 

1-2.暗記したことを伝えるのではなく会話することを意識する

面接では、暗記した内容をそのまま話すのではなく、自然な会話を心がけることが重要です。準備した答えをただ読み上げるだけでは、自分の熱意や個性が伝わりにくくなるでしょう。
 
質問の意図をくみ取り、面接官が知りたい内容について適切に回答していくことができれば、コミュニケーション能力のアピールにもつながります。自然体で会話を進めることで、よりよい印象を残せる可能性も高まります。

 

1-3.なるべくポジティブな表現を使う

面接では、ネガティブな表現ではなく、なるべく前向きで建設的な言葉を選ぶことも大切です。例えば、過去の失敗といったネガティブな内容について聞かれた場合は、「失敗を通じて学んだことや成長した点」に焦点を当てて、ポジティブな内容になるよう心がけるとよいでしょう。
 
また、自分の強みや成果を具体的に挙げ、明るく自信を持ったトーンで話すことで、相手に好感を持ってもらいやすくなります。

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2.薬剤師の面接でよく聞かれる質問と回答例

続いて、薬剤師の面接でよく聞かれる質問と、その回答例について見ていきましょう。ただし、回答例はあくまで参考として、実際の面接では自分の言葉で質問に答えられるようにしておくことが大切です。

 

2-1.質問1「自己紹介をしてください」

自己紹介をするように言われた場合には、名前や学歴、経歴などを1~2分程度で伝えましょう

 

【回答例】
○○(自分の姓名)と申します。○○大学薬学部を卒業後、調剤薬局で○○年間勤務しております。現職では、主に服薬指導や調剤業務に携わっています。服薬指導では、患者さんと信頼関係を築くためのコミュニケーションを重視しています。御社の環境で自分自身をさらに成長させたいと考えております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 

2-2.質問2「長所と短所を教えてください」

長所と短所を質問された場合には、まずは「私の長所は○○です」など、結論を伝えてから、具体的なエピソードを紹介しましょう。また、短所は過剰にネガティブな内容にならないよう、短所への対策や改善点として伝えることがポイントです。

 

【回答例】
私の長所は、患者さんとのコミュニケーションを大切にするところです。患者さんのニーズを把握し、患者さんが知りたい情報を的確に伝えることを意識しており、患者さんから「困ったらあなたに相談するわね」といった言葉をいただいたこともあります。
短所は、新しい業務に慣れるのに少し時間がかかる点です。慣れると速く正確に対応できるようになるので、短いスパンで反復するなど、なるべく早く業務に慣れるよう心がけています。

 

2-3.質問3「志望動機を教えてください」

志望動機を質問されるのは、企業理念や方針と面接者の志望動機が一致しているかを面接官が確認するためです。そのため、志望動機を答える場合は、企業理念や独自性などを踏まえて回答する必要があります。

 

【回答例】
私は病院薬剤師として3年間、チーム医療の一員として働いてきました。その経験の中で、多職種との連携や退院後の服薬管理の重要性を学び、患者さんの自宅での薬物治療をサポートしたいと考えるようになりました。
御社の求人情報を拝見し、外来の服薬指導や在宅医療に力を入れている点に魅力を感じて志望いたしました。これまで培ったコミュニケーション力や調剤スキルを生かし、よりよい医療の提供に貢献したいと考えております。

 
🔽 薬剤師の志望動機の書き方について解説した記事はこちら


 

2-4.質問4「転職・退職の理由は何ですか?」

転職をする場合に必ず聞かれる質問が、転職・退職の理由です。転職理由が「残業が多い」「給与が低い」などネガティブな理由だったとしても、そのままの言葉で伝えるのは避けておくのが無難です。待遇面だけを改善するために転職するといった印象を持たれないよう、面接ではできるだけポジティブな理由を伝えることが大切です。

 

【回答例】
病院薬剤師として働く中で、外来患者さんのサポートにも関心を持つようになりました。特に、地域密着型の医療を提供する調剤薬局で、服薬指導や健康相談などを行い、患者さんの日常生活をサポートしたいと考えています。御社は地域医療に力を入れており、そのような環境で経験を積み、患者さんに貢献していきたいという思いから、転職を希望いたしました。

 
🔽 薬剤師の転職理由について解説した記事はこちら

 

2-5.質問5「学生時代に力を入れたことは何ですか?」

学生時代に力を入れていたことを質問されるのは、応募者の人柄や価値観、努力の方向性などを把握するためです。具体的なエピソードや成果を伝えると、よりよい印象を与えられるでしょう。

 

【回答例】
私は大学時代、地域の健康フェアや薬物乱用防止キャンペーンに参加する医療系サークルでの活動に力を入れていました。この経験を通じて、医療や健康に関する知識を広める重要性と、薬剤師としての責任を学びました。また、チームで計画を立ててイベントを成功させる中で、コミュニケーション能力やリーダーシップを磨くことができました。

 

2-6.質問6「薬剤師を目指した理由は何ですか?」

薬学部卒業後の就職先には、薬剤師以外にも企業や公務員などさまざまな選択肢があります。その中で、薬剤師を選んだ理由についてエピソードを交えて具体的に伝えるようにしましょう。

 

【回答例】
私は、実務実習を通して、臨床現場を支える存在になりたいと考えるようになりました。実務実習で患者さんとコミュニケーションを取る中で、薬物治療による効果だけでなく、心理的な安心感を提供することが治療効果に影響することを実感しました。その経験から、多くの方々の健康を支えられる薬剤師になりたいと思うようになりました。

 

2-7.質問7「これまでにどんな業務を経験しましたか?」

転職では、これまでの業務経験について質問されることが多いでしょう。自身の経験やスキルをアピールする機会なので、具体的なエピソードを添えて答えましょう

 

【回答例】
在宅医療を提供する薬局で、訪問服薬指導に携わりました。患者さんの自宅を訪問し、薬剤の服用状況や健康状態を確認する業務を通じて、患者さんとの信頼関係を築く大切さを学びました。また、医師や看護師と連携し、患者さんに合わせた薬剤調整や管理方法を提案することで、生活の質の向上に貢献してきました。

 

2-8.質問8「入社後に取り組みたいことを教えてください」

面接官は、応募者が自社にどのように貢献するかを見ています。そのため、取り組みたいことについて具体的に伝えることが大切です。

 

【回答例】
入社後は、現職での経験を活かして、調剤業務の効率化とミスゼロを目指して、業務改善にも積極的に取り組みたいと考えています。後輩指導や教育の面でもリーダーシップを発揮し、職場全体のスキル向上に貢献したいと思います。

 

2-9.質問9「今後のキャリアプランを教えてください」

今後のキャリアプランは、企業が求める人材と応募者が一致しているかを確認するための質問です。3年後、5年後の目標や達成するためにやりたいことなどを伝えましょう。

 

【回答例】
薬剤師として信頼される存在になるために、服薬指導のスキルや薬剤の相互作用、最新医療情報についての知識を深めていきたいと考えています。今後は、専門性を高めるために認定薬剤師の資格取得を目指します。また、将来的には管理薬剤師として、薬局運営やスタッフ教育にも携わりたいと思っています。

 
🔽 薬剤師のキャリアプランについて解説した記事はこちら

 

2-10.質問10「他に選考を受けている企業はありますか?」

他に選考を受けている企業について質問された場合には、基本的に正直に答えても問題ないでしょう。就職活動・転職活動では、複数社へ応募して同時進行することも少なくありません。そのため、他社の選考の有無だけで評価が変わる可能性は低いでしょう。

 

【回答例】
はい。他にも○社の選考を受けています。第一志望は御社ですので、内定をいただけた場合は、ぜひ入社させていただきたいと思っています。
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3.薬剤師の面接で逆質問をするときの注意点

薬剤師の面接では、面接の最後に「何か質問はありますか」と聞かれることが多いでしょう。その際は、逆質問をするときの注意点を理解した上で、自己アピールにつながる質問を心がけることが大切です。ここでは、逆質問するときの注意点についてお伝えします。

 

3-1.すでに説明されたことを繰り返し聞かない

すでに説明された内容については、繰り返し聞かないようにしましょう。説明された内容について具体的に確認したい場合は、「先ほど説明いただいた○○について、具体的な例があれば詳しく教えていただけますか」といった形で質問するのがおすすめです。

 

3-2.調べれば分かることは質問しない

ホームページなどで調べれば分かることについては、質問しないようにしましょう。調べれば分かることを質問してしまうと、十分に企業研究をしていないと思われてしまう可能性があります。自身の意欲や興味を示す質問をするよう心がけましょう。

 

3-3.給与や福利厚生に関することばかりを聞くのは避ける

入社にあたって気になる事項を質問することは問題ありませんが、給与や福利厚生など、待遇面の質問ばかりをするのは避けましょう。会社に貢献していく意思をアピールするためには、業務内容や企業が求めるスキルなど、仕事への意欲を示せる質問を優先させるとよいでしょう。

4.薬剤師の面接に関するマナー

薬剤師の面接では、時間に余裕を持って行動することが大切です。面接会場には5~10分前に到着するようにしましょう。また、清潔感のある身だしなみを心がけることも重要です。
 
スーツやシャツはクリーニング後などの汚れていないものを着用しましょう。髪の毛や爪を整えることに加え、たばこや強い香水のにおいは印象を悪くさせる可能性があるため、気をつける必要があります。

 
🔽 薬剤師が病院で面接を受けるときのマナーについて解説した記事はこちら

5.事前準備をしっかり行い薬剤師の面接を成功させよう

薬剤師の面接では、企業研究や面接対策をしっかり行ってから迎えるようにしましょう。事前準備をすることが就職活動を成功させるためのポイントです。また、面接でよく聞かれる質問について回答例を事前にシミュレーションしておくと、落ち着いて答えることができるでしょう。面接日に合わせて、髪の毛や爪を整えたり、スーツを準備したりすることも大切です。面接を成功させるためにも、事前準備をしっかり行いましょう。

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執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。