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キイトルーダ、非小細胞肺癌を追加‐新薬7品目の承認・一変了承

薬+読 編集部からのコメント

2016年11月24日(木)、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会はMSDの癌免疫療法薬「キイトルーダ」に対する「PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の効能追加など7品目の承認と一部変更承認を審議し、了承しました。

薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は24日、MSDの癌免疫療法薬「キイトルーダ」に対する「PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の効能追加など7品目の承認と一部変更承認を審議し、了承した。キイトルーダは、PD-L1発現の検査が必要で、厚生労働省によると現在、コンパニオン診断薬が審査中だという。

審査品目

 

トレアキシン点滴静注用25mg、同100mg(シンバイオ製薬):有効成分のベンダムスチン塩酸塩を含有し、「低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫およびマントル細胞リンパ腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

 

従来の効能・効果から「再発または難治性」を削除し、初回治療から使用できるようにする。その場合の用法・用量は、リツキシマブ(遺伝子組み換え)と併用し、同剤90mg/m2(体表面積)を1日1回1時間かけて点滴静注する。2日間連日投与し、26日間休薬する。

 

再審査期間は残余の2020年10月26日まで。海外では、未治療の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫の適応で15の国と地域、マントル細胞リンパ腫の適応で2カ国で承認されている。

 

アーウィナーゼ筋注用10000(大原薬品工業):新有効成分のクリサンタスパーゼを含有し、L-アスパラギナーゼ製剤に過敏症を示した場合の急性白血病(慢性白血病の急性転化例を含む)、悪性リンパ腫を効能・効果とする。

 

用法・用量は、他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、1日1回体表面積当たり2万5000Uを週3回筋肉内投与する。

 

再審査期間は8年。海外では18の国と地域で承認されている。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での開発要請品目。

 

キイトルーダ点滴静注20mg、同100mg(MSD):有効成分のペムブロリズマブ(遺伝子組み換え)を含有し、「PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の効能と用量を追加する。

 

同剤は、ヒトPD-L1(programmed cell death-1 ligand-1)に対するヒト化モノクローナル抗体で、小野薬品の「オプジーボ」と同じ作用機序だが、肺癌患者の初回治療に用いることができる点が異なる。

 

化学療法歴のない患者については、▽上皮増殖因子受容体(EGFR)遺伝子変異陰性▽未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子陰性▽腫瘍組織においてPD-L1を発現した腫瘍細胞が占める割合が50%以上――の場合に使用できる。

 

化学療法歴のある患者では、腫瘍組織にPD-L1を発現した腫瘍細胞が占める割合が1%以上の場合に用いることができる。PD-L1発現の検査に用いるコンパニオン診断薬は審査中で、厚労省によると、キイトルーダの発売までに使えるよう、審査を進めているという。

 

効能追加に伴う用法・用量は、1回200mgを3週間間隔で30分間かけて点滴静注する。

 

再審査期間は5年10カ月。海外では、化学療法歴のある患者に対する適応で米国・EUなど48の国と地域で承認されており、化学療法歴のない患者の適応では米国で承認されている。

 

リアメット配合錠(ノバルティスファーマ):新有効成分のアルテメテルとルメファントリンを含有し、「マラリア」を効能・効果とする。

 

同剤は、国内のマラリア発症例が年間約50例と極めて少ないことから、海外臨床試験成績、日本人の健康被験者を対象とした薬物動態試験成績などに基づき承認申請されたもの。

 

用法・用量は、体重35kg以上の患者には1回4錠を初回、初回投与後8時間、その後は1日2回朝、夕を2日間、計6回、食事と共に経口投与する。

 

再審査期間は8年。厚労省の未承認・適応外薬検討会議からの開発要請品目。海外では60以上の国と地域で承認されている。

 

デシコビ配合錠LT、同配合錠HT(日本たばこ産業):有効成分のエムトリシタビン、テノホビル アラフェナミドフマル酸塩を含有し、「HIV-1感染症」を効能・効果とする。

 

既承認の「ツルバダ配合錠」の配合成分のうち、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF)を、TDF投与時と比較して血漿中テノホビル濃度を低く抑えることができるテノホビルアラフェナミド(TAF)に置き換えたもの。

 

希少疾病用医薬品で再審査期間は残余の26年6月16日まで。海外では今年4月、欧州欧州や米国などで承認されている。

 

オテズラ錠10mg、同錠20mg、同錠30mg(セルジーン):新有効成分のアプレミラストを含有し、「局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬」を効能・効果とする。

 

同剤は、免疫細胞に発現するホスホジエステラーゼ(PDE4)を阻害することで、細胞内の環状アデノシン一リン酸(cAMP)の分解を抑制。病態に関わる炎症性サイトカインの産生を調整し、乾癬に対して効果を発揮すると考えられている。

 

用法・用量は、1日目に朝のみ10mgから始め、2日目以降決められた用量漸増スケジュールに従って1日2回朝夕に投与、6日目以降は30mgを1日2回朝夕に投与する。

 

再審査期間は8年。海外では、米国で関節症性乾癬および局面型乾癬に関する効能・効果で14年3月および9月、欧州では両効能・効果で15年1月に承認され、15年12月現在、36カ国で承認されている。

 

イラリス皮下注用150mg(ノバルティスファーマ):有効成分のカナキヌマブ(遺伝子組み換え)を含有し、「既存治療で効果不十分な家族性地中海熱、TNF受容体関連周期性症候群、高IgD症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症)」の効能・効果を追加する。

 

同剤は、炎症サイトカインのIL-1βに結合することで活性を中和し、炎症を抑える。

 

希少疾病用医薬品で再審査期間は10年。海外では米国で今年9月に承認され、欧州では審査中。

報告品目

 

ヴァクセムヒブ水性懸濁注(武田薬品):沈降ヘモフィルスb型ワクチン(無毒性変異ジフテリア毒素結合体)を含有し、「インフルエンザ菌b型による感染症の予防」を効能・効果とする。

 

今回、新たな用法・用量として、筋肉内注射を追加する。再審査期間は残余の24年1月21日まで。

2件の公知申請を了承

 

この日の部会では、厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で適応拡大が適当と判断された2件の事前評価を行い、公知申請を行って差し支えないと結論づけた。同日付で保険適用された。

 

タミフルドライシロップ3%(一般名:オセルタミビルリン酸塩):A型またはB型インフルエンザウイルス感染症(新生児、乳児)の適応を追加。

 

ベリナートP静注用500(乾燥濃縮人C1-インアクチベーター):遺伝性血管性浮腫の急性発作および処置前における短期予防の適応を追加。

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出典:薬事日報

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