医療機器

25年ぶりに一般用検査薬が登場‐今後も範囲拡大目指す

薬+読 編集部からのコメント

1991年に妊娠検査薬がOTC化されて以来、およそ25年ぶりに尿中LH(黄体形成ホルモン)を捉える「排卵日予測検査薬」が第1類医薬品として登場することになりました。一般消費者からは生活習慣病関連や、「癌」「肝機能」「インフルエンザの感染」などの自宅検査についての意向も高く、日本臨床検査薬協会は「引き続き日本OTC医薬品協会と共に、国民・生活者の健康に貢献できる一般用検査薬の拡大に取り組んでいきたい」としています。

上村氏
上村氏

 

尿中LH(黄体形成ホルモン)を捉える「排卵日予測検査薬」が、近く第1類医薬品として登場することになった。11月15日に3社(ロート製薬、ミズホメディー、アラクス)が承認を取得したもので、1991年に妊娠検査薬がOTC化されて以来、約25年間もの間、新たな一般用検査薬は認められていなかった。日本臨床検査薬協会(臨薬協)では、これまでも業界団体と協働で一般用検査薬の範囲拡大に取り組んできたが、「四半世紀ぶりにOTC化が実現した今回の排卵日予測検査薬にとどまらず、引き続き日本OTC医薬品協会と共に、国民・生活者の健康に貢献できる一般用検査薬の拡大に取り組んでいきたい」とする。


 

一般用(OTC)検査薬は、「体外診断用医薬品のうち、一般用医薬品(一般用検査薬)として薬局または医薬品販売業(店舗販売業、配置販売業)において取り扱うことが認められているもの」で、一般の人が自覚症状が現れた後ではなく、日常において自らの体調をチェックすることを目的としている。診断を目的とした医療用の体外診断用医薬品とは違い、あくまで“検査薬”という形であり、その検査結果から必要に応じて医療機関を受診し、疾患等の早期発見につなげることが期待されている。

 

これまで厚生労働省の承認を受けて販売されている一般用検査薬は、尿糖検査薬、尿蛋白検査薬、妊娠検査薬の3種類のみ(いずれも第2類医薬品に分類)。その市場規模は、尿糖検査薬と尿蛋白検査薬の二つを合わせて約3.4億円、妊娠検査薬が約31億円とされる。

 

日本での一般用検査薬は、90年に初めて尿糖・尿蛋白測定用検査薬がOTC化されたのに続いて、翌91年には妊娠検査薬がOTC化されている。しかし、その後約25年間、新たな一般用検査薬は認められていなかった。この間も、臨薬協では08年に策定した中期基本活動計画に基づき、法規委員会内に「OTC検査薬検討部会」を設置。OTC協など業界団体と共に、一般用検査薬の範囲拡大に向けて積極的に取り組んできた。

 

臨薬協OTC検査薬検討部会の上村浩部会長は「われわれが強調したいのは、定期的な健診等の受診率が必ずしも高くない現状において、選択肢の一つとしての一般用検査薬であって、決して医療機関への受診や定期健診に取って代わるものではないということ。自らの健康状態に関心を持ち、これを知るためのツールとしての検査薬という位置づけである。今回の承認に関しては、とにかく要望をし続けた転用の仕組みの早期構築が図られたことと、措置期限が設けられたことは非常に大きな前進と言える」とする。

 

臨薬協では11年6月に、生活者が一般用検査薬をどのように捉えているかを確認するため、OTC協と共同でウェブによる意識調査を行っている(全国の20~69歳の男女を対象。調査実施はインテージで、有効回答1029人)

 

一般用検査薬を使用して自宅で健康状態を検査したいかを聞いたところ、「検査してみたい」36.9%、「やや検査してみたい」45.7%と、8割超(82.6%)の高い希望意向が示された。その理由としては、検体採取方法にかかわらず「手軽で簡単」「自宅で検査できる」「すぐに結果が出る」ことが多く挙げられた。

 

さらに、期待されるメリットとしては「自身の健康を意識するようになる」「病気の早期発見、早期治療につながる」「健康状態が分かるので安心できる」との回答が多く、一般用検査薬を使用して知りたいこととしては、「コレステロールや中性脂肪が高いかどうか」「糖尿病(血糖値が高いかどうか)」「動脈硬化」などの生活習慣病関連や、「癌」「肝機能」「インフルエンザの感染」などの意向が高かった。

 

今回の承認に至るまでにも、医療機器・体外診断薬部会で様々な検討が行われ、これまでの一般用検査薬の導入に関する原則が見直された。この中では検査項目について『健康状態を把握し、受診につなげていけるもの。ただし、悪性腫瘍、心筋梗塞や遺伝性疾患など重大な疾患の診断に係るものは除く』『また、感染症に係る検査は個別の検査項目ごとに販売方法を含め慎重に検討を行う』とされたが、これに関して上村氏は「感染症が個別検討になったことについては、われわれとしては将来、インフルエンザ検査薬などの検討の余地が残ったのではとプラスに捉えている」とし、今後も検査項目の範囲拡大に向け、業界団体で連携を密にして取り組んでいく考えだ。

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出典:薬事日報

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