薬剤師のためのお役立ちコラム 更新日:2023.05.30公開日:2021.06.22 薬剤師のためのお役立ちコラム

【職場別】薬剤師が人間関係に悩む理由とは?解決策とストレス発散法も紹介

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

薬剤師は、限られた空間で長時間働くため、狭い人間関係に悩むことがあります。また、同僚だけでなく他職種との関わりに、不満を感じることもあるでしょう。今回は、薬剤師が人間関係に悩む理由を職場別にお伝えするとともに、人間関係の悩みについての解決法とストレス発散法をお伝えします。

1. 薬剤師の転職理由になりやすい「人間関係」

薬剤師の職場は、同僚だけでなく医師や看護師、医療事務などのさまざまな業種が集まります。人間関係も複雑になりがちで、うまく対応できないと悩む人もいるのではないでしょうか。

 

また、薬剤師は限られた空間で長時間働くため、同僚のちょっとした言動が気になることもあります。アドバイスに対しての反応が批判的だったり、調剤スピードが他のスタッフと比べて遅かったりすると、職場の雰囲気の悪化から業務に支障をきたすことも少なくありません。そうした不満の積み重ねが、人間関係に影響を与えるきっかけになります。

 
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2. 【職場別】薬剤師が人間関係で悩む理由

薬剤師が人間関係で悩む理由を職場別に見ていきましょう。

 

職場①病院

病院で働く薬剤師は薬剤師同士に加えて、他職種との関わり合いが多くなります。そのため、薬剤師は調剤や薬剤管理だけでなく他職種のスタッフが業務を行いやすいように、細かな配慮が求められがちです。部署によって忙しい時間帯が異なるので、連絡事項を伝えるタイミングを計る必要があったり、患者さんへの服薬指導を行う際には、他職種の業務との兼ね合いを見ながら行ったりするといった配慮を考えなければいけません。

他職種への配慮をしているつもりでも、なかなか理解されない、どうしてもタイミングが合わないといった場合には、お互いに不満を持つことがあるかもしれません。病院薬剤師は他職種との関わり合いが多い分、相手に配慮した行動が上手にできないと、人間関係に影響する可能性があります。

 

職場②調剤薬局

調剤薬局は、限られた空間のなかで多くのスタッフと連携しながら業務を行うため、苦手な人との接触を避けるのは難しいものです。仲の良い人でも、長時間同じの空間で毎日過ごすことで、息苦しさを感じることもあります。人によって性格が違い、上手に配慮できなければ、職場にいるだけでストレスを感じるかもしれません。

 

また、業務上、スタッフ全員が協力して調剤を行い、ミスの防止や待ち時間の短縮を目指すことになります。このとき、業務をこなすスピードが重視されるため、調剤スピードが遅いことが原因で同僚との関係が悪くなることもあります。

 

職場③ドラックストア

ドラックストアも病院と同様、薬剤師以外のスタッフが多い職場です。登録販売者や美容スタッフ、学生アルバイトなどが働いており、年齢や経歴、雇用形態もさまざまです。

 

立場の異なる幅広い年代と働くので、スタッフによって考え方が異なることがあり、それぞれに合わせたコミュニケーションが求められます。また、非正規社員が多い職場では毎日異なるスタッフと働く場合もあり、コミュニケーション不足から起こるトラブルで疲弊してしまうことがあるかもしれません。

 

 

職場④製薬企業

製薬企業で働く薬剤師の職種は、研究職や開発職、MR、DIとさまざまで、そのなかでもMRは人間関係のストレスを感じやすいと言われています。MRは社内の人間関係に加え、病院や調剤薬局との人間関係をもつ営業職です。

病院を担当するMRは医師や薬剤師と、調剤薬局を担当するMRは薬剤師や医療事務と接することになります。それぞれの考え方や価値観に合わせてコミュニケーションをとりながら営業につなげるため、人間関係が営業成績に影響しやすい傾向にあります。業績を上げるためには良い人間関係を築く必要がありますが、自分の感情と反した対応が求められると、人間関係を保つことに気疲れしてしまうかもしれません。

 
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3. 薬剤師は人間関係の悩みにどう対処する?

人間関係の悩みはどう対処したらよいのでしょうか。ここでは対処法についてお伝えします。

 

対処法①上司や同僚に相談する

人間関係の悪化が原因の悩みは、上司や同僚に相談してみるのも一つの方法です。苦手な同僚がいる場合には、最小限の関わり合いとなる環境を上司に作ってもらうことで、関係を修復するタイミングを計れるかもしれません。同僚に相談すれば、接触時にサポートしてもらいやすいでしょう。話しやすい環境作りに協力してもらうことでコミュニケーションが取りやすくなり、関係を修復できる可能性が高まります。

対処法②社外の人に相談する

上司や同僚に相談できない場合は、社外の人に相談することで人間関係の悩みが解決するかもしれません。社外の人だからこそ関係性を客観的に見て、アドバイスをもらえるでしょう。また、状況を説明することで自身の中で人間関係が悪化した原因を整理しやすくなり、自ら解決策を見出せるかもしれません。

 
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対処法③相手に興味を持つ

苦手意識のある相手は、どうしても悪いところばかりが目につきがちです。相手の良いところを見るように心がけると、相手を受け入れられるようになるかもしれません。また、休憩中などにプライベートな話をすることで、趣味などの共通の話題を見つけられる可能性もあります。相手に興味を持つことで、関係性を自発的に変えられないか考えてみましょう。

 

対処法④異動を検討する

複数の支店がある職場なら、異動を検討する手もあります。ストレスをかかえたまま同じ環境で働き続けることは、精神的にも良くありません。異動によって職場の雰囲気が変われば、働きやすさも変わります。人間関係の悩みが解決しないのであれば異動を検討してもよいでしょう。

 

対処法⑤転職する

人間関係が修復できず、また異動もできない環境なら、思い切って転職するのも一案です。人間関係を一度リセットすることで、新たな気持ちで働くことができるでしょう。ただし、人間関係のトラブルはどんな職場にもつきものです。人間関係を理由に転職を繰り返さないためにも、人間関係が悪化した原因と対策を考えておく必要はあるでしょう。

4. 人間関係が理由の転職で失敗しないための対策

ここでは、人間関係が理由の転職で失敗しないための対策を見ていきましょう。

 

転職対策①面接で転職理由を「人間関係」と伝えない

先にも述べた通り、人間関係のトラブルはどんな職場でも大なり小なりあるものです。そのため、面接の際、転職理由を人間関係と伝えてしまうと、採用しても人間関係がうまくいかなくなったら退職してしまうかもしれないと捉えられてしまいます。転職を考えたきっかけが人間関係だったとしても、身につけたいスキルがあるなどポジティブな理由で転職することで、新しい職場で目標をもって働けます。ポジティブな転職理由は採用側の印象も良くなるため、転職成功につながる可能性も高まります。

 

 

転職対策②必ず職場見学を行う

求人情報には「アットホームな職場」「和気あいあいとした仲の良い職場」などと書かれていることもありますが、働いてみないと実際の人間関係はわからないものです。人間関係を理由に転職する場合には、必ず職場見学を行いましょう。実際に働いている様子を見ることで、薬局長やスタッフ同士が会話をする様子がわかります。職場見学のポイントは、職場が忙しい時間帯を選ぶこと。忙しい時ほど本当の姿が現れるもの。ただし、忙しい時間帯の見学ができない場合もあるため、難しい場合は患者として来局してみるのも一つの方法です。

転職対策③派遣や紹介予定派遣で人間関係を確認する

事前見学を行っても人間関係の不安が残るのであれば、派遣や紹介予定派遣で転職先の人間関係を確認するのもよいでしょう。実際に働いてみることで、転職先の内情がわかります。職場スタッフとの相性だけでなく、異動や入退職の頻度など幅広い視点で確認できるため、安心して転職できるでしょう。また、派遣や紹介派遣で働くうちに人間関係が悪くなったり、人間関係が悪い職場と気がついたりした場合は、派遣期間の終了と共に職場から離れられるというメリットもあります。

5. 人間関係のストレスを上手に発散するのも大切

人間関係の悩みが原因でストレスが溜まってしまったら、上手に発散することも大切です。ここでは人間関係のストレスを発散する方法を見ていきましょう。

 

ストレス発散法①趣味を見つける

平日は職場と自宅の往復だけ、休日は日頃の疲れを癒すため一日家で寝ているという人もいるのではないでしょうか。体を休めることはとても大切ですが、趣味を見つけて仕事以外のことに没頭する時間を作ることも大切かもしれません。仕事の人間関係を考えることなく集中できるような趣味が、ストレス発散につながることもあるでしょう。

 

ストレス発散法②社外に友人を作る

職場の人とコミュニケーションをとって人間関係を良好に保とうとすること自体は悪いことではありません。しかし、職場以外の友人を作ることで、新しい価値観や考え方に触れる機会が増えます。社外の友人からいろいろな業種のいろいろな立場の話を聞くことで、現職で活かせる情報や考え方を得られるかもしれません。人間関係の悩みも考え方ひとつで解消される可能性があります。

ストレス発散法③ストレスを発散する際の注意点

ストレスがたまるとお酒やたばこに頼ってしまう方もいるかもしれません。少量で楽しく飲むのであれば、お酒は不安感を減らし陶酔感をもたらすため、コミュニケーションを円滑にする効果が期待できます。しかし、深酒や寝酒はかえって心身に悪影響を与える可能性があります。また厚生労働省の健康情報サイトによると、就床1時間前に飲んだアルコールは、少量でも睡眠の後半部分を障害するとされています。寝つきは良くても睡眠の質を下げてしまうため、お酒はほどほどに休肝日を作りながら飲むのがよいでしょう。

6. 人間関係のストレスを解消して、働きやすい環境に

複数人で働いている以上、人間関係の悩みはつきものです。ストレスを上手に発散することで、仕事にも前向きに取り組むことができ、人間関係の悩みを解消するための方法を見出せるかもしれません。ストレス発散が上手にできず、人間関係の悩みも解決しないのであれば、働きやすい環境を求めて、異動や転職を検討するのも良いでしょう。心の病気になる前に、人間関係のストレスを解消し、自身の働き方を見直すことが大切です。


執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。