薬局実習に行くことになりました。薬局に行く時は「私服」でいいとのことですが自由な服装でいいのでしょうか？

初めての実務実習の前は、誰でも様々な不安を感じると思います。特に身だしなみについては、個性が反映されることでもあり悩む人が多いかもしれません。実習先では、患者さんからは医療スタッフの一人として見られます。たとえ実習生であっても、医療人としての接遇マナーと身だしなみを心がけましょう。
 
医療人の身だしなみのポイントは「清潔第一」。実習中はもちろんですが、自宅と実習先の往復時も、患者さんや地域住民の方々にいつどこで見てられても「安心・安全」を感じさせる清潔感のある身だしなみが必須です。

 
► 【関連記事】薬局実習のお礼状はどう書く？実習時期別の例文とマナー

実習先に向かう移動中の服装については、相談者さんのように「私服でいい」とされる場合とスーツの着用を指示される場合があるようです。特に指示がない場合は、事前に確認しておくと慌てることなく準備ができます。

 
「私服でいい」と言われた場合、普段どおり何を着てもいいのか、といえばそんなことはありません。

 

 
たとえ私服でいいと言われていても、実習初日はスーツで訪問することをおすすめします。スーツを着用すると、服装マナーを守る意味だけでなく、実習への意気込みや熱意を伝えることもできます。
 
では「私服でいい」と言われた場合の「私服」とは、どのような服装なのか、具体的に考えてみます。
 
前述したように、清潔感があることが第一ですが、幅広い年代の患者さんや地域の方に安心・安全を感じてもらえるような服装を常に意識します。

 

 
男性は襟付きのシャツやジャケットにパンツ、女性はブラウスにスカートやパンツ、というのが定番の服装です。派手な色柄は避け、黒・紺・ベージュ・白といった落ち着いた色味のものがいいでしょう。実習中は白衣を着用すると思いますが、派手な色柄や文字が書かれたインナーは白衣から透けて見えることがあるので要注意。白や薄めの色の無地のインナーを選ぶと安心です。
 
「OKかNGか？」で迷ったときは「オフィスカジュアル」を基準にしてみてはいかがでしょう。例えば、胸元が大きく開いた服や丈の短いスカートなど、肌の露出が多いものはNGです。靴は、サンダル、ブーツ、ハイヒール等を避け、清潔でシンプルなものを選びましょう。

 

 
なお実習中は、白を基本とした室内履きを用意して履き替えます。靴下は白が基本で、スカートの場合は肌色のストッキングを着用します。いずれも素足や派手な色柄はNGです。
 　　　　
髪色は自然な色合いが基本。髪型については、前髪は目にかからないよう、目が見える長さで切るかシンプルなピンで留めるなどしましょう。アクセサリーは、腕時計以外は着けません。化粧は控えめに、自然に見えるメイクを心がけますが、ノーメイクはNGです。

 

 
香水等、香りが強いものは厳禁。制汗剤、整髪料等、日ごろ使いなれている香りは自分では気付かないこともありますので、香りが強すぎないか友人に聞いてみるなどして事前に必ずチェックしましょう。
 
以上、実習先への往復時の服装について細かく見てきました。実習中の服装マナーについては、以下の過去回を参考にしてください。

 
► Q1、薬剤師が気をつけるべき身だしなみとは？
► Q70、「薬剤師らしい髪型」とは？

 
医療現場では、常に相手の立場から身だしなみを考えることが大切です。実習中は学生気分をひとまず置いて、医療者として患者さんや他職種にも安心して受け入れられる服装を心がけましょう。服装への迷いや不安を事前に解消することで、実務実習そのものに集中できると思います。

• ► 薬剤師の接遇マナー・テクニックQ21.薬剤師のネイル・アクセサリーはどの程度なら許される？
• ► 薬剤師の接遇マナー・テクニックQ38.髪の毛を染めていることはよくないのでしょうか
• ► 薬剤師の接遇マナー・テクニックQ66.香水や柔軟剤などの強い香りについて

薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日　同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling！」: https://smilegrdn.exblog.jp/