引き止めに応じたとしても、退職の意思を変えないのがポイント
引き止められることは、相談者さんが頼りにされている証拠なので、ありがたい話だと思います。とはいえ、何度も引き止めが繰り返されるのは困りもの。特に薬剤師不足が続く地域であれば、「後任が決まるまでは辞めさせられない」「昇給するから残ってくれ」などと強い引き止めが繰り返される可能性もあります。
引き止めに応じる場合は、退職日についてきちんと話し合って決めておくことが大切です。理由をつけて退職日を先延ばしされたり引き止めが繰り返されたりしないように、退職の意思を決して変えない強い気持ちで話し合いに臨みましょう。
その際、ニコニコと愛想よくしていると、上司は「本気で辞める気がないのかも」と都合のよい解釈をしてしまうかもしれません。服薬指導の場ではやさしく笑顔での対応が必須ですが、退職の話し合いは別。決して譲らない、本気で退職を考えている、という強い決意を表情や態度でも表しましょう。
さらに、引き止めに応じた後も、退職予定日に確実に退職するためには、楽しそうににこやかに過ごすのではなく、上司やスタッフの前ではあえて「引き止めに応じて後悔している」「やっぱり早く辞めたい」ことを思わせる態度も時に必要かも。それでも万が一しつこく引き止められる場合は、遠慮せずに堂々と「絶対に〇月〇日に退職します」と言い切る勇気をもちましょう。
本気で退職を考えているのであれば、もし引き止めに応じたとしても、退職の強い意思を貫く姿勢が必要です。
引き止めを断りたいときは、退職理由を明確に伝えましょう
退職理由としては、上司を納得させられる理由があればバッチリです。転居や親の介護などはありのままを話せばOK。勤務条件の不満が理由の場合、そのまま伝えてしまうと「年収を上げる」「残業を減らす」などと提案され引き止められる可能性があるため、別の理由を考えてみましょう。
「専門薬剤師や認定薬剤師になるため、〇〇を勉強したい」「病院薬剤師になりたい」「在宅医療ができる薬局に転職したい」など、キャリアアップを目指した積極的な転職であることを理由として掲げることで、納得してもらいやすくなります。
退職を切り出すとき、正直さはもちろん大切ですが、ときには建前を使うこともアリだと思います。ただし、同じ地域での転職を考えている場合、勉強会で現職の同僚に再会することも考えられます。あらかじめ考慮して、あとで困らない理由を考えましょう。
転職は自分の人生の大切な転機です。悔いのないよう万全の準備を整えて、新しい未来へ進んでほしいと思います。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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