Q176 マイナ保険証の利用促進を円滑に行うには?
Q176 マイナ保険証の利用促進を円滑に行うには?
台本通りに進まなくても、不安に思うことはありません
ご相談にある通り、実際の患者さんとのやりとりが、台本のようにすんなり進むことはそれほど多くないでしょう。日ごろの患者さんとのやりとりを思い浮かべればイメージできると思うのですが、薬剤師の想定通りに会話が進まないことは多々あります。
従来の健康保険証との違いがわからず混乱してしまう患者さんや、ご案内の途中で「診察券はどうするの?」などと違うことを話し始める患者さんもいるでしょう。
「実際に対応すると、なかなかスムーズに読み上げていくことができない」のは相談者さんに限ったことではないので、心配することも、不安に感じることもありません。最初はうまくいかなくても、回を重ねるごとに、会話の流れに応じて患者さんが知りたい情報を提供できる余裕が出てくると思います。
「台本はいざという時の虎の巻」くらいに考えて、リラックスして臨むとスムーズに会話が進むかもしれません。
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薬剤師の接遇マナー・テクニック Q173 薬局の保険証確認時にいつも「忘れた」と言う患者さんにどう対応する?
患者さんに合わせて、話し方や言葉を変えましょう
最初に気を付けてほしいのは、台本にある文言をすべて読もうと思わないこと。トークスクリプトに書かれている内容や流れを頭に入れておくことは大切ですが、台本の通りに話を進めようと考えず、臨機応変に対応することが肝心です。
多少言葉を変えても問題ありません。説明が前後したり、脱線したり、同じ話を何度か繰り返したりしても、ゴールを忘れずに少しずつ話が前に進めばOKです。
次のポイントは、患者さんに合わせて話し方や言葉を変えること。たとえば、高齢の患者さんの場合、「マイナンバーカード」「カードリーダー」といったカタカナ言葉が続くだけで、説明が頭に入らなくなってしまうケースは少なくないと思います。
そんな時は、必要に応じてマイナンバーカードの見本などもお見せしながら、患者さんがわかりやすい言葉を選ぶと理解が進みやすいでしょう。トークスクリプトは標準語で記されていますが、患者さんの話し方を聞いて、患者さんがいつも使っている言葉で説明すると、安心して聞いてもらえます。
3つ目のポイントは、台本にとらわれすぎないこと。あくまでも台本ですから、説明方法は患者さんの数だけあります。患者さん一人ひとりの理解度や興味の持ちようを推察しながら、話を進めていけばいいのです。
台本通りに言わなくちゃ、と思えば思うほど、話がかみ合わなくなってしまう可能性もあります。大切なのは、患者さんがどのように感じているか、何がわかって何がわからないのかに思いを寄せることです。
マイナ保険証の説明を聞きながら、実は体調のことで相談したいと思っている患者さんもいるかもしれません。自分の知りたいことがわかれば、すんなりとマイナ保険証の説明を聞こうという気持ちになって、それこそ台本通りに会話が進むこともあるでしょう。常に患者さんの立場になって、患者さんが知りたいことを説明できるよう心がけてほしいと思います。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
※投稿者の特定を避けるため、一部内容を変更して掲載しております。