第39回 赤瀬朋秀 先生
現在、調剤薬局の店舗数はコンビニエンスストアをしのぐといわれています。処方箋獲得競争の激化、2014年度診療報酬の改定での調剤報酬引き下げなど、これまでと同じように業務を行っているだけでは経営を安定化させることが難しくなってきました。
年々、調剤薬局を取り巻く環境の厳しさが増していくなかで、生き残る薬局となるにはどうすればよいのでしょうか。
今回は薬剤師でありながらMBAを取得し、数々の薬局や病院の経営立て直しやコンサルテーションを実践してきた赤瀬朋秀先生にお話をうかがいました。全5回のシリーズです。
原稿/高垣育(薬剤師・ライター)
診療報酬・調剤報酬が改定されるたび、利益確保に頭を悩ませている薬局は多いのではないでしょうか。調剤にかかわる項目の点数引き下げによる利益の減少は、薬局にとって無視できない切実な問題だと思いますが、2年ごとに一喜一憂するのではなく、もう少し先の未来へと視点を合せて薬局経営を考えるようにしてみませんか。
未来といっても、10年後、20年後といった遠い未来の話ではなく、3~5年先の近い未来のことです。経営理念に沿った事業を実践しビジョンの実現に向け、3~5年後に自分の薬局がどうありたいか、自分あるいは従業員がどうなっていたいかの目標を定めましょう。目標を達成するために、どのような投資や施策を行うか考えていくのです。これを「中長期経営計画」といい、事業経営には欠かせません。
中長期経営計画を立てたところ経費削減の必要性が明確になり、たとえば薬剤の購入にかかる費用を3%減らす必要が出てきたとします。
従業員の多くは経営者から「現在の薬剤購入費の3%に相当する○○万円分を△ヵ月で削減するように」と言われたら、なんとか目標を達成しようと薬剤費削減に努めるでしょう。しかし同じ「薬剤購入費削減」というミッションでも、指示の出し方によって従業員のやる気をさらに高めることができます。
指示を出す際、そのミッションが会社全体の業績にどのように影響するのか、現場の従業員と一緒にシミュレーションしてみるといいでしょう。たった一店舗での経費削減が、会社という大きな組織の経常利益率を上げることもあります。
「自分たちの努力が、こんな風に会社の利益につながるのだ」といった「気づき」は、経費削減に取り組む現場の従業員の意識をよい方へ変化させます。そして、従業員は経費削減を「自分ごと」ととらえ、意欲的に取り組むようになってくれるのです。さらに、現場から工夫や改善のための意見が出てくるようになるかもしれません。
診療報酬・調剤報酬が改定されるたび、利益確保に頭を悩ませている薬局は多いのではないでしょうか。調剤にかかわる項目の点数引き下げによる利益の減少は、薬局にとって無視できない切実な問題だと思いますが、2年ごとに一喜一憂するのではなく、もう少し先の未来へと視点を合せて薬局経営を考えるようにしてみませんか。
未来といっても、10年後、20年後といった遠い未来の話ではなく、3~5年先の近い未来のことです。経営理念に沿った事業を実践しビジョンの実現に向け、3~5年後に自分の薬局がどうありたいか、自分あるいは従業員がどうなっていたいかの目標を定めましょう。目標を達成するために、どのような投資や施策を行うか考えていくのです。これを「中長期経営計画」といい、事業経営には欠かせません。
中長期経営計画を立てたところ経費削減の必要性が明確になり、たとえば薬剤の購入にかかる費用を3%減らす必要が出てきたとします。
従業員の多くは経営者から「現在の薬剤購入費の3%に相当する○○万円分を△ヵ月で削減するように」と言われたら、なんとか目標を達成しようと薬剤費削減に努めるでしょう。しかし同じ「薬剤購入費削減」というミッションでも、指示の出し方によって従業員のやる気をさらに高めることができます。
指示を出す際、そのミッションが会社全体の業績にどのように影響するのか、現場の従業員と一緒にシミュレーションしてみるといいでしょう。たった一店舗での経費削減が、会社という大きな組織の経常利益率を上げることもあります。
「自分たちの努力が、こんな風に会社の利益につながるのだ」といった「気づき」は、経費削減に取り組む現場の従業員の意識をよい方へ変化させます。そして、従業員は経費削減を「自分ごと」ととらえ、意欲的に取り組むようになってくれるのです。さらに、現場から工夫や改善のための意見が出てくるようになるかもしれません。
1989年に日本大学理工学部薬学科卒業後、慶應義塾大学病院薬剤部を経て北里大学病院薬剤部に入局。その後、経営学大学院に進学し経営学を学ぶ。MBA取得後9年間にわたって2つの病院において薬剤部門長を務め、2012年4月より現職。