薬剤師のスキルアップ 公開日:2025.07.24 薬剤師のスキルアップ

薬剤師の平均時給はいくら?パート・アルバイトや正社員の相場を紹介

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

薬剤師の平均時給は、企業の規模や地域、年齢などによって異なります。本記事では、パート・アルバイトなど短時間勤務の薬剤師と、正社員のようにフルタイムで働く薬剤師の平均時給を紹介します。加えて、パート・アルバイトの薬剤師が時給を上げる方法や、「106万円の壁」「130万円の壁」「160万円の壁(103万円の壁)」などの「年収の壁」について解説するとともに、時給で働く薬剤師、派遣薬剤師、正社員薬剤師のメリットとデメリットをお伝えします。

1.薬剤師の平均時給

厚生労働省の「令和6年(2024年)度賃金構造基本統計調査」では、パートやアルバイトなどの短時間労働をする薬剤師、正社員などのフルタイムで働く薬剤師の給与に関するデータがまとめられています。
 
ここでは、同調査をもとに算出した「パート・アルバイト薬剤師」と「フルタイム薬剤師」の平均時給についてお伝えします。

 

1-1.パート・アルバイトで働く薬剤師の平均時給

「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、パート・アルバイトといった「短時間労働者」に該当する薬剤師の平均時給は2,639円でした。この金額は同調査における「1時間当たり所定内給与額」で、賞与や残業手当などは含まれていません。
 
短時間労働者にあたる薬剤師の「企業規模別の平均時給」「平均労働日数」「1日平均労働時間」「年間賞与その他特別給与額」は、以下のとおりです。

 

【企業規模別】パートタイムで働く薬剤師の平均時給
企業規模
※10人以上
平均時給 平均労働日数 1日平均
労働時間
年間賞与
その他特別給与額
全体 2,639円 14.1日 6時間 9万5,000円
10~99人 2,607円 13.2日 5.5時間 12万8,600円
100~999人 2,748円 13.7日 6時間 8万5,300円
1,000人以上 2,505円 15.5日 6.4時間 8万500円

参考:令和6年賃金構造基本統計調査 短時間労働者 職種|政府統計の総合窓口
※平均時給=「1時間当たり所定内給与額」
※平均労働日数=「実労働日数」
※1日平均労働時間=「1日当たり所定内実労働時間数」
(厚生労働省「令和6年(2024年)度賃金構造基本統計調査」をもとに作成)

 

短時間労働者では、企業規模100~999人の平均時給が最も高く、2,748円でした。「年間賞与その他特別給与額」は、企業規模10~99人が12万8,600円と最も高い結果となっています。

 

1-2.フルタイムで働く薬剤師の平均時給

「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、フルタイムで働く薬剤師の平均時給は2,355.8円でした。この金額は「所定内給与額」を「所定内実労働時間数」で除して算出したもので、賞与や残業手当などは含めずに計算しています。
 
フルタイムで働く薬剤師の給料については、企業規模のほか、都道府県、年齢ごとのデータが公開されています。ここでは、「令和6年賃金構造基本統計調査」のデータから、それぞれの平均時給を紹介します。

 

1-2-1.企業規模別の平均時給

フルタイムで働く薬剤師の企業規模別の平均時給は、以下のとおりです。

 

【企業規模別】フルタイムで働く薬剤師の平均時給
企業規模
※10人以上
平均時給 所定内
給与額
所定内
実労働時間
年間賞与
その他特別給与額
全体 2,559.7円 40万7000円 159時間 82万3,600円
10~99人 2,546.7円 42万200円 165時間 67万8,000円
100~999人 2,725.5円 43万8,800円 161時間 70万1,100円
1,000人以上 2,408.3円 37万5,700円 156時間 97万8,600円

参考:令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種|政府統計の総合窓口
※平均時給=「所定内給与額」÷「所定内実労働時間数」、小数点第二位以下四捨五入

 

企業規模別では、100~999人の企業の平均時給が最も高い結果になっています。企業規模1,000人以上の企業は、平均時給が他の企業規模と比べて低いものの、「年間賞与その他特別給与額」は97万8,600円と最も高く、ボーナスによる年収アップが期待できそうです。

 

1-2-2.都道府県別の平均時給

フルタイムで働く薬剤師の都道府県別の平均時給は、以下のとおりです。

 

【都道府県別】フルタイムで働く薬剤師の平均時給
都道府県 平均時給 所定内
給与額
所定内
実労働時間
北海道 2,370.5円 36万9,800円 156時間
青森 2,568.6円 40万700円 156時間
岩手 2,920.0円 46万7,200円 160時間
宮城 2,389.3円 37万9,900円 159時間
秋田 2,552.5円 40万3,300円 158時間
山形 2,537.5円 40万6,000円 160時間
福島 2,310.3円 36万400円 156時間
茨城 2,556.7円 40万1,400円 157時間
栃木 2,534.4円 40万5,500円 160時間
群馬 2,201.2円 36万1,000円 164時間
埼玉 2,318.9円 36万8,700円 159時間
千葉 2,756.9円 46万400円 167時間
東京 2,583.9円 38万5,000円 149時間
神奈川 2,405.1円 37万5,200円 156時間
新潟 3,016.9円 46万4,600円 154時間
富山 2,334.5円 39万2,200円 168時間
石川 2,364.3円 39万7,200円 168時間
福井 2,184.9円 36万2,700円 166時間
山梨 2,978.2円 49万1,400円 165時間
長野 2,715.3円 44万2,600円 163時間
岐阜 2,535.4円 40万600円 158時間
静岡 2,571.1円 40万8,800円 159時間
愛知 2,795.9円 47万2,500円 169時間
三重 2,682.3円 42万3,800円 158時間
滋賀 2,313.1円 37万100円 160時間
京都 2,370.5円 36万9,800円 156時間
大阪 2,406.2円 38万9,800円 162時間
兵庫 2,218.9円 35万2,800円 159時間
奈良 2,424.7円 37万3,400円 154時間
和歌山 2,520.2円 41万800円 163時間
鳥取 2,474.7円 37万1,200円 150時間
島根 2,281.0円 34万9,000円 153時間
岡山 2,177.4円 33万7,500円 155時間
広島 3,300.6円 52万1,500円 158時間
山口 2,733.8円 42万1,000円 154時間
徳島 2,245.4円 34万1,300円 152時間
香川 2,892.6円 43万1,000円 149時間
愛媛 2,336.8円 38万900円 163時間
高知 2,697.5円 43万9,700円 163時間
福岡 2,314.0円 37万9,500円 164時間
佐賀 2,485.7円 41万7,600円 168時間
長崎 2,238.5円 36万400円 161時間
熊本 3,501.9円 54万9,800円 157時間
大分 2,493.0円 42万6,300円 171時間
宮崎 2,108.7円 36万2,700円 172時間
鹿児島 2,637.6円 45万6,300円 173時間
沖縄 2,220.5円 35万7,500円 161時間

参考:令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別|政府統計の総合窓口
※企業規模10人以上
※平均時給=所定内給与額÷所定内実労働時間数(小数点第二位以下四捨五入)

 

平均時給が高い都道府県のランキングは、以下のとおりです。

 

【都道府県別】フルタイムで働く薬剤師の平均時給ランキング
順位 都道府県 平均時給
1位 熊本 3,501.9円
2位 広島 3,300.6円
3位 新潟 3,016.9円

 

1-2-3.年齢別の平均時給

フルタイムで働く薬剤師の年齢別の平均時給は、以下のとおりです。

 

【年齢別】フルタイムで働く薬剤師の平均時給
年齢 平均時給 所定内
給与額
所定内
実労働時間
20~24歳 2,009.4円 32万1,500円 160時間
25~29歳 2,121.9円 33万9,500円 160時間
30~34歳 2,364.6円 38万700円 161時間
35~39歳 2,534.8円 40万500円 158時間
40~44歳 2,737.4円 42万4,300円 155時間
45~49歳 2,806.2円 45万1,800円 161時間
50~54歳 3,113.7円 50万1,300円 161時間
55~59歳 3,158.1円 50万5,300円 160時間
60~64歳 3,078.6円 48万9,500円 159時間
65~69歳 2,574.1円 40万6,700円 158時間
70歳~ 2,347.4円 35万6,800円 152時間

参考:令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種|政府統計の総合窓口
※企業規模10人以上
※平均時給=所定内給与額÷所定内実労働時間数(小数点第二位以下四捨五入)

 

平均時給のピークは55~59歳という結果になりました。フルタイムで働く薬剤師の平均時給は、20代・30代・40代・50代と年齢を重ねるごとに徐々に高くなっており、定年を迎えることが多い60代以降はピーク時より下がっていく傾向にあります。

 
🔽 薬剤師の年収について解説した記事はこちら

2.パート・アルバイトの薬剤師が時給を上げる方法

正社員は勤続年数の長さに応じて昇給や昇進が見込める場合が多いため、比較的コンスタントに給料アップが望めるでしょう。一方、パート・アルバイト薬剤師が働く職場は、時給が定期的に見直されるところや、勤続年数に限らず時給が固定されるところなどさまざまなため、必ずしも時給アップが実現できるとは限りません。
 
そのため、場合によっては時給をアップさせるために自ら時給交渉をしたり、時給が高い求人に応募したりする必要があるでしょう。ここでは、パート・アルバイトで働く薬剤師が時給を上げるための方法についてお伝えします。

 

2-1.資格を取得して条件交渉する

時給交渉をするのであれば、資格取得をアピールポイントとするのもよいでしょう。例えば、認定薬剤師の資格を取得すると、勤務時間によってはかかりつけ薬剤師になることが可能です。かかりつけ薬剤師は、調剤報酬アップにつながるため、時給交渉の材料となります。
 
他にも、ケアマネジャーの資格を取得して在宅医療に貢献するなど、調剤報酬に関わらない資格であっても、職場で役立てられる資格はあります。医療・福祉関連の資格取得を目指して、時給アップにつなげてみてはいかがでしょうか。

 
🔽 認定薬剤師について解説した記事はこちら

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2-2.人手不足の時間帯に出勤する

時給交渉をするなら、人手不足の時間帯に出勤できることをアピールするのもひとつの方法です。土日祝日や夕方以降は、薬剤師不足になりがちな時間帯です。そうした時間帯でも働くことができるなら、時給交渉の材料になるかもしれません。
 
また、来局者が少ない時間帯に一人薬剤師として対応できることを伝えるのもよいでしょう。人件費の削減につながる提案であり、交渉を有利に進められる可能性があります。

 
🔽 一人薬剤師について詳しく解説した記事はこちら

 

2-3.高い時給の業種に転職

薬剤師の時給相場は業種によっても異なるため、時給水準の高い業種に転職する方法もあります。記事執筆時点で「マイナビ薬剤師」に掲載されている情報では、以下のような条件の求人が多い傾向が見られました。

 

職場 時給
調剤薬局 約2,000~2,500円
ドラッグストア 約2,000~3,000円
病院 約1,800~2,500円

 

調剤薬局やドラッグストアに比べると、病院薬剤師の時給はやや低くなる傾向がありますが、人材不足が深刻な職場などでは、高時給となることもあります。
 
上記のデータはあくまで目安であり、職場によって異なりますが、業種による時給の差を理解しておくと、働く場所を選びやすいかもしれません。
 
なお、転職を機に時給交渉するのであれば、調剤経験のある診療科や認定薬剤師の資格など、スキルをアピールしてさらなる時給アップを目指すのもよいでしょう。

 

2-4.働くエリアを見直す

転職を機に時給アップを目指すのであれば、働く時間帯や業種の見直しに加え、働く場所について考慮するのもひとつの方法です。薬剤師は都市部より、人手不足になりやすい地域のほうが高時給になる場合があります。働く地域にこだわりがないのであれば、時給相場の高いエリアまで通勤範囲を広げられるかどうか検討してみましょう。
 
また、都市部においても時給には差があります。駅近や複数の路線が乗り入れるターミナル駅周辺の職場は、人が集まりやすいため時給も上がりにくいケースがあります。時給を重視するのであれば、通勤に不便な場所の求人を探してみるのも一案です。

3.時給で働く薬剤師が知っておきたい「年収の壁」

パート・アルバイトなど時給で働く薬剤師は、所得税や社会保険料について知っておくとよいでしょう。近年では、「○○万円の壁」が注目されており、メディアやSNSなどでも度々話題になっています。ここでは、いわゆる「年収の壁」のうち、「106万円の壁」「130万円の壁」「160万円の壁(103万円)」についてお伝えします。

 

3-1.社会保険料における「106万円の壁」と「130万円の壁」

「106万円の壁」「130万円の壁」は、いずれも社会保険料の負担が発生する年収のボーダーラインを示しているものです。

 

106万円の壁 130万円の壁
加入制度 厚生年金保険・健康保険 国民年金・国民健康保険
対象 ● 所定内賃金が月8.8万円以上(年収換算で約106万円以上)
● 所定労働時間が週20時間以上
● 事業所の従業員数が51人以上
● 学生ではない
● 年間収入が130万円以上
● 事業所の従業員数が50人以下
負担金額 約16万円 約27万円

参考:「年収の壁」対策がスタート!パートやアルバイトはどうなる?|政府広報オンライン
参考:「年収の壁」対策|首相官邸
※年収が約106万円または約130万円に達した場合の一般的なケースにおける年額

 

社会保険料の負担が生じることで手取り収入が減らないようにするため、年収が約106万円または約130万円以内になるよう、働き控えをする人は少なくないとされています。
 
さらなる企業の人材不足といった懸念があることから、政府はキャリアアップ助成金の支給、被扶養者認定の円滑化などの取り組みを行っています。
 
ただし、2025年(令和7年)の年金制度改正法により、賃金要件の撤廃や企業規模要件の段階的な撤廃が決定しており、社会保険の加入対象者はさらに増加することが見込まれます。
 
参考:「年収の壁」への対応|厚生労働省
参考:年金制度改正法が成立しました|厚生労働省

 

3-2.所得税における「160万円の壁(103万円の壁)」

一般的に企業で働いて得た収入は「給与所得」に分類され、給与所得控除と基礎控除の所得控除が受けられます。課税される所得は、所得控除を差し引いた後の金額です。
 
これまで、給与所得控除は最低55万円、基礎控除は48万円だったため、所得税の支払い義務が生じるボーダーラインを「103万円の壁」と呼んでいました。
 
しかし、2025年度(令和7年度)税制改正で、給与所得控除が65万円、基礎控除が95万円に引き上げられたため、「160万円の壁」(65万円+95万円=160万円)が注目されています。
 
ただし、基礎控除については、以下のように合計所得金額や期間に制限があります。

 

合計所得金額 基礎控除額
令和7・8年分 令和9年分以後 改正前
~132万円 95万円 48万円
132万円~336万円 88万円 58万円
336万円~489万円 68万円
489万円~655万円 63万円
655万円~2,350万円 58万円

参考:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)|国税庁

 

合計所得金額が2,350万円を超えた場合の基礎控除額に改正はありません。
 
また、給与所得控除については、給与の収入金額が190万円以下である場合の控除額が65万円となっており、190万円を超えた場合の控除額については改正されていません。
 
参考:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について|国税庁
参考:家族と税|国税庁

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4.時給で働く薬剤師のメリット・デメリット

時給で働くメリットとデメリットには、以下のようなものがあります。

 

4-1.時給で働くメリット

パートやアルバイトなど時給で働く薬剤師は、正社員に比べて勤務時間の融通が利くのが大きなメリットです。ダブルワークをしている人や、子育て・介護などのためにワークライフバランスを重視したい人は働きやすいでしょう。
 
また、基本的に転勤や異動などがほとんどない点もメリットといえます。薬剤師の仕事は、店舗によって扱う薬や業務内容、処方パターンが異なるため、転勤や異動があるとその都度、店舗のルールを覚えなければなりません。
 
環境が変われば、人間関係を新たに構築する必要があり精神的な負担もあります。パートやアルバイトは、正社員と比べると異動や転勤を命じられることが少ないため、ずっと同じ環境で働きたい人には合っている働き方といえます。

 

4-2.時給で働くデメリット

時給制のパートやアルバイトで働く薬剤師は、職場によっては昇給やボーナスがない場合があり、正社員と比較すると待遇面で不利な点があります。退職金も出ないことが多いため、薬剤師として働くことで得られる生涯収入も正社員と比べて低くなりがちです。
 
また、正社員の薬剤師に比べると、業務内容が限定される傾向があります。さまざまな勤務地・部門で働きたい人や後輩育成に貢献したい人、経営に携わりたい人は、時給制のパートやアルバイトよりも正社員として働くほうがやりがいを感じる働き方ができるでしょう。

 
🔽 パート薬剤師が正社員になるメリット・デメリットを解説した記事はこちら

5.薬剤師が派遣で働くメリット・デメリット

薬剤師が派遣で働く上でのメリットとデメリットについて見ていきましょう。

 

5-1.派遣で働くメリット

薬剤師が派遣で働くメリットとして、次のようなことが挙げられます。

 

● ライフスタイルやライフステージに合わせて働き方を選べる
● さまざまな経験を積める
● 時給が高い傾向にある

 

派遣で働くと、働く時間や曜日などを自身で自由に決めやすいのが利点です。例えば、長期旅行をするために、一定期間しっかりと働き、旅行資金が十分に貯まったら、数カ月休みを取るといった働き方も可能になるかもしれません。
 
また、結婚や出産、子育て、介護などのライフステージの変化に合わせて、働く時間帯や出勤日数を調節することもできるでしょう。残業が必要になることも比較的少ないため、仕事とプライベートを両立させたい人に向いている働き方です。
 
派遣社員は、さまざまな職場を経験しやすい点もメリットです。病院薬剤師や薬局薬剤師の経験を積んだり、多くの診療科に携わったりすることで、スキルアップを目指せるでしょう。
 
さらに、パート・アルバイトに比べると高い時給が設定されている傾向にあることも、派遣薬剤師の特徴です。高額なケースでは時給3,000円以上になることもある点はメリットといえます。

 

5-2.派遣で働くデメリット

薬剤師が派遣で働くデメリットには、次のようなことが挙げられます。

 

● 同じ職場で働ける期間が限定されている
● 希望に合った派遣先が見つからない場合がある
● 即戦力が期待される
● 派遣切りのリスクがある

 

派遣は働く期間があらかじめ設定されているため、長期間、同じ職場で働きたい場合には、デメリットとなるでしょう。派遣社員が同じ職場に継続して派遣される期間は、原則3年とされています。労働組合への意見聴取などによって、3年以上働けるケースもありますが、基本的には3年を超えて働くことができません。自身が同じ職場で長期間働くことを希望しても、叶わないケースがあることはデメリットといえます
 
参考:派遣社員を受け入れるときの主なポイント|厚生労働省
 
その他、派遣先が正社員やパート・アルバイトへの雇用に切り替えることになれば、「派遣切り」の可能性もあるでしょう。どんなに働きやすい職場であっても、派遣先の状況によって働き続けるのが難しくなることがあります。
 
また、希望条件を細かく設定しすぎたことで派遣先が見つからなかったり、派遣先の求める知識やスキルが高度なため過度にプレッシャーを感じたりすることもあるでしょう。希望条件の調整や派遣社員に対する過度な期待などによって、想定より働きづらさを感じることもあります。

 
🔽 派遣薬剤師について解説した記事はこちら

6.薬剤師が正社員で働くメリット・デメリット

薬剤師が正社員で働く上でのメリットとデメリットを見ていきましょう。

 

6-1.正社員で働くメリット

薬剤師が正社員で働くメリットとして、次のようなことが挙げられます。

 

● 責任のある仕事を任される
● 研修や勉強会などのサポートを受けられる
● 福利厚生が充実している

 

正社員は、パートタイムなどの働き方では対応が難しい、責任のある役職などに就くことができます。例えば、薬局長やエリアマネジャーといった経営に関わる役職や、新人の教育担当といった人材育成に関わる業務に就けるのは、正社員で働くメリットといえます。
 
また、薬剤師は自己研鑽が求められる職業ですが、仕事の後に外部の研修会や勉強会に参加するのは、情報収集や申し込み、シフト調整といったことが必要なため、意外と大変なものです。正社員として働くと、研修会や勉強会を受講するためのサポートを受けられたり、費用が会社負担となったりする場合もあります。経営や人材育成に関わる経験ができたり、自己研鑽の機会が得られたりすることで自身のスキルアップにつながりやすい点はメリットといえるでしょう
 
また、正社員は雇用期間が限定されていないため、長期間働くことで年収や賞与が上がっていきやすくなります。パート・アルバイトや派遣といった働き方に比べると、社会保険、住宅手当といった福利厚生も充実していることが多いでしょう。失業するリスクが少ないため社会的な信用が得られやすい点も、正社員のメリットです

 

6-2.正社員で働くデメリット

薬剤師が正社員で働くデメリットについては、次のようなことが挙げられます。

 

● 休日出勤や残業が発生することがある
● 出勤時間や出勤日数の調整が難しい
● 転勤する場合がある

 

正社員は派遣やパート・アルバイトなどと比較して責任のある業務を任される傾向にあるため、状況によって休日出勤や残業をしなければならないこと、シフト外の勤務が必要なこともあるでしょう。
 
また、パート・アルバイトの働き方と比べると、出勤時間や出勤日数などが調整しづらい傾向にあります。正社員は基本的に1日8時間、週40時間労働のフルタイム勤務が多いため、育児や介護、レジャーなどを理由に出勤日数や出勤時間が調整しづらい点はデメリットとなり得るでしょう。
 
全国展開をしている調剤薬局チェーンなどでは、転居を伴う異動を命じられることがあります。正社員として就職する際は、企業規模によって転居や単身赴任をする可能性がある点も心得ておきましょう。

7.時給と職場環境のバランスを見て求人を探そう

薬剤師の働き方には、正社員や派遣、パートやアルバイトなどがありますが、それぞれメリットやデメリットがあります。また、扶養内で働く、節税を意識するといった自身の状況や考え方によって、働き方の選択肢も変わることでしょう。自身のライフスタイルに合った働きやすい環境と、時給や職場環境のバランスを見極めながら、働き方と働く場所を選ぶことが大切です。

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執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。