実際にあった! 薬剤師あるある体験談 公開日:2025.01.24 実際にあった! 薬剤師あるある体験談

 

医療に欠かせない職種でありながら、どこか影が薄いと言われてしまうこともある、薬剤師という哀しき存在……。「あるある話」を通して、もっと知ってください。私たち薬剤師のこと!

 

薬剤師なのに、病院で「看護師さん!」と呼ばれたとき【薬剤師のあるあるシーン#5】

 

「薬剤師です」とは名乗らず、そのまま対応してしまう

イラスト/浅水シマ

 

「薬剤師です」とは名乗らず、そのまま対応してしまう

 

病院の女性職員というと、大多数が看護師です。その中で働く女性薬剤師は、ユニフォームもまったく違うのに、廊下で患者さんから「看護師さん!」と呼び止められることがしばしば。たいていの場合、単に「通りがかった職員」に用があって呼ばれているので、あえて薬剤師だと名乗ることもなく、看護師だという体で話をし、そのことに患者さんも気付きません。私の経験では、東京でも地方でも、どこの病院で働いていても、そういうことがありました。薬剤師として少し悲しいと感じるのは、私だけでしょうか。
 
ある勉強会で「薬剤師は自己主張の弱い職種」だと言われたことがあります。自己主張が強いかどうかは人によるし、廊下で「看護師さん!」と呼び止められたときに訂正しないことが自己主張の弱さだとも思いませんが、それはそれとしてうなずける部分もあります。
 
病棟薬剤師業務が導入されるとき、盛んに「顔の見える薬剤師」という表現を聞きました。それを言葉にしなければならないということは、それだけ患者さんに認知されていないことの裏返しなのでしょう。確かに、病院薬剤師が持っている専門性をすべて出し切っていたかと言われれば、消極的な面も手伝って、いま一つだったかもしれないですね。患者さんに薬剤師の「顔」を知ってもらえていたら、もっと頼りにされていたはず。そう思うのは私の独りよがりではないはずです。
 
薬剤師の存在を知ってもらわないと、その良い面も伝わりません。自分はやってこなかったのに何ですが、女性薬剤師の皆さん、「看護師さん!」と呼び止められたら「はい、薬剤師です」と笑顔で応じてみてはどうでしょうか。冗談ではなく、薬剤師の未来は皆さんにかかっています。まずは小さなことから、意識改革を!

藤野紗衣さんのプロフィール画像
執筆/藤野紗衣(ふじの さえ)

東北大学薬学部卒業後、ドラッグストアや精神科病院、一般病院に勤務。現在はライターとして医療系編集プロダクション・ナレッジリングのメンバー。専門知識を一般の方に分かりやすく伝える、薬剤師をはじめ働く人を支えることを念頭に、医療関連のコラムや解説記事、取材記事の制作に携わっている。
ウェブサイト:https://www.knowledge-ring.jp/