実際にあった! 薬剤師あるある体験談 公開日:2025.06.20 実際にあった! 薬剤師あるある体験談

 

医療に欠かせない職種でありながら、どこか影が薄いと言われてしまうこともある、薬剤師という哀しき存在……。「あるある話」を通して、もっと知ってください。私たち薬剤師のこと!

 

あれ?何の話をしてたんだっけ?【薬剤師のあるあるシーン#10】

 

あれ?何の話をしてたんだっけ?薬剤師のあるある

イラスト/浅水シマ

 

患者さんとのコミュニケーションを大切にするあまり「脱線」することも

 

患者さんは、薬局で薬を受け取る時、薬剤師からさまざまな説明を受ける機会があると思います。これは「服薬指導」と呼ばれる、私たち薬剤師の重要な仕事の一つです。

 

服薬指導は、薬剤師法において「薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たつている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない」というように義務付けられています。単に薬をお渡しするだけでなく、それを正しく、そして最大限効果的に使ってもらえるよう専門的見地からアドバイスをしているわけですね。

 

参考:薬剤師法 第二十五条の二(情報の提供及び指導)|e-Gov 法令検索

 

この服薬指導、実は薬剤師一人ひとりの個性や工夫が色濃く表れる場面です。通り一遍の説明だけでなく、患者さんの生活や気持ちに寄り添うことを大切にしている薬剤師は多いでしょう。

 

例えば、生活習慣病の薬をお出しする時、「油っぽいものは少し控えめにしてくださいね」と伝えたところ、患者さんから「でもね、揚げ物っておいしいから、ついつい食べ過ぎちゃう」なんて本音が漏れることがあります。そして、「分かります! おいしいものはなかなかやめられませんよね」と、思わず強く共感してしまうことがあります。

 

また、「年末年始についごちそうを食べ過ぎちゃって……」という話が出れば、「いや、この時期は仕方ないですよ。私も……」なんて、自分の経験も交えて話が弾むこともあります。患者さんとの信頼関係を築いて、アドバイスを受け入れてもらうためには、こうした日常会話を通して共感を伝えることも時には必要だと考えているからです。

 

とはいえ、患者さんと生活習慣の話で盛り上がっていると、ふと「薬の説明はきちんとしたっけ?」と、話の本筋を見失いそうになることがたまにあります。患者さんとのコミュニケーションを大切にするあまり、本題から少し脱線してしまう――これも、毎日患者さんと接する私たち薬剤師の「あるあるな瞬間」だと思います。

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執筆/藤野紗衣(ふじの さえ)

東北大学薬学部卒業後、ドラッグストアや精神科病院、一般病院に勤務。現在はライターとして医療系編集プロダクション・ナレッジリングのメンバー。専門知識を一般の方に分かりやすく伝える、薬剤師をはじめ働く人を支えることを念頭に、医療関連のコラムや解説記事、取材記事の制作に携わっている。
ウェブサイト:https://www.knowledge-ring.jp/