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抗菌薬使用手引きで素案‐かぜに「投与しない」推奨

薬+読 編集部からのコメント

2017年1月30日(月)、厚生労働省はウイルス性の急性気道感染症のうち、いわゆる“かぜ”には抗菌薬投与を行わないことを推奨する、抗微生物薬適正使用の手引きのたたき台を厚生科学審議会の作業部会に提示しました。手引きは外来診療を行う医師などへ向け抗微生物薬が必要な状況、必要でない状況を判別できるよう診療を支援することを念頭に置いた内容とし、具体的な事例が記載されているようです。

厚生労働省は1月30日、抗微生物薬適正使用の手引きのたたき台を、厚生科学審議会の作業部会に示した。鼻水や喉の痛み、咳や痰によるウイルス性の急性気道感染症のうち、いわゆる“かぜ”には抗菌薬投与を行わないことを推奨した。急性鼻副鼻腔炎に対しては、中等症と重症の場合のみアモキシシリンを5~7日間内服する抗菌薬投与の検討を推奨した。

 

手引きは、外来診療を行う医師などに抗微生物薬が必要な状況、必要でない状況を判別できるよう診療を支援することを念頭に置いた内容とし、不必要な抗菌薬が処方されていることが多いとみられる急性気道感染症、急性下痢症に焦点を当てたもの。総論と各論で構成されている。

 

いわゆる“かぜ”を含めた急性気道感染症については、原因微生物の約9割がウイルスとされるとし、細菌が関与する場合はごく一部と指摘。鼻水などの鼻症状、喉の痛みなど咽頭症状、咳や痰などの下気道症状が同時にあるウイルス性の急性気道感染症を感冒と位置づけた上で、感冒には抗菌薬投与を行わないことを推奨した。

 

急性鼻副鼻腔炎に対しては、細菌性でも抗菌薬投与の有無にかかわらず2週間以内に約7割の患者が治癒するとされ、抗菌薬投与群で副作用の発生割合が多いなど欠点が利点を上回る可能性があることから、軽症例では抗菌薬投与を行わないことを推奨した。

 

ただ、鼻水などの症状が中等症・重症の場合のみ抗菌薬投与を検討することとし、基本的にはアモキシシリンを5~7日間内服することを推奨。耐性菌である危険性が高い症例や1次治療不応例にはアモキシシリン/クラブラン酸を選択することを記載した。βラクタム剤にアレルギーがある場合にはレボフロキサシンを5~7日間内服すること、さらに難治例には耳鼻咽喉科専門医に治療方針を相談した上で、10~14日間の抗菌薬治療を行うことを推奨した。一方で、第3世代セファロスポリン、マクロライドは選択しないよう勧めている。

 

急性咽頭炎・扁桃炎に対しては、A群β溶血性連鎖球菌(GAS)の迅速検査か培養検査により、菌が検出されていない場合は抗菌薬投与を行わないことを推奨する一方、菌が検出された急性咽頭炎・扁桃炎に対しては、ペニシリン系抗菌薬を第1選択薬として10日間投与することを推奨。

 

ただ、軽症のペニシリンアレルギーがある場合は、第1世代セファロスポリン系抗菌薬のセファレキシンを、重症のペニシリンアレルギーがある場合にはクリンダマイシンを選択し、マクロライド系抗菌薬を使うことは推奨しないとした。

 

急性気管支炎に対しても抗菌薬投与は推奨しないとし、さらに、急性下痢症には、まず水分摂取を励行した上で基本的に対症療法のみ行うとした。

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出典:薬事日報

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