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新たな抗てんかん薬登場‐新薬等6件を審議・了承

薬+読 編集部からのコメント

薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会が2016年2月24日、6件を審議、承認しました。エーザイの抗てんかん薬「フィコンパ錠」は他の薬で十分な効果が認められていない患者の部分発作、強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法を効能・効果とするとのことです。

薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は24日、エーザイの抗てんかん薬「フィコンパ錠」(一般名=ペランパネル水和物)など6件を審議し、承認を了承した。

 

〈審議品目〉

 

▽サブリル散分包500mg(サノフィ):有効成分のビガバトリンを含有し、点頭てんかんを効能・効果とする。

 

同疾患は、難治性のてんかんで、通常1歳未満の乳児に発症する。乳幼児での死亡率は5~30%と推定され、予後は不良。推定患者数は2997人。同疾患に対しては、既存薬で著効しないケースが多く、十分な治療法が確立されていないが、同剤は海外の主要なガイドラインで第一選択薬として位置づけられていることから、日本でも同様の位置づけになると見られるという。

 

海外では、視野障害の副作用が報告されているため、米国では、患者登録と視力・視野モニタリングを目的とした厳格な安全管理プログラムの実施を前提に使用されている。これを踏まえ、承認条件として、▽全例調査▽専門の医師や医療機関での使用▽製造販売業者による講習の実施▽あらかじめ患者らに文書で説明し、同意を取る――などが付された。

 

厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で開発要請を受けていた。

 

希少疾病用医薬品で再審査期間は10年。海外では点頭てんかんの効能・効果で欧米など36カ国で承認されている。

 

▽シクレスト舌下錠5mg、同10mg(Meiji Seika ファルマ):有効成分のアセナピンマレイン酸塩を含有し、統合失調症を効能・効果とする。

 

同剤は、非定型抗精神病薬。用法・用量は、通常1回5mgを1日2回舌下投与から開始する。維持用量は1回5mgを1日2回。最高1回10mgを1日2回までとするが、年齢、症状に応じて増減する。

 

再審査期間は8年。海外では、統合失調症の効能・効果で米国など19の国または地域で承認されている。

 

▽フィコンパ錠2mg、同4mg(エーザイ):有効成分のペランパネル水和物を含有し、他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)、強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法を効能・効果とする。

 

同剤は、興奮性シナプスに関与するAMPA型グルタミン酸受容体に対する非競合的拮抗薬。用法・用量は、1日1回2mgの就寝前投与から開始し、その後1週間以上の間隔をあけて2mgずつ漸増する。

 

ただ、同剤はCYP3Aで代謝されるため、同酵素を誘導するカルマバゼピンなどとの相互作用が認められており、それら代謝促進する薬剤と併用しない場合は1日1回8mgとし、併用する場合の維持用量は1日1回8~12mgとする。

 

再審査期間は8年。海外では、2015年10月現在、12歳以上の部分発作に対する併用療法の効能・効果では欧米など46の国または地域で、12歳以上の強直間代発作では欧米など29の国または地域で承認されている。

 

▽カヌマ点滴静注液20mg(アレクシオンファーマ):有効成分のセベリパーゼアルファ(遺伝子組み換え)を含有し、ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病)を効能・効果とする。

 

同疾患は、リソーム酸性リパーゼをコードとする遺伝子が欠損する常染色体劣性遺伝疾患で、肝障害や脂質異常症など重篤な合併症を来すことが多い。乳児期に発症した場合、生後6カ月以内に死亡するとされている。患者は、96年に1例報告されて以降、確認されていないが、幼児から成人のLAL欠損症はこれまで17例報告されている。

 

同剤は、LAL欠損症で消失または低下した酵素を補充することで全身に蓄積したコレステロールエステルおよびトリグリセライドなどを低下させ、LAL欠損症の症状を改善する。

 

希少疾病用医薬品で再審査期間は10年。海外では欧州、米国で承認されている。

 

▽マーデュオックス軟膏(中外製薬):有効成分のマキサカルシトール/ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステルを含有し、尋常性乾癬を効能・効果とする。

 

同剤は、活性型ビタミンD3誘導体のマキサカルシトールと、ステロイドのベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステルの配合外用薬。既に、単剤療法または併用療法が実施されているが、患者のコンプライアンスや利便性向上を期待して配合剤を開発した。

 

再審査期間は6年。海外での承認はない。

 

▽プロイメンド点滴静注用150mg(小野薬品):有効成分のホスアプレピタントメグルミンを含有し、抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う悪心、嘔吐などの消化器症状(遅発期を含む)を効能・効果とし、小児用量を追加する。

 

用法・用量は、生後6カ月以上12歳未満の場合、他の制吐剤との併用において通常、体重1kgあたり3.0mgを抗悪性腫瘍剤投与1日目に1回、点滴静注するが、150mgを超えないようにする。

 

成人および12歳以上の小児には、他の制吐剤との併用において通常、150mgを抗悪性腫瘍剤投与1日目に1回、点滴静注する。再審査期間は4年。海外での承認はない。

 

〈報告品目〉

 

▽インスリングラルギンBS注100単位/mL「FFP」、同注キット「FFP」(富士フイルムファーマ):有効成分のインスリングラルギン(遺伝子組み換え)[インスリングラルギン後続2]を含有し、インスリン療法が適応となる糖尿病を効能・効果とする。

 

同剤は、先行バイオ医薬品「ランタス」の後続品。再審査期間はなし。海外では22カ国で承認されている。

 

▽ルテウム腟用坐剤400mg(あすか製薬):有効成分のプロゲステロンを含有し、生殖補助医療における黄体補充を効能・効果とする。

 

類薬として、ルティナス膣錠やウトロゲスタン膣用カプセルがあるが、同剤は坐剤で、使用方法が異なる。再審査期間は、ルティナス膣錠100mgの残余期間の20年9月25日まで。

 

サインバルタ 全会一致で了承

 

この日の部会では、既に5日の同部会で過半数の委員による支持を得て了承されていた塩野義製薬の抗うつ薬「サインバルタ」について再審議し、全会一致の了承を取り付けた。

 

部会の規程上は、過半数の議決で了承されるが、一部の委員から安全対策に関する懸念が示されていたため、安全性に関する追加資料を示した上で改めて審議し、添付文書に適正使用に関する文言を追記するなどの対応をメーカーに徹底させることを条件に、全会一致で了承された。

 

具体的には、「使用上の注意」に、投与する場合は「自殺企図などの精神症状の発現リスクを考慮し、投与の適否を慎重に判断する」よう追記するほか、対症療法であることから「漫然と投与しない旨」も新たに明記する。

 

さらに、処方医や精神科医(心療内科医を含む)、医療機関の薬剤師に対して適正使用を周知すると共に、非専門医からの相談に応じてもらうよう協力を依頼する。

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出典:薬事日報

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