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新型インフル薬「アビガン」、使用場面や投与対象を議論

薬+読 編集部からのコメント

新型インフルエンザのパンデミックに備える医薬品と位置づけられている新型インフルエンザ薬「アビガン」。ヒトで催奇形性を持つと考えられており、厚生労働省の新型インフルエンザ対策に関する小委員会医療・医薬品作業班会議は、備蓄の必要性、安全性および有効性の評価方法や投与対象となる患者などを議論したと伝えられています。

厚生労働省の新型インフルエンザ対策に関する小委員会医療・医薬品作業班会議は20日、富山化学の新型インフルエンザ薬「アビガン」の備蓄の必要性について、安全性および有効性の評価方法や投与対象となる患者などを議論した。委員からは「ウイルスの発生初期段階に治験の形式で投与して安全性や有効性を確認することが必要」「免疫抑制状態にある患者や重症化した患者を投与対象とし、妊婦などは対象外とすべき」などの意見が出た。

 

アビガンは、ヒトで催奇形性を持つと考えられており、新型インフルエンザのパンデミックに備える医薬品と位置づけられる。そのため使用は想定されていないが、この日の会合では、新型・再興インフルエンザが発生したとき、どのような場面で使用する可能性があるか、安全性と有効性が不明なアビガンについて新型インフルエンザ対策上、どのような対象患者への投与が考えられるかについて議論を行った。

 

委員からは、2014年に発生したエボラ出血熱の感染拡大時の対応を引き合いに「事前に計画を立てた上で、流行初期に臨床試験として安全性と有効性を評価すべき」、「安全性や血中濃度等の知見を蓄積させ、投与開始時点で十分にデータが収集された体制を構築すべき」などの意見が出た。

 

また、アビガンをどのような状況で使用すべきかについては、「現在の備蓄量や致死率等によって投与範囲が変化し、どの程度備蓄するか検討することは難しい」「具体的な状況設定ができない」などと、現時点で決めることは難しいとの意見が多数を占めた。

 

投与対象となる患者に関しては、「免疫抑制状態にある患者や重症患者を対象とすべき」との意見が多く出た一方、耐性ウイルスの感染拡大時を想定し、「投与対象を限定することに関しては、慎重に議論すべき」との意見もあった。

 

さらに、催奇形性の可能性があることを踏まえ、「妊婦もしくは妊娠の可能性がある患者へ投与すべきでない」との懸念が相次いぎ、小児への投与についても、安全性に関するデータがないことから「控えるべき」との声が上がった。

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出典:薬事日報

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