処方せん

残薬調整が大幅に向上‐院外処方箋の項目を変更

薬+読 編集部からのコメント

日立製作所ひたちなか総合病院では院外処方箋における残薬調整の項目を変更し、薬局側の対応を記載して医師が確認できるプロトコルの運用を開始しました。その結果、1ヵ月あたりの薬剤調整は71万円に上ることも明らかになったと第27回茨城県薬剤師学術大会で同院薬務局の平井利幸氏が報告しています。

茨城県薬学術大会

 

日立製作所ひたちなか総合病院では2014年から検査値などを公開した上で、院外処方箋における7項目についてプロトコルの運用を開始した。このうち残薬調整の使用率が7%弱と低かったため今年4月、処方箋様式の残薬調整の項目を変更。残薬調整した場合の薬局側の対応等を導入した。その結果、新たなプロトコルによる調整は90%と大幅に向上、1カ月当たりの薬剤調整は71万円に上ることも明らかになった。20日につくば市で開かれた第27回茨城県薬剤師学術大会で同院薬務局の平井利幸氏から報告された。


 

同院では14年9月からひたちなか健康ITネットワークを開始し、地域の保険薬局に患者の処方歴、検査値など公開。さらに、11月から院外処方箋における七つの項目に対するプロトコルの運用を開始した。多くの項目で使用率が高かったものの、残薬調整については使用率6.7%と低かった。

 

これを踏まえ残薬調整項目を改訂、地域薬局との事前合同勉強会の結果などを考慮し、残薬状況報告シートを作成した。運用としては、薬局が残薬調整した場合、同シートに「残薬の理由」「残薬への薬剤師の対応」を選択する欄にチェックし、調整後の日数を記載して同院薬務局へFAXで事後報告する。報告された内容は同院薬剤師が同シートと同形式のテンプレートを用いて電子カルテに入力し、医師が確認できるようにした。

 

4月分のプロトコルでの残薬調整報告は126件で、主な残薬の理由は「受診日とのずれ」「自己調節可の指示」「飲み忘れた記憶があいまい」だった。残薬への薬剤師の対応は「次回予約時の確認と日数調整」(新規)、「飲み忘れ時対処方法の指導」「処方通りの服用方法を指示」などであった。

 

また、診察が終わった後に残薬があった時に処方を変えるということはなかった。平井氏は「その時には反映されないが、次回に反映されている」とし、医師の負担も低いことを示唆した。また、同プロトコル利用は92.0%へと大幅に上昇、開始から3カ月間の1カ月平均でおよそ71万円の削減がされたと述べた。

“かかりつけ”事業推進‐土浦薬剤師会

 

一方、土浦薬剤師会の金澤幸江氏は、4月から新設された「かかりつけ薬剤師指導料およびかかりつけ薬剤師包括管理料」に関する施設基準クリアに対する同会の取り組みによって、5月時点で34.3%だった「かかりつけ薬剤師」認定が10月時点で44.7%まで約10ポイント改善したことを報告した。なお、1件以上の算定割合は8割に上るという。

 

同会で着目したのは「かかりつけ薬剤師の医療に係る地域活動」で、会員へのアンケート調査等で現状を把握。既存の活動に加え新たに「使用済み注射針回収事業」「多職種連携推進のための取り組み」を行った。

 

各薬局での注射針回収を行政と連携し薬剤師会事業として広く啓発活動を展開。土浦市の在宅医療・介護関係の会合に薬剤師会として積極的に関わり、薬剤師会が主体的に多職種によるワークショップ(SGD形式)を進行。結果的には多職種の薬剤師、薬局に対する理解が進んだことを示した。在宅医療が進む中で行政との協力関係を維持しつつ、積極的に地域の多職種との実質的な交流を進めていくことの重要性を示唆した。

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出典:薬事日報

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