薬剤師会

「令和」新時代の薬業界~業務総点検が不可避

薬+読 編集部からのコメント

いよいよ令和時代がスタート。薬業界も改元時期とともに大きな節目を迎えているのは周知の通りです。特に大転換となるのは薬局薬剤師と製薬企業を取り巻く環境変化と、その業務です。あらゆる面で、これまでの常識が通用しなくなるのに加え、次世代の人材を育成&輩出する薬学教育も大きな節目を迎えることが予測されています――。

制度疲労も指摘、歴史的な転換期に

 

新元号「令和」の時代が幕を開けた。ちょうど改元の時期に当たる2019年、薬業界もまた歴史的な節目を迎えている。特に顕著なのが、薬局薬剤師と製薬企業を取り巻く環境変化と業務の大転換である。医薬分業の進展により、院外処方が右肩上がりで増加し、「調剤薬局」と言われる形態が雨後の筍のように乱立。17年度の処方箋受取率が73%と頭打ち傾向がみられる中、薬局薬剤師に対する国民の視線はかつてなく厳しく、調剤業務をめぐる根本的な見直し機運が迫る。製薬業界も従来型ビジネスの転換期にあり、薬価制度の抜本改革が直撃するのみならず、MRの販売活動に国のガイドラインが目を光らせる時代に突入。人員削減も過去にない規模で断行され、手厚い人的資源を投入してきた営業体制も刷新が不可避となった。8割を後発品が占める国内市場の環境は一層不透明さを増していくだろう。これまでの常識がオセロゲームのように次々と非常識となりつつある。診療報酬や薬価の制度疲労も指摘される中、令和時代の薬業界は全ての業務を総点検して改革を実行し、国民の期待に応える新しい道を模索していくことになる。

 

昭和から平成の時代へと変遷する中で最大の危機に直面している一つの職種は薬局薬剤師であろう。特に15年に規制改革会議の公開討論で医薬分業が取り上げられて以降、「院外薬局に行く手間に見合うサービスが受けられているのか」という議論が噴出。それが厚生労働省による「患者のための薬局ビジョン」の策定につながり、地域住民が気軽に相談できる「健康サポート薬局」、16年度改定での「かかりつけ薬剤師指導料」の創設と矢継ぎ早の対策が打ち出された。

 

昨年からスタートした医薬品医療機器等法の改正議論の論点に薬局薬剤師のあり方が位置づけられ、再び医薬分業バッシングが沸騰。改正法案では、機能別の薬局の知事認定制度(名称独占)を導入し、かかりつけ機能を持った「地域連携薬局」と高度薬学管理機能を持つ「専門医療機関連携薬局」に分類することなどが規定された。

 

その後、厚生労働省医薬・生活衛生局の宮本真司局長局長が「処方箋40枚につき薬剤師1人」を薬局に置く配置基準を見直す考えを表明し、さらに4月2日には厚労省が「非薬剤師」が行うことができる業務の基本的考え方を整理した通知を発出。薬剤師の目が届く場所という条件付きで、非薬剤師が処方箋に記載された医薬品を取り揃える行為が可能との見解を初めて明確にした。対人業務へのシフトを制度面からも促す流れが鮮明となり、長く着手されなかった積年の課題が一気に解決に向け動き出した。

 

ただ、非薬剤師業務の明確化は劇薬でもある。それだけに「薬剤師のすべき業務とは何か」という命題に向き合い、歴史的な転換期にある今こそ業務の総点検を行って新たな薬剤師職能を定義する重要な局面を迎えた。

 

令和時代を担う次世代の人材を輩出する薬学教育も大きな節目を迎えている。悲願の6年制教育がスタートして10年以上が経過し、臨床に強い6年制卒の薬剤師は確実に社会の要請に応えている一方、国家試験に偏重したカリキュラムやストレート卒業率の低さへの指摘、研究力・学力の低下など、懸念されていた薬学部新設ラッシュの副作用が表面化してきた。教育の揺らぎは将来の薬学を担う人材不足に直結するだけに、令和時代は大学数の適正化も求められることになりそうである。

 

一方、製薬企業も国内市場で利益を上げられた従来型のビジネスモデルは確実に終焉を迎えるだろう。既に国内トップの武田薬品は売上高3兆円超の世界トップ10に名を連ねるグローバルメガファーマの仲間入りを果たし、圧倒的な規模を誇るまでになった。昭和から平成中期までは、大手から中堅規模の企業がせめぎ合い、販売力を生かして売上を伸ばしてきた。そうした市場環境にあっても、国の産業ビジョンや薬価制度改革により、「新薬が出せない企業は方針転換」というメッセージが繰り返し出されてきたが、いよいよ長期収載品に切り込むメスが鋭くなり、最終段階に入ったと言える。

 

その最大の一撃となったのは昨春の薬価制度の抜本改革であろう。実際、製薬各社による人員削減策が加速しているのはその証左と言える。新薬を出せなくても長期収載品で生き残ることができていた古き良き時代は終わりを告げ、難易度が上がり続ける新薬の創出に一層資源を振り向けざるを得なくなった。それに加え、従来型の営業体制にも大きなメスを入れなければならない時代になった。特にディオバン事件に象徴される医薬品のプロモーションの度重なる不祥事により、不信感はピークに達し、国がガイドラインを発出する事態にまで発展。業界の自浄作用ではなく、国主導で販売促進のあり方が大きな転換を遂げようとしている。

 

MRの接待攻勢で売上を伸ばすような昭和から平成にかけてのビジネスモデルを大きく転換しなければならないとのメッセージが、製薬各社に人員削減などを促しているのは確実だ。いよいよスタートした令和の時代。祝賀ムードの中、薬業界にとっては改革の断行が待ったなしの状況にある。

 

 

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出典:薬事日報

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