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【感染症学会が提言】抗インフル薬「ゾフルーザ」12歳未満には慎重投与を

薬+読 編集部からのコメント

2018年3月に塩野義製薬から発売された抗インフル薬「ゾフルーザ」に対して、日本感染症学会が、12歳未満の小児に対する単独投与について「慎重投与を検討すべき」との提言を発表しました。同学会ではゾフルーザについて十分なエビデンスに乏しいとしており、今後のデータ蓄積や解析によっては「使用方針に変更の可能性がある」と提言の見直しについても言及しています。

日本感染症学会は24日、抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」(一般名:バロキサビル・マルボキシル)について、12歳未満の小児に対する単独投与では低感受性ウイルスの出現頻度が高いことを考慮し、「慎重投与を検討すべき」との提言を発表した。免疫不全患者や重症患者に対しては「単独での積極的な投与を推奨しない」との見解を示した一方、12~19歳と成人には「臨床データが乏しく、現時点で単独投与の推奨か非推奨を決められない」と結論を先送りした。

 

ゾフルーザは昨年3月に塩野義製薬が発売したキャップ依存性エンドヌクレアーゼを阻害する新たな作用機序を持つ抗インフルエンザ薬。臨床例から検出されたウイルスでアミノ酸変異が認められ、ゾフルーザが効かない低感受性ウイルスが報告されるようになった。

 

特に12歳未満の小児を対象とした国際第III相試験では、A型インフルエンザ患者77例中18例の23.4%にアミノ酸変異が認められている。現在、ゾフルーザ低感受性株に関する解析が行われているが、同学会ではインフルエンザに対する免疫能が低い幼児や免疫不全患者は、ゾフルーザ使用後に低感受性ウイルスの出現リスクが高くなると判断。12歳未満の小児に対するゾフルーザの単独使用では慎重な投与を求めた。

 

一方、アミノ酸変異が認められた成人患者の罹病期間は、変異のない患者に比べ延長していたが、プラセボ群と比較すると短縮する効果が見られている。ゾフルーザ低感受性ウイルスが臨床経過に与える影響に関するエビデンスが十分でないことを踏まえ、12~19歳と成人に対する単独使用では「推奨か非推奨は決められない」と判断を見送った。

 

免疫不全患者や重症患者については「ゾフルーザ単独での積極的な投与は推奨しない」と提言したが、委員10人のうち3人からは「免疫不全患者や重症者にこそ使用すべきである」との意見が出ていた。同学会ではゾフルーザについては十分なエビデンスに乏しいとしており、「今後のデータの蓄積や解析により使用方針に変更の可能性がある」と提言の見直しにも言及している。

 

 

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出典:薬事日報

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