医療

千葉大・並木氏ら、コロナ予防に漢方薬投与~医療者6000人で医師主導研究

薬+読 編集部からのコメント

日本東洋医学会が実施する新型コロナウイルス感染症に対する漢方薬による予防・治療研究「IMJEDIスタディ」の一環として、千葉大医学部附属病院の並木診療教授らが「漢方薬投与による新型コロナウイルス感染症の発病予防効果を確認する医師主導臨床研究」をスタート。新型コロナウイルス感染症未発病の無症状医療従事者6000人を対象とした多施設共同単盲検プラセボ対照比較試験となります。実薬とプラセボを無作為に分けて8週間内服し、4週間のフォローアップ期間で安全性確認を行い、新型コロナウイルス感染症の発病予防効果を検討。臨床研究に使用する薬剤名は明らかにしていません。2022年末に症例登録を済ませ、24年3月末に試験を完了する計画です。

千葉大学医学部附属病院和漢診療科の並木隆雄診療教授らは、漢方薬投与による新型コロナウイルス感染症の発病予防効果を確認する医師主導臨床研究をスタートさせる。無症状の医療関係者6000人を対象に2022年末に症例登録を済ませ、24年3月末に試験を完了する計画だ。既に新型コロナウイルス感染症予防ではワクチンの国内臨床試験が始まっているが、内服薬で大規模な臨床研究を行うのは初となる。感染リスクが高い医療関係者の発症防止に役立てる。


今回の試験は、日本東洋医学会が実施する新型コロナウイルス感染症に対する漢方薬による予防・治療研究「IMJEDIスタディ」の一環。新型コロナウイルス感染症を発病していない無症状の医療従事者6000人を対象とした多施設共同単盲検プラセボ対照比較試験となる。

 

実薬とプラセボを無作為に分けて8週間内服し、4週間のフォローアップ期間で安全性の確認を行い、新型コロナウイルス感染症の発病予防効果を検討する。臨床研究に使用する薬剤名は明らかにしていない。

 

千葉大のほか、東北大学などが実施施設として参加している。今後、参加施設を追加する予定で、10回に分けて施設ごとに被験者の募集を行う。

 

感染率が結果に影響するため、参加施設周囲の市中感染率が概ね2%以上になった場合に試験を開始する。感染率は対象病院周囲でのPCR検査、抗原検査、抗体検査などや発病の程度から推測するとしている。

 

新型コロナウイルス感染症予防で内服薬投与による効果の検討は国内初事例になる。ワクチンは、獲得免疫系を活性化させてウイルスからの感染を防ぐ働きを持つ一方、漢方薬はウイルスなどの微生物に対して、最初の免疫反応として動員される自然免疫系を活性化させるとの研究結果が報告されている。

 

並木氏は7日の記者会見で、「発症した医療関係者が隔離されることによる医療関係者数の減少を食い止め、未発症の医療関係者の負担も軽減することができる」と意義を強調した。特定ウイルスへの予防効果を発揮するワクチンに対し、漢方薬は様々なウイルスに有効性を示す有用性も指摘した。

 

漢方薬を用いた治療研究も始める。東北大学病院漢方内科の高山真氏は、軽症・中等症の感冒様症状を有する新型コロナウイルス感染症患者150例を対象とした特定臨床研究を始めた。咳止めや解熱鎮痛剤の対症療法群と対症療法・医療用漢方製剤併用群を比較し、発熱や咳、痰などの臨床症状や重症化の有無を14日間観察する。今シーズンで被験者を集め、試験を完了させる予定。

 

良好な結果が得られれば新型コロナウイルス感染症の初期症状に有効な感冒薬として治療に役立てる。複数の機序でウイルス、生体に作用し、医療経済的にも安価に使用できるほか、ウイルス変異など薬剤耐性の観点から治療選択肢を増やせるとの期待もある。

 

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出典:薬事日報

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