医療

緩和医療で専門薬剤師制度~初の認定者、5月誕生へ

薬+読 編集部からのコメント

日本緩和医療薬学会は、緩和医療領域の実践能力に加え、研究能力や教育能力を兼ね備えた薬剤師の育成を進めるため「緩和医療専門薬剤師制度」を立ち上げました。申請者は過去5年間の研修施設での活動を遡り研修歴として提示でき、13項目の要件を全て満たした場合に試験資格を得られるというのが制度発足時の暫定措置となります。2月4日から試験受付を開始。書類審査や4月に実施する口頭試問を経て、初の資格取得者が5月に誕生する見込みです。

実践力備えた人材育成

日本緩和医療薬学会は、緩和医療専門薬剤師制度を立ち上げた。4日から試験の受付を開始し、書類審査や4月に実施する口頭試問を経て、初の資格取得者が5月に誕生する見込み。同制度の構築によって、緩和医療領域の実践能力に加え、研究能力や教育能力を兼ね備えた薬剤師の育成を進める考えだ。今後は、認定要件の一つとして定めた施設研修の一部を自施設でも受けられるシステムの整備や、薬局薬剤師でも資格を取得できる制度設計の検討を進めるなど、裾野の拡大にも取り組む。


緩和医療専門薬剤師の資格を得るためには、13項目の要件を満たす必要がある。具体的には、▽緩和薬物療法認定薬剤師として5年以上の資格保有歴▽学会認定の研修施設で5年以上の研修歴▽所定単位以上の講習会等履修歴▽2回以上の学会発表▽1報以上の原著論文発表▽10症例の薬剤管理指導の実績提示――などの要件が課された。

 

制度発足時の暫定措置として、申請者は過去5年間の研修施設での活動を遡り研修歴として提示でき、13項目の要件を全て満たした場合に試験を受けられる。試験は口頭試問形式で実施。症例への具体的な関与などを問いかけ、実践能力などを評価する。形だけ要件を満たした受験者を落とし、真に能力を持つ者だけを認定するために、他の制度ではあまり見られない口頭試問を設けた。

 

同学会の塩川満代表理事(聖隷横浜病院薬剤部長)は、「緩和医療に精通した薬剤師を社会に輩出するのが使命。学会設立当初から、専門薬剤師制度の構想はあった。これまで育成してきた認定薬剤師が教育能力や研究能力を有し、専門薬剤師を経て、やがては指導薬剤師になるというステップに進むため、制度を立ち上げた」と語る。

 

2010年に発足した緩和薬物療法認定薬剤師の数は、現在779人。毎年約100人ずつ増えている。今年以降、毎年1回試験を実施し、専門薬剤師の取得者を増やしたい考えだ。今年の申請候補者は、19年度に認定した166人の暫定指導薬剤師。多数の申請を見込んでおり、今月末まで申請を受け付けている。

 

塩川氏は「緩和医療の専門医は273人と少ない。専門医がいる施設には、最低でも専門薬剤師がいてほしいし、専門医がいない施設でも専門薬剤師が緩和医療をマネジメントしてほしい」と期待を込める。

 

近年、事前に合意したプロトコールに基づき医師等と薬剤師が協働で行う薬物治療管理(PBPM)が進んでいる。塩川氏は、「緩和ケアのチーム医療でも、薬剤師が認定や専門の資格を持っていれば、医師は協働して業務に取り組みやすい。その観点からも制度構築には意義がある」と指摘。「将来は専門薬剤師制度が土台になって、緩和ケアチームにおける新たな診療報酬の評価が得られるようにしたい」と話す。

 

専門薬剤師の認定に必要な研修を行うため、19年度から暫定指導薬剤師と研修施設の認定を開始した。研修施設は108施設で、今後増やす計画。1月からは、これまで作成を進めてきた研修コアカリキュラムやガイドライン、研修評価表などに基づく研修施設での研修が始まった。

 

研修評価表は、各現場で活躍する暫定指導薬剤師が討議し、作り上げたもの。研修者の評価方法を細かく規定していることが特徴だ。例えば、他職種への指導や啓発活動などを評価する方法として、施設外3回以上を含む8回以上の研修会演者や企画者の実績を求めるなど、「要件はかなり厳しい」(塩川氏)

 

今後は、研修施設に勤務する薬剤師でなくても資格を取得しやすくなるよう制度改良に取り組む計画だ。研修者が自施設に在籍したまま研修施設で研修を受けられる仕組みの整備や、情報通信技術を活用し自施設内で指導を受けられるシステムの構築を目指す。

 

在宅医療へのシフトが進み、緩和医療を必要とする患者が増える中、来年度以降は薬局薬剤師でも専門資格を取得できる制度設計のあり方も検討する。

 

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出典:薬事日報

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