医療

松田薬品の薬機法違反確認~愛媛県、行政処分を検討

薬+読 編集部からのコメント

厚労省では7月1~13日、後発品製造所32施設、その他原薬製造所と一般用医薬品製造所14施設の46施設を対象に、医薬品製造業者に対する各都道府県薬事監視員の立入検査を実施(※沖縄県を除く)。8月31日公表の後発品製造所などに対する無通告立入検査結果の概要によりますと、愛媛県の一般用医薬品メーカー「松田薬品工業」製造所で、製造販売承認書に記載された製造方法と異なる方法で製造した品目が見つかるなど医薬品医療機器等法違反を確認。現段階で健康被害は報告されていませんが、愛媛県では行政処分を検討しています。

厚労省が立入検査結果

 

厚生労働省は8月31日、後発品製造所などに対する無通告立入検査結果の概要を公表した。愛媛県の一般用医薬品メーカー「松田薬品工業」の製造所で、製造販売承認書に記載された製造方法と異なる方法で製造した品目が見つかるなど医薬品医療機器等法違反を確認。愛媛県で行政処分を検討している。後発品を製造する9施設ではGMP省令で品質への影響を否定できず改善が必要な「中程度」の不備が確認されており、製造管理体制の改善が道半ばの段階であることも示された。

 

厚労省は7月1~13日、後発品製造所32施設、その他原薬製造所と一般用医薬品製造所14施設の46施設を対象に、医薬品製造業者に対する沖縄県を除く各都道府県薬事監視員の立入検査を実施。製造販売承認書に従った製造の実施や、規格外試験結果への措置の妥当性、安定性モニタリングの実施状況などGMP省令への適合状況を調べた。全国規模での無通告立入検査では初めて実施した。

 

その結果、愛媛県の松田薬品が製造販売する一部の一般用医薬品で、厚労大臣に承認を受けていない製造方法で製造を行ったことが判明。そのほか、使用期限切れ原料の再試験を行わず使用していたこと、製造された製品の一部で試験を実施していなかったことも明らかになり、同社は7月にかぜ薬補助ドリンク「ヒラミンアルファ」や解熱鎮痛薬「レイヨー液小児用」など11製品の対象ロットを自主回収した。

 

健康被害は現段階では報告されていない。愛媛県で行政処分を含めた対応の検討を行っているという。

 

同社は7月27日付で「多大な心配と迷惑をかけたことをお詫びする。全容解明に取り組み、このような事態が発生することがないよう管理体制の強化に取り組む」との声明を発表した。

 

GMP省令に関する中程度の不備については後発品を製造する9施設に確認された。不備の内容は品質管理にかかるものが7件、変更管理や逸脱管理に関連するものが4件確認されている。通常のGMP調査と同様、都道府県から対象施設に必要な改善指導が行われいる。これまで品質への影響は確認されていない。

 

今回の調査における指摘事項では、承認書と製造実態との齟齬が1件、規格外試験結果への措置の妥当性が0件と少なかった一方、安定性モニタリングの実施状況で10件、人員不足の懸念で8件と比較的多くの施設で指摘がされていた。

 

医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課では、初の大規模無通告立入検査を実施したことについて、「結果として薬機法違反が見つかり、実施した意味があった。今後はここまで大規模な立入検査を実施する予定はないが、今後も継続して無通告立入検査を行う」と監視を強化する姿勢を示した。

 

後発品メーカーの製造不正事案では、不正を見抜けなかった都道府県の監査体制が問題視された。今回の立入検査では、厚労省が作成中の「無通告立入検査ガイドライン(案)」を参考に活用した。

 

無通告立入検査に慣れていない都道府県も多いことから、今後は調査後に報告された各都道府県からの意見を踏まえ、調査対象施設の選定方法や調査時に確認すべき項目等を記載した無通告立入検査ガイドラインを作成していく方針。

 

一方、後発品メーカーの業界団体である日本ジェネリック製薬協会は「改善の余地があることが示された」とし、今回の結果を会員企業間で情報共有し、行政とも協力しながら、不備として指摘された事項を改善していく方針。

 

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出典:薬事日報

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