創薬・臨床試験

コロナ発症抑制で初承認~ロナプリーブ、同居家族などに限定

薬+読 編集部からのコメント

11月5日、厚労省は前日(4日)の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で審議、了承された中外製薬の新型コロナウイルス感染症治療薬「ロナプリーブ」(一般名:カシリビマブ・イムデビマブ)に同感染症の発症抑制の効能・効果を追加する一部変更を特例承認しました。発症抑制を効能・効果とする薬剤は国内初となりますが、新型コロナ予防はワクチンを基本とし、ワクチン接種の効果が不十分などの条件を満たした人に投与が限定されています。発症抑制として特例承認されましたが、感染症予防の基本はワクチンによる予防とし、同剤を「ワクチンに置き換わるものでない」と位置づけています。

予防はワクチンが基本

 

厚生労働省は5日、中外製薬の新型コロナウイルス感染症治療薬「ロナプリーブ」(一般名:カシリビマブ・イムデビマブ)に同感染症の発症抑制の効能・効果を追加する一部変更を特例承認した。発症抑制を効能・効果とする薬剤は国内初だが、新型コロナの予防はワクチンを基本とし、ワクチン接種の効果が不十分などの条件を満たした人に投与を限定。今回の承認で、国内感染者数の減少に貢献できるかどうかが注目される。

 

4日の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で審議、了承された。これまでは重症化リスク因子を持ち、酸素投与を必要としない軽症・中等症I患者を投与対象としていたが、新型コロナウイルスによる感染症とその発症抑制でも投与が可能となる。今回の一部変更承認に伴い、ロナプリーブの皮下注射製剤も追加承認され、販売名についても、従来の点滴静注セットから「注射液セット」に改めた。

 

新型コロナの発症抑制としては特例承認されたが、感染症予防の基本はワクチンによる予防とし、同剤を「ワクチンに置き換わるものでない」と位置づけた。

 

その上で、投与対象者として、▽新型コロナウイルス感染症患者の同居家族、共同生活者等の濃厚接触者、無症状の病原体保有者▽重症化リスク因子を持つ人▽コロナワクチン接種歴がない、接種歴を持つものの効果が不十分な人――と、これら条件を全て満たす人に限定した。

 

具体的な投与対象者は、改訂を予定している日本感染症学会のガイドライン「COVID-19に対する薬物治療の考え方」に記載することとした。

 

発症予防の効能・効果を加えたことによる投与対象患者数の変化について、厚労省は「3条件を全て満たす必要があるため、何人増えるか推定するのは困難」との考えを示している。

 

用法・用量として、単回皮下注射を行う場合、成人、12歳以上の体重40kg以上の小児に対して、カシリビマブ、イムデビマブ各600mgを併用して投与する。

 

ただ、皮下注射の場合、腹部、大腿部、上腕部のいずれかで4箇所への注射が必要になるが、同一箇所に繰り返し投与することは避けるよう求めた。治療目的の場合は、患者の身体的負担や臨床試験データが限定的であることを考慮して点滴静注を優先し、やむを得ない場合に皮下注射するとした。

 

同剤は、2種類の中和抗体を組み合わせた抗体カクテル療法。国内4番目のコロナ治療薬として7月に特例承認された。その後、予防と無症状感染者を対象とした海外第III相試験、投与量・投与方法の検討を目的とした海外第II相試験、日本人の安全性と忍容性、薬物動態を評価した国内第I相試験などの結果に基づき、中外製薬が10月に特例承認の枠組みで一部変更承認申請を行っていた。

 

治療と予防の効能・効果では、既に米国で緊急使用許可(EUA)、英国で承認を受けている。

 

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出典:薬事日報

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