医療

薬局のコロナ検査が混乱~キット不足などで業務逼迫

薬+読 編集部からのコメント

2021年11月に感染対策と日常生活の回復の両立に向けて行動制限の緩和を進めていく方針が政府決定されて以来、各都道府県が飲食やイベント、旅行等の活動に際して、ワクチン接種証明や陰性の検査結果を確認する必要がある無症状の人、感染不安を解消したい人向けに無料検査事業を展開してきました。対象事業者となった薬局でも新型コロナ無料検査をスタートさせましたが、薬局販売用検査キットの不足や対応薬局の数が十分ではなく、薬剤師会が対応に追われています。高まる需要に対し、検査体制が追いつかずに薬局業務が逼迫する事態が発生しています。

薬剤師会は体制整備急ぐ

各都道府県が薬局などで新型コロナウイルスの無料検査をスタートさせたが、薬局で販売する検査キットの不足や対応薬局の数が十分ではなく、薬剤師会が対応に追われた。政府は行動制限を緩和するワクチン・検査パッケージの一時停止を決めたが、高まる需要に対し、検査体制が追いつかずに薬局業務が逼迫する事態が発生している。

 

政府は昨年11月に感染対策と日常生活の回復の両立に向けて行動制限の緩和を進めていく方針を決め、各都道府県が飲食やイベント、旅行等の活動に際して、ワクチン接種証明や陰性の検査結果を確認する必要がある無症状の人、感染不安を解消したい人向けに無料検査事業を展開してきた。

 

薬局も対象事業者となり、各都道府県薬剤師会でも体制整備を進めているが、オミクロン株による感染拡大で需要が急増している地域では難しい対応を迫られているようだ。

 

茨城県は、昨年12月27日から健康上の理由でワクチン接種を受けられない人を対象とするワクチン・検査パッケージ等定着事業を開始。今月4日には感染拡大傾向にあると判断し、一般検査事業としてワクチン接種歴を問わず、感染不安を感じる無症状者に対象を拡大した形で無料でのPCR検査を受けられるようにした。19日現在、県内237薬局が対応しているが、一般検査事業の開始後、対応薬局には多くの住民が殺到した。

 

茨城県薬の担当者は、「薬局で抗原検査キットが入手困難になり、PCR検査も検査体制が対応できず、翌日になっても検査結果が得られない状況となっている。当初の想定より早く無料検査が始まり、現場は疲弊している」と悲鳴を上げる。今後、40軒の薬局が追加登録される見通しだが、「受け皿があっても検査キットの需要に供給が追いつかない。問題解決のメドはついていない」と嘆いた。

 

15日に1日の感染者数が1829人と過去最高を更新した沖縄県では、医療機関で発熱患者がPCR検査を受けられないケースが続出。県立病院には連日、検査を求める患者からの問い合わせの電話が鳴り止まず、対応できない状況だという。高齢者だけではなく若年者の感染も拡大し、医療機関が行うPCR検査では対応できないため、県医師会は薬剤師会に抗原検査キットを販売する薬局を広げるよう要請を行った。

 

19日現在、離島を含め県内108軒の薬局が抗原検査キットを販売しているが、沖縄県薬は「医師会と協力しながら、対応薬局を増やせるようにしたい」と会員に協力を求めていく。抗原検査キットが不足している状況について「卸の流通も厳しくなっている」との認識を示した。

 

山形県薬は今後のコロナ検査需要の拡大を見据え、県内の会員薬局向けに検査実施施設として対応してもらえるよう説明会を実施している。現在、登録しているのは会員530軒のうち30軒にとどまるため、協力意向のある薬局を増やす。

 

その一方で検査体制の整備が大きな課題となっている。「豪雪地帯では検査を希望する住民に検査結果が出るまでの間、外で長時間待ってもらうのが難しい」と地理的な問題を挙げた上で、「駐車場の改修も必要になる薬局も出てくるし、ドライブスルーでの実施も検討しなくてはならない。実業にも支障を来さないことも前提になる」とした。

 

広島県薬は、コロナ検査に対応できる206軒の薬局を確保した。豊見敦広島県薬副会長は、「住民からの問い合わせも入っているが各薬局が最前線で頑張っている」と述べた。企業や旅館などで抗原検査キットを大量に調達する事例が出ているのを踏まえ、「薬剤師が抗原定性検査キットの科学的特性を踏まえた検査結果の取り扱いや受検者への説明をきちんと行い、一般の人に啓発していく必要がある」と指摘している。

 

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出典:薬事日報

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