薬剤師会

薬局が未病対策に関与~実証試験で介入効果検証【広島県薬剤師会】

薬+読 編集部からのコメント

広島県と広島県薬剤師会が、県内企業の従業員の健康診断結果に基づき、薬剤師に健康相談などに介入してもらい生活習慣病の改善効果を検証する実証試験を開始しました。広島県の男女別健康寿命は全国的にも低いため、若年層への具体的介入が課題でした。現役世代の生活習慣病予防のため、薬剤師の介入を通じて健診の数値改善が求められています。

広島県と広島県薬剤師会は、県内企業の従業員の健康診断結果に基づき、薬剤師が健康相談などで介入して生活習慣病の改善効果を検証する実証試験を開始し、健康サポート薬局が県の未病対策で機能する体制作りに乗り出した。薬剤師介入群とアプリ利用群で効果を比較し、来年度にも結果を公表する予定だ。良好な結果が得られれば社会実装する計画で、県薬は「健康寿命延伸に貢献できる薬剤師を全ての健康サポート薬局で育てたい」としている。

 

広島県の健康寿命は、2016年のデータで男性が全国27位、女性が46位と低位にとどまる。健康寿命と要支援・要介護1の割合には関連性があり、若年期から適切な生活習慣の定着が必要となるが、これまで若年層に具体的な介入は行われていなかった。

 

そのため県は、全国的に低い県民の健康寿命の延伸に向け、薬剤師・薬局の健康サポート機能に着目。県薬に実証試験への協力を依頼した。現役世代に適切な生活習慣を定着させるため、人工知能(AI)技術を用いて生活習慣病の発症リスクを可視化した上で、薬剤師の介入を通じて健診の数値改善につなげるのが狙いだ。

 

従業員の健康管理を経営課題と捉え、生産性向上を目指す「健康経営」に取り組む県内企業と連携。実証実験には、広島電鉄や広島県医師会など50の企業・団体から従業員約1300人が参加している。

 

具体的には、参加者の健診データに基づいてAIが近い将来の疾病リスク等を予測。AIの分析結果を踏まえ、薬剤師が参加者に介入するグループ、ゲーム要素を取り入れて生活習慣改善に向けた行動継続を促すアプリのグループなどに分け、効果的な介入方法を比較検証する。

 

薬剤師が介入するグループでは、薬局内、パソコン、スマートフォンで参加者の健康相談に応じ、改善に向けたアドバイスを実施。参加者はアドバイスをもとに運動や食生活などの改善に取り組む。県は来年度の健診結果で実証試験の効果を検証する。個別サポートだけでなく、グループ講習も予定しているという。

 

県薬によると、現時点で会員約60人が参加の意向を示しているが、「まだ少ない」として今後も参加を呼びかける考え。「今後の健康サポート薬局の役割の一つとして、未病の人に健康で長く働いてもらえるよう適切にアドバイスしたい」と意気込みを示す。

 

県は23年度まで実証試験を行い、終了後は結果を公表したい考えだが、24年度以降も継続するかどうかは未定としている。

 

県健康福祉局健康づくり推進課は、「結果を踏まえて行動変容につながった場合は、社会実装など次のフェーズに進みたい」との考えを示している。

 

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出典:薬事日報

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