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クイズラリーで「虚弱」予防~薬局を健康相談の拠点に

薬+読 編集部からのコメント

埼玉県の戸田市薬剤師会は、全国初の試みとして地域住民が会員25薬局をめぐる「スタンプ&クイズラリー」を実施し、フレイル予防に取り組んでいます。薬局が予防・未病に機能拡大を図る好機として、薬局を健康相談の場所として認知してもらう狙いもあり、全国的に追随する動きも見られます。

埼玉県の戸田市薬剤師会は、地域住民が会員25薬局をめぐる「スタンプ&クイズラリー」を通じて、加齢と共に運動機能や認知機能などが低下するフレイル(虚弱)予防に地域密着で取り組んでいる。参加者が薬局に入ると薬剤師が口頭でクイズを出題し、1軒ごとにスタンプを押す。地域住民が楽しんで身体を動かし、クイズに答えることでフレイル予防に関する知識を習得すると共に、薬局を健康相談の場所と認知してもらうのが狙いだ。薬局によるスタンプ&クイズラリーは初めての試みで、全国的に追随する動きもあるという。


スタンプ&クイズラリーは、新型コロナウイルスの感染拡大で高齢者の社会活動が低下したのを背景に、フレイル予防に取り組む戸田市の依頼を受け、戸田市薬が考案した。昨年10月に市との共催で初めて実施し、約500人の高齢者が参加するなど好評を得たため、今年は戸田市薬の単独主催で今月の1カ月間に限り継続実施することとなった。

 

ターゲットはフレイルのリスクが高い高齢者。参加した地域住民は25の会員薬局を巡り、一つひとつの薬局で薬剤師から出題されたクイズに回答する。参加者は、クイズの正解・不正解に関わらずスタンプを一つ押すことができ、「運動する」「頭を使う」ことでフレイル予防・改善につなげる。

 

スタンプ&クイズラリーは、薬局が予防・未病に機能拡大を図る好機となる。戸田市薬は、地域住民が薬局の機能について、処方箋の調剤や服薬指導に限られ「処方箋がないと薬局に入れない」など誤った認識を持っていることに強い危機感があった。「地域住民が気軽に立ち寄ることができ、健康相談が可能な拠点として薬局が認知されるようにしたい」と今回の企画アイデアにつながった。

 

戸田市薬の野口昌也副会長は、「薬局を巡るだけでは、ただのスタンプラリーになってしまうし、他の事業者でも同じことができる。薬局が未病・健康相談の役割を持つことを考えると、クイズをきっかけにフレイル防止の健康相談を行えるようにしたいと思った」と説明する。

 

成果も生まれている。会員薬局に対するアンケート結果では、参加した地域住民がその後も継続的に薬局で健康相談を受けるケースが報告されている。

 

会員薬局の薬剤師もスタンプ&クイズラリーに前向きに取り組んだ。当初、参加者への対応に追われ、本業の薬局業務に支障を来し、各薬局から事業継続に反発が出ることも覚悟していたが、会員薬局からは好意的な反応が多かったという。地域住民の健康サポートに関与する意識を根づかせることにも成功した。

 

野口氏は「本当にやって良かった。それぞれの薬局が工夫をしていて、薬剤師が地域の役に立とうとしていることが分かった」と述べ、地域薬剤師会の組織力強化も収穫に挙げた。

 

次回は1カ月間限定ではなく、通年で実施することも検討する。市や他の事業者のバックアップを受け、企画を盛り上げていきたい考え。

 

野口氏は、「戸田市の人口14万人のうち、フレイルのリスクがある高齢者が自らスタンプ&クイズラリーへの参加を判断できるようになるまで浸透させたい」と話している。

 

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出典:薬事日報

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