医療

「臨床薬学」を基本方針に追加~改訂コア・カリキュラム案示す

薬+読 編集部からのコメント

11月14日、文部科学省の「薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会は、大学と医療現場が連携して教育を行う臨床薬学を基本方針に追加したコアカリの改訂案を公表しました。大学初年次から疾病の予防や個々の患者の状況に適した責任ある薬物療法が実践できる薬剤師の養成を目指すため、この日の会合では具体的内容を検討している薬学教育協議会が公表済の素案に対し改定案を示しており、今月中に「薬学系人材養成のあり方に関する検討会」でも議論した上で、文科省がパブリックコメントを募る方針です。

大学初年次から施設と連携

文部科学省の「薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する専門研究委員会」が14日に開かれ、大学と医療現場が連携して教育を行う臨床薬学を基本方針に追加したコアカリの改訂案が示された。大学初年次から疾病の予防や個々の患者の状況に適した責任ある薬物療法が実践できる薬剤師の養成を目指すため、新たに追加項目を設けた。今冬予定の改訂コアカリ決定に向け、今月中に「薬学系人材養成のあり方に関する検討会」でも議論した上で、文科省がパブリックコメントを募る。


2024年度入学生から適用予定の改訂コアカリをめぐっては、既に素案が公表されていたが、この日の会合では具体的内容を検討している薬学教育協議会が委員の意見を踏まえた改訂案を示した。

 

改訂の基本方針に追加した項目の「臨床薬学という教育体制の構築」では、個々の施設で直ちに専門家の実務を実施できるようになることを目的とした実務研修(新人研修等)ではなく、将来的に国民のためになる薬剤師として何を行うのか、どのような課題を見つけて解決策を導いて社会貢献につなげるのかなどの観点を改訂コアカリでは重視したと記載。

 

その上で、大学初年次から疾病の予防や個々の患者の状況に適した責任ある薬物療法を実践できる薬剤師の養成を目指し、大学と医療現場が連携して教育を実施する「臨床薬学」という教育体制を構築する。

 

「各大学の責任あるカリキュラム運用のための自由度向上」の項目については、改訂の基本方針に盛り込まれているが、改訂案では「現行コアカリで網羅的に記載されていた一般目標および到達目標(GIO-SBOs)を概念化した学修目標に改めた」との記載を加えた。具体的事実を覚えるだけでなく、学生が新たに直面する課題や問題点の解決に生かせる総合的な学力を身につけられるよう学修目標を改め、各大学はその学修目標に基づいてカリキュラムを作成できるようにする。

 

また、感染症予防に向けた実践的内容の充実を図ることを目的とした公衆衛生薬学の大項目が改訂コアカリに追加される予定としているが、項目名を「衛生薬学」に変更した。

 

長津雅則委員(日本薬剤師会常務理事)は、「コアカリの内容が生かされるのは、優秀な教員が担うことが前提だが、教員の質が担保されているかが心配」と指摘し、平田收正委員(和歌山県立医科大学薬学部教授)も「大学がどのように臨床実習を生かすかが大事だが、現状は少し弱い。実習後の大学教育が重要なので、しっかりとした教員が必要となる」と述べた。

 

今月中に「薬学系人材養成のあり方に関する検討会」でも議論した上で、文科省がパブリックコメントを募集後、今冬に改訂コアカリを決定する見通しだ。

 

改訂コアカリは、コアカリに関する考え方や概要のほか、▽薬剤師として求められる基本的な資質・能力▽社会と薬学▽基礎薬学▽医療薬学▽衛生薬学▽臨床薬学▽薬学研究――の大項目などで構成する予定としている。

 

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出典:薬事日報

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