医療

おくすり相談シート進まず~一部で導入も活用少なく

薬+読 編集部からのコメント

在宅療養患者のケアを行う看護師、ホームヘルパー、ケアマネジャーなどが残薬や服薬困難など、服薬に関する問題を見つけた場合にかかりつけ薬剤師・薬局への相談できるツール「おくすり相談シート」について、活用事例がほとんどない現状が示されています。薬剤師と介護専門員の連携不足が課題となっており、多くの地域が試行錯誤する中、在宅医療の現場からは、「薬剤師会と介護支援専門員協会をつなぐようなキーパーソンが地域にいないと難しいのではないか」との指摘も上がっています。

訪問看護師や介護専門員が薬局薬剤師に対し、患者が使用している医薬品について気軽に相談できるツールである「おくすり相談シート」の活用が進んでいない。薬剤師が在宅医療現場での問題に介入するためのツールとして、一部の自治体や薬剤師会で導入されたものの、活用事例はほとんどなく、薬剤師と介護専門員の連携体制が十分に構築できていない現状が浮き彫りとなっている。在宅医療への参画薬局が増える中、地域単位で在宅療養者の服薬管理上の課題を拾い上げ、薬剤師の介入による改善までを一連の仕組みとして取り入れていくかが今後の課題と言えそうだ。

 

他職種と関係構築が課題

おくすり相談シートは、在宅療養患者のケアを行う看護師、ホームヘルパー、ケアマネジャーなどが残薬や服薬困難など、服薬に関する問題を見つけた場合にかかりつけ薬剤師・薬局への相談をスムーズにし、適切な薬物療法やポリファーマシー対策につなげるもの。広島県や兵庫県神戸市、大阪府枚方市薬剤師会などが導入している。

 

広島県の地域保健対策協議会は、2017年からポリファーマシーをテーマとした調査・検討を進め、高齢者の多剤投与による有害事象の発生やアドヒアランス低下などの問題解決に向け、地域薬剤師会と介護支援専門員協会が連携した「おくすり相談シート」を作成した。

 

他の医療職種が在宅で療養している患者の服薬に関する問題を発見した後、同意を得た上で、おくすり相談シートで「薬が10日分以上残っている」「薬が6種類以上と種類が多すぎて服用が難しい」など困っている内容を薬局と共有。

 

薬局は自薬局のみの対応、他の薬局との相談など対応方法を検討し、必要に応じて医療機関に処方提案や疑義照会を行い、減薬の実施、経過観察など対応の結果については後日、他職種にフィードバックする仕組みだ。

 

ただ、昨年3月から在宅医療に参画している薬局が多い東広島地域で試行したが、活用事例はわずか2件にとどまる。広島県健康福祉局薬務課は、「コロナ禍でリアルでの会議が十分に行えず、活用が進まなかった」と分析する。今年度は地域医療介護総合確保基金を活用し、介護支援専門員協会と薬剤師会による研修会を開くことで、おくすり相談シートを周知していく予定だ。

 

広島県薬剤師会の豊見敦副会長は、「活用事例は少ないものの、在宅療養者の服薬に関する問題が起こった場合に薬剤師に相談しないといけないという気づきはあったかもしれない」と述べた上で、「ケアマネジャーや訪問看護師との合同研修会開催を通じて顔が見える関係を構築することが重要」と話す。

 

枚方市薬剤師会も、「おくすり事前チェック&相談シート」を作成し、枚方市薬ホームページからツールを入手できるようにしたが、現段階で活用事例は報告されていない。枚方市薬は、「ケアマネと薬剤師が在宅医療で連携するきっかけ作りのツールとして期待したが、ツールを作るだけではうまくいかないことを実感した。顔が見える関係があった上でツールを導入しないと難しい」と実感を語る。今後は他地域で行われている連携の好事例を参考に、取り組みを再考していく。

 

薬剤師と介護専門員が連携した在宅療養者の服薬管理をめぐっては、茨城県の古河薬剤師会と介護支援専門員協会古河地区会が連携した“古河モデル”が先行事例としてあるが、在宅医療で起こった問題について介護専門員が問題を拾い上げ、薬剤師がアセスメントする体制を仕組み化している地域はほとんどない。

 

多くの地域が試行錯誤する中、在宅医療の現場からは、「薬剤師会と介護支援専門員協会をつなぐようなキーパーソンが地域にいないと難しいのではないか」との指摘も上がっている。

 

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出典:薬事日報

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