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後発品企業に要件創設を~安定供給対応で再編促す

薬+読 編集部からのコメント

2月15日、厚労省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」が後発品の安定供給に向けて、産業構造や規制のあり方について議論しました。現在、国内で後発品の製造販売企業数が190社にも上る中、構成員からは業界再編を促すべきなどの意見が出されています。

厚生労働省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」は15日、後発品の安定供給に向け、産業構造や規制のあり方を議論した。国内で後発品の製造販売企業数が190社に上る中、構成員からは品質を確保した上で安定供給を行える後発品メーカーに企業要件を設け、薬価上のインセンティブやペナルティで評価する仕組みのもと、業界再編を促すべきとの意見が出た。一方、後発品の薬価収載後、5年間の安定供給を義務付ける現行ルールについては「7~10年などもっと長く安定供給をしてもらうべき」と厳格化するよう求める声もあった。

後発品の新規収載品目のうち、概ね半数以上は他社との共同開発品目で占められ、同成分同規格の製品が多数の企業から製造販売される状態となっている。多くの企業が少量多品目生産となって低収益を招き、低収益を補うため新規収載品を上市し、さらなる品目数増加を生む負の循環が問題となっている。

 

香取照幸構成員(上智大学総合人間学部社会福祉学科教授)は、「一般的に日本の後発品市場で190社の企業数が必要なのか。少量多品目生産で多くの企業があること自体が安定供給や品質・製造管理不備につながっていると認識すべきではないか」と指摘し、安定供給を確保した適正な競争環境に向けては企業数の適正化が必要との考えを示した。

 

後発品収載後に5年間の安定供給義務を課すルールについても、「(安定供給義務のほかに)企業には一定の安定在庫の確保も義務付けられているので、どこかの企業が倒れて、発注が一気に来た場合に自分で供給できない量は供給しない」と述べた。

 

その上で、「安定供給義務に供給量の規定はない。さらにそれぞれの企業は多くの品目を生産するという中でビジネスモデルを作っているということであれば(供給不安が起こっても)安定供給ができない。この規定が安定供給を阻害すると言ってもいい」とルール見直しを訴えた。

 

これに対し、成川衛構成員(北里大学薬学部教授)は、「強制的に企業を絞るのは難しい。品質が確保された後発品を安定供給いただける企業が結果的に残れるような政策をしていくことが必要」と指摘。「後発品は有効性・安全性が先発品と同等なので、品目での評価ではなく、品質確保や安定供給にしっかり取り組んでいただいている企業に対して、何か報いるような制度ができたらいいのではないか」と述べ、企業要件で薬価のインセンティブを付与する制度を提案した。

 

一方で、「安定供給義務の5年は直感的に短い。10年くらいは覚悟を持って市場に入ってほしい」との考えを示した。

 

井上光太郎構成員(東京工業大学工学院長)は、「5年程度の時限措置によって企業再編を促進し、規模を拡大させる。企業に投資余力を持たせ、安定供給と企業の利益率確保を同時に実現する政策ミックスが望ましい」と述べた。

 

具体的には、「ポートフォリオの適正化によって再編する際には、赤字品目に対して5年を待たずして撤退するオプションを付与する一方で、安定供給義務は5年ではなく7年、もしくは10年までコミットを要請してはどうか」と提言。「特許切れ直後製品への参入コストがかかるので、過当競争の緩和につながる」と述べ、導入効果が期待できるとした。

 

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出典:薬事日報

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