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【国内製薬大手23年3月期決算】第一三共の成長勢い増す~円安追い風に各社好業績

薬+読 編集部からのコメント

5月15日に国内上場大手製薬企業4社(武田薬品、アステラス製薬、第一三共、エーザイ)の2023年3月期決算が出揃いました。各社ともに約6~8割を海外で稼いでいる事業構造の中でグローバル主力品を伸長させ、円安による為替の大幅なプラス影響により製品売上高を押し上げている格好です。抗癌剤「エンハーツ」の成長著しい第一三共の勢いが4社の中でも、とくに突出しました。

武田薬品、アステラス製薬、第一三共、エーザイの国内上場大手製薬企業4社の2023年3月期決算が15日、出揃った。各社とも約6~8割を海外で稼いでいる事業構造の中でグローバル主力品を伸長させ、円安による為替の大幅なプラス影響により製品売上高を押し上げた格好だ。4社の中でも抗癌剤「エンハーツ」の成長著しい第一三共の勢いが突出している。他の3社と比べ業績面で水をあけられるエーザイだが、早期アルツハイマー病治療薬レカネマブが今年中の日米欧でフル承認が見込まれ、今後の成長の明るい材料になりそうだ。

武田は5000億円近い為替のプラス影響もあり、売上高は4兆円を突破した。筆頭稼ぎ頭の潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティビオ」(日本名:「エンタイビオ」)が成長を牽引し、売上高を7000億円台に載せた。血漿分画製剤領域の製品も好調で、6784億円の売上高の約7割が免疫グロブリン製剤。希少疾患領域も7000億円台となった。

 

地域別売上高の過半が米国で、欧米は二桁成長。日本は糖尿病領域譲渡の影響で22.3%減の5120億円だった。

 

次期通期予想は、主力のADHD治療薬「バイバンス」(日本名:「ビバンセ」)、降圧薬「アジルバ」の特許切れ、新型コロナウイルスワクチンの減収で売上高は4.7%減の3兆8400万円、営業利益は28.8%減の3490億円と減速する。

 

アステラス製薬は、前立腺癌治療薬「イクスタンジ」が6000億円を突破し、売上高は前期比17.2%増の1兆5186億円だった。同剤の米国市場での成熟化が懸念材料だが、眼科領域専門の米バイオベンチャーのアイベリックバイオ買収を発表、次期大型戦略品の閉経後ホットフラッシュ治療薬フェゾリネタントは米国承認となり、着実に手を打っている。

 

第一三共は、「エンハーツ」の急伸で売上高は22.4%増の1兆2785億円、営業利益は65.1%増の1206億円となった。次期通期も二桁の増収・営業増益という勢いだ。

 

「エンハーツ」の売上(共同販促収入)が約3倍増で2000億円台に載せた。もう一つのグローバル主力品の抗凝固薬「リクシアナ」も2440億円と増収に寄与した。「エンハーツ」は次期3000億円超を見込む。業績好調を踏まえ、中期経営計画の25年度の目標売上高を当初より4000億円引き上げ、2兆円の予想に改めた。

 

エーザイは、前期に計上した米ブリストル・マイヤーズスクイブとの戦略的提携による約500億円の一時金がないため、売上高は前期比1.6%減の7444億円、営業利益は25.5%減の400億円となったが、抗癌剤「レンビマ」、不眠症治療薬「デエビゴ」などグローバル戦略4製品は好調だ。「レンビマ」の売上高は29.8%増の2496億円に達した。

 

次期通期は、抗てんかん薬「フィコンパ」の米カタリスト譲渡、関節リウマチなどに用いる「ヒュミラ」の日本での契約満了で、売上高は4.4%減の7120億円。営業利益は24.9%増500億円の予想だが、レカネマブの日米欧承認が出揃う見通しだ。

 

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出典:薬事日報

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