医療

離島で薬剤師の存在感希薄~確保方向性、島根県のみ

薬+読 編集部からのコメント

来年度スタートの第8次医療計画では薬剤師確保策が盛り込まれていますが、その一方で離島の医療提供体制では薬剤師の存在感が希薄となっています。離島振興法に基づいて、関係都道県が今年度から2032年まで今後10年間の振興の方向性を示した離島振興計画において、医療分野の人材確保について「薬剤師を確保する」としたのは現段階で島根県のみであることが判明しました。

離島振興法に基づき、関係都道県が今年度から2032年まで今後10年間の振興の方向性を示した離島振興計画で、医療分野の人材確保について「薬剤師を確保する」としたのは現段階で島根県のみであることが分かった。既に策定している都道県の計画では、離島対策実施地域で確保すべき医療従事者は「医師や看護師等」とされていることが多く、遠隔医療などデジタルを活用する方向性が示されている。

 

来年度からスタートする第8次医療計画では薬剤師確保策が盛り込まれたが、離島の医療提供体制では薬剤師の存在感が希薄となっている。

 

離島振興計画は、離島振興対策実施地域があった場合に、離島振興法基本方針に基づき、関係都道県が定めることとなっている。4月時点で離島振興対策実施地域は77地域256島。関係都道県は、今年度から新たな計画期として32年までの10年間の方向性を示している。

 

離島で必要な医療の確保に向けては、医師や看護師の確保が重要な課題に挙げられる一方、薬剤師の記載はほとんどない状況だ。医療従事者の確保で薬剤師の記載を確認できたのは島根県の1県。取り組みの方向として「医師、看護職員、薬剤師をはじめ、必要な医療従事者の養成・確保、県内定着を推進すると共に、資質の向上に取り組む」と明記した。

 

島根県隠岐支庁地域振興課は、「県が20年度に策定した島根創生計画をそのまま離島振興計画にも踏襲した。離島に関係なく、県全体として薬剤師を養成・確保していく方針を示している」とコメントしている。

 

一方、岡山県が策定した笠岡諸島地域振興計画では、定期処方薬の受け取りについて「高齢者等の陸地部医療機関への移動の負担軽減のため、薬剤師会をはじめとした関係機関と連携しながら、ドローンなどを活用した薬の配送やオンライン服薬指導実施の検討を行う」と記載されるなど、医薬品提供体制で薬剤師会の役割が明記された。

 

昨年3月には、大分県津久見市離島部の保戸島で、薬剤師が常駐していないために診療所の薬を患者に提供できない状況を受け、医師や薬剤師が不在となる一定条件下では島の診療所にいる看護師が薬の受け渡しを行っても差し支えないとする調剤制限緩和の措置が取られた。

 

医師や看護師などの医療従事者確保に向けた動きが進み、薬剤師の配置が追いつかなければ、同様の事態が繰り返される可能性がある。

 

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出典:薬事日報

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