医療

「賃上げ予定なし」約2割~病院薬剤部調査で判明 日本病院薬剤師会

薬+読 編集部からのコメント

2024年6月における病院薬剤師部門の現状調査で、3441施設に診療報酬にかかる賃上げの予定を聞いたところ、「賃上げ予定なし」との回答が約2割に上ったことが分かりました。調査を実施した日本病院薬剤師会は「改めて現状を把握したい」としています。

3441施設を対象とした病院薬剤師部門の現状調査で診療報酬にかかる賃上げの予定を聞いたところ、「賃上げ予定なし」との回答が約2割に上ったことが、日本病院薬剤師会が実施した調査で分かった。日病薬は診療報酬改定を実施した6月の調査だったことを踏まえ、「改めて現状を把握したい」としている。

 

入院ベースアップ評価料を算定する場合は、対象職員の賃金の改善(定期昇給分によるものは除く)を実施しなければならない。診療報酬にかかる賃上げの予定について聞いたところ、「している」が69.9%、「していない」が19.2%となった。

 

武田泰生会長は2日の記者会見で、約2割が「賃上げ予定なし」としたことに対し、「病院薬剤師が特出しされて賃上げを行うとしたのに算定しないとすれば問題だ。そういう施設は調査し、必要に応じて指導をしていきたい」との考えを示した。

 

賃上げ予定施設に賃上げ率を聞いたところ、「2%以上3%未満」が36.3%と最も多く、「1%以上2%未満」が18.2%と施設によってバラツキが見られた。「3%以上4%未満」は6.7%にとどまった。賃上げ方法は「2024年度、25年度段階的に引き上げを行う」が34.7%、「24年度にまとめて引き上げを行う」が30.0%、「現時点では未定」が30.7%となった。

 

また、各都道府県病薬を対象に実施した調査では、24年度診療報酬改定で新設された「薬剤業務向上加算」を算定済み、または検討している施設が「都道府県内にある」との回答が7あることが分かった。都道府県病薬で「今後予定している」を含めた回答は30とおよそ7割に上った。

 

特定機能病院・急性期充実加算の施設で薬剤業務向上加算の算定施設は、▽東北大学病院(宮城県)▽亀田総合病院(千葉県)▽日本医科大学病院(東京都)▽金沢大学病院(石川県)▽長崎大学病院(長崎県)の5施設を含めた7施設となっている。

 

薬剤業務向上加算で都道府県との協議で困っていることを聞くと、「ある」が11、「ない」が23、「把握していない」が10だった。

 

病棟薬剤業務実施加算1の施設基準の届出を行っているのは32.3%、24年度に新設された癌の薬剤師外来に対する「がん薬物療法体制充実加算」の算定施設は7%だった。

 

武田氏は、薬剤業務向上加算の滑り出しについて、「スタートとしては素晴らしい。1施設から数人出すのは難しいので、基幹病院で増えるとありがたい」と述べた。

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出典:薬事日報

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