創薬・臨床試験

2025年ビジョンを策定‐自社抗癌剤、8年で7製品上市

薬+読 編集部からのコメント

第一三共が自社の2025年プランを打ち出しました。
8年間で計画する研究開発費9000億円の大半を癌領域に費やし、七つの新規化合物を上市する計画です。
癌領域のグローバルR&D部門統括担当のアントワン・イヴェルさんは「癌領域で世界をリードするサイエンス組織になる」と発言しました。

研究開発費の大半を投資

イヴェル氏
イヴェル氏

第一三共は、癌領域での自社創薬について、2025年までの8年間で七つの新規化合物を上市する「2025年ビジョン」を打ち出した。8年間で計画する研究開発費9000億円の大半を癌領域に傾斜配分し、抗体薬物複合体(ADC)では抗HER2-ADC「DS-8201」や抗HER3-ADC「U3-1402」など三つの化合物、急性骨髄性白血病(AML)ではFLT3変異阻害剤「キザルチニブ」などの三つの化合物、その他の領域で一つの化合物を上市する目標を掲げる。癌領域のグローバルR&D部門を統括するアントワン・イヴェル氏は、13日に都内で開催したR&D説明会で、「チャレンジングだが現実的な目標。癌領域で世界をリードするサイエンス組織になる」と述べた。


同社では、ADCとAMLの二つのフランチャイズで癌領域の自社創薬を推進する方向性を示しており、今回の2025年ビジョンでは、癌の標準治療を変革する抗癌剤開発で具体的な計画を発表。ADCは癌細胞に対して低用量で直接狙い撃ちする“スマート治療剤”のフランチャイズに発展させる。

 

イヴェル氏は、HER2-ADCについては、「当社が競合他社に比べ、最も開発が先行しており、ペイロード技術でも優位性がある」と自信を示す。「DS-8201」は、米FDAからT-DM1が無効なHER2陽性乳癌で画期的治療薬指定を受けており、米国第II相を開始している。当初、20年度の承認申請を計画していたが、「オプションとして19年度の申請も検討中」と早まる可能性も出てきた。HER2陽性乳癌の1次治療やHER2低発現乳癌、胃癌、免疫チェックポイント阻害剤併用などでの開発も検討する。そのほか、抗HER3抗体「パトリツマブ」を用いた「U3-1402」も乳癌適応で第I相を実施し、EGFR変異非小細胞肺癌適応での開発も視野に入れる。

 

25年には七つのスマート治療剤を臨床入りさせる。既存のADCに比べ低用量で強力な薬効を示す次世代型ADCの創薬を進めており、動物モデルでは腫瘍の縮小や忍用性を確認しているという。さらに、次世代型ADCの先には、「今までの癌治療に対する考え方を破壊する“破壊的スマート治療剤”を最低一つは臨床段階に乗せたい」(イヴェル氏)との構想を語る。

 

AMLフランチャイズは血液癌フランチャイズに拡大を目指す。キザルチニブが単剤療法、併用療法の二つで開発を進め、単剤療法では国内で第II相段階にあり、再発・抵抗性のFLT3-ITDのAML適応で来年度下半期までには日米欧の同時申請を行う計画だ。併用療法についても、新たに診断されたFLT3-ITDのAML患者を対象に化学療法剤との併用試験を行っており、既に25%以上の患者登録が完了しているという。

 

血液癌領域では、4~5種類の化合物を臨床入りさせ、そのうち最低二つはAML以外の血液癌の薬剤を見込む。FLT3変異のAMLのみならず、その他のAML、さらにはAML以外の可能性をADCアプローチで追求していく可能性も示した。

 

研究開発の経営資源配分についても、疼痛、中枢神経系、心不全・腎不全、希少疾患などのスペシャルメディスンへの投資を厳選し、癌領域への優先度を高める。研究では全体の39%から60%、開発では47%から70%に比率を引き上げる計画だ。

 

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出典:薬事日報

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