医療

薬学部新設、定員増を抑制~制度化に向け告示改正へ【文部科学省】

薬+読 編集部からのコメント

6月30日、文部科学省の薬学部教育の質保証専門小委員会は、「6年制課程における薬学部教育の質保証に関する取りまとめ」の素案を公表しました。薬学部の新設や定員増を抑制する方針の制度化などに加え、昨年末の中間取りまとめでは言及が無かった入学定員抑制に対する具体的施策も示されています。

文科省小委員会が素案

文部科学省の薬学部教育の質保証専門小委員会が6月30日に開かれ、薬学部の新設や定員増を抑制する方針の制度化などを盛り込んだ「6年制課程における薬学部教育の質保証に関する取りまとめ」の素案が示された。昨年末の中間取りまとめでは、入学定員抑制に対する具体的施策に言及はなかったが、軌道修正した。地域ごとの薬剤師偏在問題を踏まえ、人材確保が必要な場合は例外とした。文科省は、今月下旬にも取りまとめて親会議の「薬学系人材養成のあり方に関する検討会」に報告し、関係告示を改正して制度化に向けた必要な準備を進める考え。

 

素案では、入学定員充足率の低い大学が多数存在すること、将来的に薬剤師過剰が予測されていることなどを踏まえ、入学定員のあり方に関する考え方を見直すべきと明記した。大学が薬学部・学科の新設と定員増を自由に申請でき、関連法令に適合すれば認可する原則を改め、抑制する方針を速やかに制度化すべきとした。

 

ただ、地域ごとに薬剤師偏在が見られるため、各都道府県の医療計画等で将来的に地域における人材養成の必要性が示され、他の都道府県と比べて薬剤師の確保が必要と判断される場合は例外として取り扱うことが適切とした。対象には私立大学だけでなく、国公立大学も含まれる。

 

昨年末の中間取りまとめでは、薬学部の入学定員抑制に対する具体的な施策がなく、1月に行われた厚生労働省の「薬剤師の養成および資質向上等に関する検討会」で複数の委員から文科省の対応に不満が相次いだ。今回は、薬学部の新設と定員増の抑制に向けた方策が示された格好だ。

 

亀井美和子委員(帝京平成大学薬学部長)は、「制度化されて定着すれば一定の枠内に定員を抑制できるが、定員が適正かどうかの問題が解消するとは限らない。制度化後の見直しも必要」と求めた。

 

北澤京子委員(京都薬科大学客員教授)は制度化の例外に言及。「現在薬剤師が不足しているからだけでなく、将来も不足しているかどうかを検討してほしい」とクギを刺した。

 

一方、入学定員充足率、標準修業年限内の卒業率、国家試験合格率等が一定水準を下回る大学に対しては、適切な入試の実施と入学定員の適正化を国が強く要請する必要があるとした。特に定員未充足の大学には、メリハリある財政支援で対応するよう求めた。

 

入試のあり方については入学者の追跡調査等で選抜方法の妥当性を検証し、出題科目や出題内容を不断に見直すことが重要とした。

 

低学年における留年率、退学の割合が高い大学については、情報公開すると共に、アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)の見直しと適切な選抜の実施を求めた。

 

質の高い教員確保も重要としつつ、2021年度の4年制博士課程進学者は卒業生の1.4%にとどまるとして、同課程の課題を質・量双方の観点から引き続き検証すべきとした。

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出典:薬事日報

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